KAWASAKI ROCK CITY Vol.3 at CLUB CITTA’ 2015.1.10

もはや新春恒例イベントとなりつつある「カワサキ・ロック・シティ」。80年代型のクラシックなHR/HMバンドが複数出演するフェスティバル形式のイベントという意味では、「日本のROCKLAHOMA」と言っても過言ではないでしょう(規模はだいぶ落ちますが)。

クラブチッタというスペースが限られた空間なので、フェスという印象は受けませんが、サイン会があったり、ディスクユニオンの出張販売があったりと、「単なる来日公演」よりはイベント性を持たせようという意図が感じられました。

かつては武道館を埋めたEUROPEが出演するとあって混雑を予想していたら、意外なほどに空いていてちょっとビックリ。1バンド目であるCRASHDIETの時点では6割強くらいしか入っていなかったのではないでしょうか。

CRASHDIET

北欧の新世代グラム・メタル・バンドの代表格といえるバンド。初代ヴォーカリストの自殺といったセンセーショナルな話題もあって、母国スウェーデンではチャート上位の常連だが、来日はこれが初となる。

2013年には「LOUD & METAL ATTACK」での来日が予定されていたのですが、直前にマネージャーが急死して事務的な手続きができなくなり、急遽来日中止になるといった不運もあり、今回はその不戦敗(?)の雪辱を晴らすチャンスになるはずでした…。

が、本日のステージは彼らにとってなかなか厳しいものでした。

とにかく盛り上がらない。一応曲が終わるとパラパラと拍手は起こるものの、すぐに静かになってしまう。

本国の人気バンドである彼らにはこの静寂は戸惑い以外の何物でもなかったようで、ステージ上で困惑しているのが見て取れました。

本日のオーディエンスの大半はEUROPEおよびTREATを観に来ていたと思われるかなり高めの年齢層だったこともあり、彼らの場内認知率はかなり低かったと推察されます。

ただ、厳しいことを言わせてもらうと、EUROPEやTREATのファンなんて母国スウェーデンでも同様に高齢化しているはずで、そういうオーディエンスに「自分たちのファンであること」を前提としたコミュニケーションをしようとしたバンド側の戦略ミスですね。

フロントマンであるサイモン・クルーズの、やる気があるのかないのかわからない、ちょっと斜に構えた態度もあまり好感を持たれなかったのではないでしょうか。ルックスはカート・コバーン、歌声はセバスチャン・バック風でカッコいいといえばカッコいいんですけどね。

さらに厳しいことを言わせてもらうと、この手のバンドにそういうことを言うのは野暮というものですが、演奏が下手でした…。アルバムこそ聴いていないものの、YouTubeで何曲かチェックしたMVなどを観ると曲自体はまあまあカッコいいのに、演奏が下手すぎてその魅力が引き出されていなかったように思います。特にギター、こんなに下手くそなギターを聴いたのは久しぶりでした…。

まあでも結局、プロモーターが事前に「日本人は英語が苦手だし、君たちの知名度も低い。新人バンドだと思ってプレイしたほうがいい」とアドバイスしなかったことが今回の悲劇の原因じゃないですかね。

噂によると翌日の公演はヴォーカリストのサイモン・クルーズが「体調不良」で出演せず、ギタリストとベーシストが歌ってステージをこなしたそうで、サイモンの「体調不良」の原因が本日の冷遇だったとしたら、ちょっと胸が痛みます…。


TREAT

個人的にはこのTREATが本日の目的でした。噂によると今回のツアーが終わると解散する、という話だったので…。

そして実際、素晴らしいライブでした。とても先ほどまでと同じ会場とは思えないほどの盛り上がりで、その盛り上がりは、少なくとも私の周りだけに関していえば後に出たEUROPE以上だったと断言できます。

正直な所、TREATはそれほど活発に活動しているとは言い難く、かなりロートルなパフォーマンスを見せられることも覚悟していました。

実際、メンバーのルックスに関して言えば経年劣化著しく、かつて「日本の44MAGNUM」と呼ばれた頃の華やかさの面影は既になく…。

しかし、パフォーマンスに関していえば思いのほか現役感があり、その原動力は(見た目こそ老けこんでいましたが)ロバート・アーンルンドの安定感のある歌唱と、キャリアを感じさせるフロントマンぶりでした。

そして、TREAT解散後に最も活発にミュージシャンとして活動していたジェイミー・ボーガー(Dr:元TALISMAN)の無駄に派手な動きの多い「見せるドラミング」もサウンドにロックらしいフィーリングを与えており、「Sole Survivor」のアウトロで披露されたちょっとしたドラム・ソロの後にはオーディエンスに向かって半ケツ出し(元々お尻の部分が大きく開いている衣装だった)まで見せつけ、「北欧のトミー・リー」と呼びたくなりました(笑)。

