RIOT V / UNLEASH THE FIRE

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マーク・リアリ(G)が亡くなった後もRIOTというバンドが続くことについては、懐疑的な人も多かっただろうし、私自身もその例外ではなかった。

ただ、残念ながらRIOTはそのバンド名を継承することで金儲けができる、というポジションのバンドではなかったし、残ったメンバーのマイク・フリンツ(G)やドン・ヴァン・スタヴァン(B)にも、日本人好みのHR/HMチューンを作る力があることはこれまでの作品で証明されていたので、そういう意味ではバンドを続けてくれたことを感謝するべきなのだろうと思う。

マーク・リアリの遺作となった「IMMORTAL SOUL」(今見ると完全に遺作となることを覚悟していたとしか思えないタイトルですね)に参加していたメンバーのうち、トニー・ムーア(Vo)とボビー・ジャーゾンベク(Dr)という強力なメンバーが離脱してしまっており、Voには無名の新人(とはいえ既に45歳らしい)トッド・マイケル・ホールを、DrにはRIOTの「ARMY OF ONE」でもプレイしていたVIRGIN STEELEのフランク・ギルクリーストを迎えている。

また、亡くなったマーク・リアリに代わって、マイク・フリンツのギターの生徒だったというニック・リーが加入している。

そして本作で展開されているのは、紛れもないRIOTサウンド。冒頭を飾る#1「Ride Hard Live Free」のイントロのリード・ギターのフレーズを聴いただけでRIOT魂健在を感じ取ることができるだろう。

トッド・マイケル・ホールの歌声がまたトニー・ムーアに似ており、トニーほどハイトーンが金属的に響かない代わりに、より丁寧に歌い上げる歌心のあるその歌唱は、こんな逸材がこれまで埋もれていたとは、と驚かされるに充分なインパクト。

歌声が似ていることもあって全体的にトニー・ムーアが歌ったパワー・メタル路線のRIOTに近いような印象を受けるが、むしろフィーリング的にはガイ・スペランザが歌っていた初期のRIOTに近いような印象もあり、全体的にはウエットなパワー・メタルに仕上がっているあたり、トータル的にはマイク・ディメオが歌ったアルバムに通じるものがあると言えなくもない、オールRIOTファン対応の作品である。

イマドキのパワー・メタル・バンドのサウンドに比べるとシンプルで、どこか温もりのあるサウンドにはちょっとレトロ感を覚えなくもないが、それがRIOTの個性と言えばその通りで、彼らだからこその旨味みたいなものがある。叙情的でありながらクサくならないメロディのセンスも含め予想以上にRIOTであり、マーク・リアリの遺伝子はほぼ完全な形で継承されていると言えよう。

楽曲のクオリティもおしなべて高く、RIOTとしてのアベレージは確実にクリアしている。LOUD PARKで観たライブ・パフォーマンスも、衰えが隠しきれなかった晩年のマーク・リアリを抱えたラインナップよりも充実していたというのが事実で、「これからのRIOT」に期待を抱かせるに充分なものだった。

なお、バンド名についてはRIOT V(ライオット・ファイブ)というのが日本以外における正式な表記で、トッド・マイケル・ホールが5代目のシンガー(一時期歌っていたマイク・ティレリは来日公演までしたのにアルバムを作っていないということでノー・カウントらしい)ということでこのバンド名になったらしい。

ただ、日本についてはレーベル側からRIOTという名前を使うことを要請されたらしく、日本盤はRIOT名義で発売されている。

日本はRIOTが唯一といっていい成功を収めたエリアだったので、商売としてその判断は理解できるが、せっかくバンド側がマーク・リアリのいないRIOTがRIOTと名乗るべきではない、と考えて改名した思いを無視するかのような所業で、あまりいい気分はしないが、バンド側を責めるのは筋違いというものだろう。

