二代目アニメタル / ANIMETAL THE SECOND

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アニメタルといえば坂本英三が歌ってマラソンメドレーするもの、というのがリアルタイムで体験し、屍忌蛇やSyuというフェイバリット・ギタリストがプレイしていたこともあってほぼ全作買い揃えていた者(私)の固定観念です。

そのためANIMETAL USAも、そのメンツの豪華さにもかかわらず、どちらかというと胡散臭いものを感じていましたし、今回の「二代目アニメタル」が発表された際にも「何で今さらアニメタル?」という感が否めませんでした。

だいたい個人的な感覚ではギタリストが屍忌蛇からSyuに交代した時点で、それが「二代目アニメタル」という感覚でしたし、今回Queen Mなる女性ヴォーカリストが歌うという話を聞いて思ったのは「女性が歌うならアニメタル・レディーだろ…」というマニアックなツッコミでした。

ただ、収録曲およびゲストが発表されてみると、これがなかなか魅力的。

01, Overture ~Theme of ANIMETAL THE SECOND~
02, 「ライオン」マクロスF(feat. ジョージ・リンチ/元DOKKEN)
03, 「創聖のアクエリオン」創聖のアクエリオン(feat. 高崎晃・山下昌良/LOUDNESS)
04, 「残酷な天使のテーゼ」新世紀エヴァンゲリオン(feat.e-ZUKA/GRANRODEO)
05, 「God knows…」涼宮ハルヒの憂鬱
06, 「ひこうき雲」風立ちぬ(ケン・ハマー/PRETTY MAIDS)
07, 「コネクト」魔法少女まどか☆マギカ (ウォーレン・デ・マルティーニ/元RATT)
08, 「ゆずれない願い」魔法騎士レイアース
09, 「檄! 帝国華撃団」サクラ大戦
10, 「キューティーハニー」キューティーハニー(ケン・ハマー/PRETTY MAIDS)  
11, 「君の知らない物語」化物語 
12, 「魔界が来たりて武を競う~魔界大戦」※ボーナス・トラック

かつてのアニメタルはほぼ80年代までの楽曲しかプレイしてこなかったが、今回選曲されているのは「ひこうき雲」と「キューティーハニー」を除いて90年代以降の楽曲ばかり。

もちろん「ひこうき雲」は2013年の大ヒットジブリ映画「風立ちぬ」の主題歌だし、「キューティーハニー」は2004年に倖田來未がカバーしてヒットさせているので、これらのアニメの主題歌で育った世代にも広く知られている。

一方でゲスト・プレイヤーが主に80年代HR/HMのミュージシャンばかりなのは、今回の選曲に魅力を感じない年配の層に対するアピールか、はたまた単なるプロデューサーの趣味なのか。

ただ、本作の発売に先立って公開されたサンプル音源を聴くと、ちょっと微妙な印象。歌声が、HR/HM的でもアニソン的でもないのだ。このソウルフルなハスキー・ヴォイスは、90年代末から00年代初頭にかけて人気を博した「R&B系ディーバ」たちのフィーリングに近い。

個人的には宇多田ヒカルやMISIA、小柳ゆきにDOUBLE、bird、SILVAといったそれらの「ディーバ」たちも好きだったし、本作で歌っているちょっと小柳ゆきを思わせる歌声の「謎のヴォーカリスト」Queen.Mの歌唱も上手いとは思うが、メタルやアニソンといったジャンルにはもっとストレートな歌唱のほうがハマるのではないかという気がする。

いや、かつて「聖戦士ダンバイン」や「重戦機エルガイム」の主題歌を歌っていたMIO(現MIQ)などはかなりソウルフルな「黒い」歌声の持ち主だったので、必ずしもアニソンとの相性が悪いというのは憚られるが、今回選曲された楽曲のオリジナルにこういうタイプの歌唱が乗っていたことはないので、オリジナルに馴染んでいる人ほど違和感を覚えるだろう。

しかし実際、アルバムを購入した何度か聴き、歌唱に馴染んでくると、結構本作を気に入っている自分に気付いた。

JUDAS PRIESTの「Hellion」とYNGWIE MALMSTEENの「Black Star」を混ぜ込んだような序曲の#1に続く「ライオン」~「創聖のアクエリオン」~「残酷な天使のテーゼ」という冒頭の流れは特に強力。

元来HR/HMというのは静と動のメリハリ表現に優れた音楽だが、楽曲自体に静と動のメリハリが効いている「創聖のアクエリオン」(パチンコCMの大量スポット出稿で、アニメ放送時より有名になったあの曲)は個人的に本作のハイライト。タッカンのギター・ソロは弾き過ぎですが(苦笑)、Aメロのバックのボスハンズタッピングがカッコいい。

ネオクラ系メロスピアレンジの「残酷な天使のテーゼ」もいいし、同じく疾走系では今回唯一オリジナルを聴いたことがなかった「檄!帝国歌劇団」も良かったし、ANGRAの「Carry On」に対するオマージュと言える「君の知らない物語」にもニヤリとさせられた。

ウォーレン・デ・マルティーニのプレイは「コネクト」よりも「ゆずれない願い」のようなメジャー・コードの楽曲の方がハマるのではないかという気がする。

どうでもいいけど「ゆずれない願い」って当時なんであんなに大ヒットしたのでしょう? 「レイアース」ってそこまで大ヒットしたアニメじゃないですよね?