そして何より曲がいい。どの曲をとっても魅力的なメロディが満ち溢れていて、あらためて彼らのソングライティング能力の高さを痛感させられました。きっとEUROPEの「The Final Countdown」しか知らずに来ました、みたいな人でさえ彼らの楽曲の素晴らしさは一発で伝わったと思いますし、「TREATはよく知らないけど、昔のEUROPEは好きでした」みたいな人にとっては「あれ? TREATの方が良いのでは?」と思わせてしまうほどだったと思います。

アンダース・ヴィクストロムのギターはちょっとトラブっていたようですし、キーボードの音量が全体的に控えめだったような気がしますが、楽曲の圧倒的なパワーがそういう細かいことを一切気にさせませんでしたね。

「Conspiracy」が終わって、メンバーがいったん楽器を置いたとき、トリ以外アンコールは無いものと思っていたので、「おいおい、まさか『World Of Promises』なし? そりゃないぜ」と思いましたが、メンバーはすぐステージに戻ってくる。

「もっと聴きたいか?…なんて焦らしてる時間がない。やる!(YES!)」というロバートのMCにちょっと笑いつつ、最新作に収録されていた印象的なナンバー「Skies Of Mongolia」を挟んで、最大の目当てだった「World Of Promises」がプレイされる。もうこれで1万円分の元は取ったと納得できる、素晴らしいショウでした。「キング・オブ・北欧メロディアス・ハード」。彼らにこの称号を送りたいと思います。


EUROPE

先に出たTREATが素晴らしかったため、食われてしまうんじゃないの? という危惧をしていましたが、案の定、序盤の新しい曲の反応は薄め。

3曲目の「Superstitious」でようやく少しオーディエンスの反応が熱を帯び始めるが(特に中間部でWHITESNAKEの「Here I Go Again」の一節をプレイしたとき)、個人的にはスタジオ・バージョンのあの印象的なコーラスを省き、チューニングを下げた現在のアレンジはこの曲のホープフルな魅力を大きく損なっており、現在の彼らがプレイすべき曲ではないように感じました。

続く「Scream Of Anger」でようやく完全にオーディエンスを掌握し、その後は新旧の曲を巧みにブレンドし、貫禄のステージを展開。何だかんだ言って、演奏やパフォーマンスの質自体はTREATよりもはるかに高かったと思います。正直あまり好みではない新しめの曲も、「Love Is Not The Enemy」や「The Beast」のような勢いのある曲であれば、ライブでは楽しめました。

そして相変わらずジョン・ノーラムのギターのトーンは絶品。ゲイリー・ムーアのフォロワーからスタートして、トーンの面で本人並みの説得力を獲得したのはこの人だけなのではないでしょうか。ステージではほとんど全く動いてくれませんが…。

中間にDEEP PURPLEの「Woman From Tokyo」を挿入した「Rock The Night」で本編を終え、アンコールは近年の定番である再結成前後それぞれの代表曲である「Last Look At Eden」と「The Final Countdown」で終了。

まあ、ショウの質は高かったのですが、前日にセカンド「WINGS OF TOMORROW」の完全再現を行なっており、個人的にはむしろそれを観たかったので、通常セットリストである本日に完全に満足することは難しかったですね。せめて「Stormwind」と「Dreamer」だけでもプレイしてくれれば成仏できたのですが…。

とはいえTREAT7000円、EUROPE3000円くらいの金額配分だったと考えれば、充分にお得なイベントだったと思えますね。来年は誰が出演するのでしょうか。

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コメント

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私も参戦

adoreさん、いつも拝見しています。
さて、Kawasaki Rock City、1/9と1/11の2日私も参戦して参りました。1/9の「Wings Of Tomorrow再現」の日は、やはりコアなファンが多く、満員御礼状態でした。1曲目のStormwindが始まった途端、周りは大興奮でしたね。中学生当時聴きまくりギターも練習しまくったこのアルバムの再現は感動もので、Stormwindイントロでうるっときてしまいました。
 それ以外では、やはりSeven doors hotelやNinjaあたりが嬉しかったですね。
 再結成後の曲は個人的には好みではないですが、改めて聴くと良かったりしましたので、3月のニューアルバムは楽しみしたいなと思います。
 1/11の方は、まずCrashdietのVo不在ライブというのがびっくりでしたね。ギターとベースがVoを兼任していましたが、やはり本職でないので今4つくらいでした。adoreさんのリポートを見ると、前日の受けの悪さですねちゃったのですかね。
 Treatは良かったですね。実はTreatの音源は最新のと「World of promise」と「Get you on the run」だけで、Best盤をAmazonで購入しようとしたのですが11月終わりに発注するも現在入荷未定だそうで。ライブ会場での販売もすぐに完売したそうで11日はすでに在庫なし。
 Europeはセットリストは1/9の方がよかったですが、個人的に自分のテーマ曲にしている「The Final Countdownをまた聴けて大満足でした。

 次は2月のYngwieです。さてどうかな??