なお、世界に先駆けて先行発売された日本盤は、実質的に「未完成のものを見切り発車で出した」に近い状況だったようで、「SPV/STEAMHAMMER」からリリースされた海外盤は、プロデュースに前作「IMMORTAL SOUL」同様DANGER DANGERのブルーノ・ラヴェルを迎えており、日本盤にプロデューサーとしてクレジットされていたヨシュア・ブロックなる人物は実質エンジニアとしてクレジットされている。

単にプロデュースやマスタリングが違うだけではなく、一部付け加えられたパートなどもあるということで、それを知ると日本盤がデモのようなものに思えてしまうのが正直な所。

まあ、日本盤が先に出てくれていたおかげでLOUD PARKのライブを楽しめたという面もあるが、別に過去の曲ばかりでもよかったわけで…。

本作のレビューがこんなタイミングになったのは海外盤を入手するのに時間がかかったからで、聴き比べてみた感想としては、まあ確かに海外盤の方が聴き比べればわかるレベルでサウンドが引き締まっているんですが、よほど熱心なファンであればともかく、既に日本盤を買ってしまった人が買い直すほどの違いはないです、とあえて言ってみます。

いや、これから買うなら輸入盤をオススメしますが、同じアルバム2枚買うお金があったら他に買うべきアルバムが世の中いっぱいありますからね。お金と時間は大切に。

しかしアレですね、ジャケットのジョニー君まで継承しなくちゃいけなかったんですかね(苦笑)。【84点】
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コメント

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おお凄い!国内盤と輸入盤の両方買われたのですね。
自分は輸入盤を買いました。どちらかを買った人はたくさんいると思いますが、両方買われた方は珍しいのでは?

ジョニー君は相変わらず不気味ですね(苦笑)。ゴマちゃんぐらい可愛かったらよかったのに(笑)。

>名も無きメタラーさん

まあ最後のネタ作りかと思い、両方買って聴き比べてみました(笑)。
熱心なファンの方は国内盤は発売時に買った上で、輸入盤も購入したのではないでしょうか。
そういう人の国内盤は中古盤屋行きかもしれませんが(笑)。

ジョニー君は今回妙に力が入っている分、さらにシュールさに拍車がかかってますね(笑)。
このアートワークがRIOTが売れない一因なのではないかと思っているのですが…(ネタにはなってますが/苦笑)。

思うにジョニー君復活も話題作りやその他のために日本側の要請なんじゃないかと思います(笑)
実際このジャケットはけっこう話題になったと思いますし、Riot知らなかった人も認識はしたと思いますよ

僕は噂を聞いて輸入盤を買い直しましたが(国内盤の後に輸入盤を買い直したのは初めてです)、かなり音が違っていて驚きました。
確かに最初に日本盤で聞いたときは妙に音がのっぺりした印象だったのですが、輸入盤ではミックスやマスタリングどころか、VoやDsも録リ直してると思しき違いもあって、音が立体的で相当良くなってた印象です。

日本盤これで出しな直してくれないかなぁ…と言ってもさすがにこれ以上買い直しませんが。

ジャケットは、前作から今作にかけての落差が最高ですね。

>エメッソンさん

たしかに日本ではジョニー君は(ネタとして)親しまれていますが、海外ではどうなんでしょうね…?

>Dさん

Dさんも買い直し組ですか。たしかに結構違いますよね。
個人的にはネット上の評判を聞いてもっと違うのかと思っていましたが。

きっと数年後に日本で廉価再発されることがあれば(このご時世ではたぶんないと思いますが…)、きっとこの海外盤のマスターが使用されるのではないでしょうか。

本当に年内で更新終わってしまうのですか?
こんな素晴らしいレビューをするBlogなのに

>名も無きメタラーさん

このレビューは、作品自体のレビューというよりも「現在のRIOT」に対するレビューになってしまっていて、そういう意味ではせっかく褒めていただきましたが、あまり出来の良いレビューではないですね(苦笑)。

惜しんでいただけるのはとてもありがたいお話しですが、METALGATE BLOGとしては本日の更新が最後です。
今までありがとうございました。