とまあ色々と語れるアルバムなのですが、こうしたアニメソング、いわゆるアニソンというのは90年代末以降、メロディ重視の楽曲が激減したJ-POPシーンにおいて、メロディアスな楽曲を好むリスナーの受け皿になってきたという一面があり、そういう意味でメロディックなHR/HMを好むリスナーとの親和性は高いのではないでしょうか。

なお、Queen.Mの正体については、本作にボーナス・トラック扱いで収録されているオリジナル曲(アニメの主題歌ではないという意味で)の「魔界が来たりて武を競う~魔界大戦」がヒントになっている模様。

この曲のクレジットをヒントに検索で辿って行くと「魔界少女拳」なるプロレス演劇?みたいなプロジェクトに行き当たり、そのイベント「魔界錬闘会」に登場したサルバドールなるシンガーが彼女のようですが、彼女であれ魔界少女拳であれ、何か他のものをプロモートするために「アニメタル」というブランド名がダシに使われたのだとしたらそれはちょっと釈然としないものがあります。

なお、ジャケットはOZZY OSBOURNEの「NO MORE TEARS」のオマージュとのこと。

◆本作のサビメドレー




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コメント

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いつもチェックしています

毎月のBURRN!の感想の記事が載らなくなり、なかなかBlogにコメントを記す事が出来なかったのですが、元レイアースおたくで、熱狂的な田村直美ファンだったので投稿します。

>どうでもいいけど「ゆずれない願い」って当時なんであんなに大ヒットしたのでしょう? 「レイアース」ってそこまで大ヒットしたアニメじゃないですよね?

田村直美は前作カメリヤダイアモンドCMソング永遠の一秒で注目されていました。透き通っていて、力強いハイトーンVocalに惚れ惚れしてしまいますね。この強力なVoを最大限に生かした曲作りがソロデビュー曲の自由の橋からレイアース2期OP光と影を抱き締めたまままで出来ていたと思います。
現在よりもCDが売れている土壌が有り、前作がヒットして注目され初め、自分の魅力を最大限に生かした曲だったのが勝因だと思います。
レイアースの1期はそこそこヒットしましたが、ありきたりなファンタジーRPGの世界の物語であまり好きになりませんでした。ラストの大どん伝返しが原作のCLAMP先生らしくて辛うじて良かったですけどね。不評でしたが、暗い世界観で主人公が罪悪感で再悩まれる2期の方ですっかりハマリました。田村直美のゆずれない願いも良いですが、2期の光と影を抱き締めたままと翼の折れたエンジェルで有名な中村あゆみの嫌いになれない。それに本田美奈子の曲も聴く価値が有るのでオススメします。

追伸、テレビシリーズの後に出たOVAがまた蛇足の極み(笑)で、このせいでレイアースとCLAMPと田村直美のファンをやめました。

アニメタルシリーズ好きでした

先ほどもコメント投稿させていただきましたが、
こちらのブログはなかなか楽しませてくれますね!
これからひいきにさせていただきます。

新しいアニメタルが出ていたなんて知りませんでした。
自分では、
やはり坂本さんのアニメタル、
ミーちゃんのアニメタルレディー
それから、メタルフォーク、
を当時よく聴いてました。

で、先日偶然にもアニメタルサマとかセンチメタルを聴く機会がありまして、
樋口さんのドラムが耳に入ってきた途端涙が出てきました。
これは、まさに宗っつあんの音だ、と。

この気持ちわかっていただけますよね?笑

これからもちょくちょく覗きに行きますので、よろしくお願いします!

思わずYou tubeで確認してしまいましたが

 このQueen.Mの声、ChasteinのLeatherやHellionのヴォーカルに結構似てます。(彼女たちの方が若干ハスキー、念のためSaharaも確認してみましたが、こちらはちょっと違って結構しっとりしていました)
 
 ひょっとしたら、こうした「女ロニー・ジェイムス・ディオ」系の声を買われての参加だったのかもしれません。
 
 そう考えるとやっている曲は90年代以降の曲が中心ですが、中の人はほぼ80年代リバイバルというところで、今回のアニメタルの狙いどころは80年代を夢見て90年代に絶望した、我々のような世代なのではないかと推測できます。
 
 田村直美に関しては、彼女はカーマイン・アピス、トニー・フランクリンと活動歴があるので、その辺りもメタルファンへのアプローチだったのかもしれません。
 
 選曲、アレンジに関しては、私ごときでも大体知っている曲をストレートにメタルアレンジというのケースが多いので、(というか04,とかいい加減やりすぎだと思います)もうちょっと掘り下げて、堀江由衣のLove destinyをアンドレ・マトスが歌詞を変えて疾走曲で歌うくらいのことをもっとやってほしいです。

 そういう意味ではPrincess Ghibliは結構キていたと思います。
 
 このジャンル(?)もまだまだ新しいことができると思うので、どんどん挑戦して我々を楽しませて欲しいと思います。

>ゆうていさん

ご親切にお教えいただきありがとうございます。
「ゆずれない願い」はたとえ「レイアース」の主題歌じゃなかったとしても売れたであろう楽曲ということなんでしょうね。

しかしOVAが酷かったくらいで「レイアース」単体はともかくCLAMPと田村直美のファンまでやめてしまうなんて…(笑)。

>さいふぁさん

当時はいろいろな○○メタル、アニ○○○が便乗商品で出ていましたね。

ヒグっつあんのドラムの鳴りは独特でしたね。
ファンにとってはスネアの音だけでたまらないものがあると思います。

>アリオッチさん

「80年代を夢見て90年代に絶望した」とは言い得て妙ですね(笑)。私は90年代の音楽もそれなりに楽しみましたが、おっしゃらんとすることはよくわかります。

本作については王道の選曲、王道のアレンジを意図的に狙ったんじゃないですかね。
たしかにPrincess Ghibliの方が面白みはありますが、こういう真っ直ぐなのも悪くないと思います。

本作が好評を博せば次作以降よりマニアックな選曲に向かっていくのではないでしょうか。