>りょうさん

「WINGS OF TOMORROW」完全再現なら、北欧メタル・ファンなら必見、と思いますよね。
中野サンプラザくらいだったら埋められたのではないかという気がします。

「Stormwind」のあのイントロを、ジョン・ノーラムのあのトーンで聴いたらその時点で昇天しそうですね…。これを観られなかったことは今年最大の後悔のひとつになりそうです(苦笑)。

TREATは、あの場にいて、彼らを知らなかった人はみんなCD買おうと思ったんじゃないですかね?(笑) それくらい良いライブでした。

イングヴェイについては、私はもう何も期待しません…。

1/9の単独に行きました

adoreさん、こんにちは。

久々にこちらに伺ったら「あれっ!?様子が変わっている!終わっちゃったのお??」
と、あわてましたが、新しい形で出発していただいてらしたので、ホッとしました。
長い間、毎日のように記事をアップされ、そして、専業で書いてるライターさん以上に
わかりやすい内容を提供してくださってありがとうございました。

これからは、ご自身の気の向く時にきままにアップされるとのこと、良かったです!
といいつつ、いつもの癖でショッチュウ見にきそうです(笑)。

音楽って、本当に自分の人生に影響を与えると思います。
音楽そのものに加え、バンドのメンバーの生きざまに考えさせられたり、
影響を受けたりすることもあったり。
adoreさんの文章を読んでて、うなずきまくってました。
いい時代にいて良かったですよね。

さて、私は1/9のEUROPEの単独に行きました。
昔の貴重な体験、武道館公演を高熱で観ていたので、ハッキリした記憶がないので
今回は楽しむゾー!で、楽しんできました。
ノーラム側で観てましたが、やっぱりギターソロはいいですねー!
テンペストが好きだと言うWasted timeや(Heartのバラクーダを彷彿させますね)Lyin' EyesやDance the night awayあたりで飛び跳ねておりました(笑)。

今年もまた沢山来日してほしいですね。

あっ、今年もどうぞよろしくお願いいたします☆








タイトル

ヨーロッパは懐かしいですね。1991年の東京ドームのファイナル・カウントダウンでのライヴを観て以来、観に行っていないんですよ。
この時は、プリズナー・イン・パラダイスを発売した時の来日でした。90年代ですからね。アメリカでは、アルバムのセールスもイマイチで、確か、その後解散してしまったのかな。
1991年12月31日の東京ドームの顔ぶれは、メタリカ、ヨーロッパ、テスラ、サンダーでした。
ウドー主催のカウントダウンのコンサートが、今では無くなってしまったのは、正直なところ、残念ですね。

>KYさん

METALGATE BLOGは終わりました。
元々毎日のようには書いてませんでしたし、プロのライターさんには全く及びませんが、そうおっしゃってくれると嬉しいですね。

しょっちゅう見に来られても、ご期待にお応えできないと思いますが…(苦笑)。

1月9日のEUROPE、ご覧になったんですか。羨ましい。
たしかに、ベスト盤に収録されるような曲ばかりではなく、「Lyin' Eyes」や「Dance the night away」もイイですよね(「Wasted Time」は10日もやってくれましたが)。

こちらこそ今年もよろしくお願いいたします。

>ランディさん

1991年の東京ドームのファイナルカウントダウンについては、BURRN!誌で記事を目にして知っています。

メタル的にも、世の中的にも、バブルの残り香がある時期ならではのイベントですね。

ヨーロッパ

88年のヨーロッパの武道館公演をバーンのコンサートレビューで、酒井氏がボロクソに貶していたのを今でもよく覚えていますよ。
当時の最新作である、アウト・オブ・ディス・ワールドが、産業ロックのような内容になっていましたから、酒井氏からすれば、そんなところも気に入らなかったんでしょうけど。

>ランディさん

酒井氏は私がこの世で最も信頼していないレビュアーです(笑)。
当時のEUROPEのアイドル的な存在感が癇に障ったのでしょうね。

「OUT OF THIS WORLD」だって言われるほど産業ロックではないと思いますけどね。
単純に過去のアルバムよりつまらないと感じだだけでしょう。