IRON MAIDEN / THE BOOK OF SOULS

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正直に言うと、全然期待していなかった。前作・前々作と、個人的には全くピンと来ないというか、ぶっちゃけ個々の楽曲の印象が全然残らない作品で、その原因は楽曲が冗長…というか、無駄に長い曲が多すぎると思っていたからだ。

然るに、今回のアルバムは2枚組のボリュームで、しかも10分超えの楽曲が3曲もあると聞いただけで既に胃もたれがしそうだった。

とはいえ既に来日公演が予定されていて、きっとそちらは素晴らしいだろうと確信できるだけに、やはり新譜はチェックしておくべきだろうと、半ば「お布施」のような感覚で購入した。

そして恐る恐る聴いてみる。

あれ? 意外といいんじゃね?

98点はお世辞かジョークとしても(これに98点をつける人というのは『THE NUMBER OF THE BEAST』に何点つけるつもりなのでしょう?)、少なくとも前作・前々作よりは良いのでは?

と、衝動で評価しそうになりましたが、この手のサイトを長年続けていると、あまり聴き込まなかったアルバムの印象は当てにならないということを学習している(苦笑)。

そこであらためて「私があまり聴き返さないメイデンの2大アルバム」である『A MATTER OF LIFE AND DEATH』と『THE FINAL FRONTIER』を久しぶりに聴き返してみる。案の定、印象として持っていたほど悪くない。

多分、本作も同じなのだ。当然、質は低くない。私の集中力に対して長すぎて、楽曲としての印象が残りにくい曲でも、パートによってはカッコいいと思える箇所は少なくない。

DISC1#4の「The Red And Black」なんてここ10年の曲だとかなり耳惹かれる曲なのだが、これも半分くらいの尺にまとめたほうが絶対に良い曲になったと思う。

不思議なのは彼らももういい歳で、体力的にも記憶力的にもコンパクトな楽曲の方が演ってて楽だと思われるのですが、なぜここまで長い曲にこだわるのかということ。まあ、これらの曲がライブでどこまでプレイされるかということを考えるとそれほど問題ではないのかもしれませんが…。

彼らの長尺志向がプログレ志向というよりはWISHBONE ASHの境地に近いという伊藤政則先生のお話を聞けばなるほど、と思うものの、それって「メタルの象徴」的なバンドに求められるスタイルなのかという疑問も。まあ、スティーブ・ハリス(B)がファンに求められるものを提供しよう、なんて性格の人ではないことは重々承知していますが。

実際、楽曲の長さにもかかわらず、前作・前々作に比べると、楽曲の長さの割に曲調やリズムは意外とストレートで、誤解を恐れずに言えば叙情性が増しており、最初に感じた印象の良さはその点に起因していると思われる。

その上であえて言えば、やはり5年後、10年後に「ああ、今日はメイデン聴きたいな」と思ったときに手を伸ばすのはこのアルバムではないというのもまた事実だろうと思う(それは『FEAR OF THE DARK』以降のアルバムに関してはどれもそうなのですが)。

でもやっぱり、長さとボリュームが敷居を上げている気がしてならないんですよね。もっと楽曲をシェイプアップしていたら、そして曲が少ないと言われても、収録曲を絞ってアルバムトータルで50分程度に収めていたら、全然印象は違っていたと思います(これは前作、前々作も同じ)。

本作が2枚組になったのは意図的なものではない、即ちどれも良い曲で削れなかったという旨のインタビューを読んだが、そういう意味では今の彼らに必要なのは一般的なメタル・リスナーが聴きやすい長さに楽曲の尺を削ったり、アルバムを適正な長さにまとめるために楽曲をボツにしたりすることができる「絶対的権力を持った外部プロデューサー」なのだろうと思います。今の彼らはそんな人物を受け入れないと思いますが(苦笑)。【81点】

◆本作収録「Speed Of Light」のMV

この曲は本作で一番「軽い」アルバム中では異色の曲で、アルバムの紹介にこの曲を使うのは忸怩たるものがありますが、まあ「シングル曲」なんてのは程度の差こそあれそんなものかもしれません。


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コメント

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2〜3分程度で終わってしまうメロコアから音楽に入った身としては、大作というものがどうしても苦手です。
そのため90分2枚組のボリュームだと知った際はまったく期待できませんでした。「Speed of Light」が先行公開されていなかったら買ってなかったかもしれません。

やっぱりプログレ・大作志向を変に押し出すよりも、冗長なパートを削ぎ落としたストレートでキャッチーな曲を増やす方が絶対ウケると思うんですけどね…。アルバム全体のメリハリもつきやすいだろうし。

個人的には予想以上に楽しめた作品ではありますが、さすがに98点はないですね(笑)
大御所中の大御所だけにヘタに低い点数つけられないだけかもしれませんが。

お久しぶりです。

良くも悪くも「A Matter of~」や「Final Frontier」と同様の印象でした。adoreさんと同じくパーツそのものは悪くないのだから余計なリフレインとかをカットして尺度を纏めればいいのに・・・と聴いていて思いました。あと歌メロ自体が何だか大味というか、今ひとつ引っかかりが無いのが気になってしまいますね。

某誌の98点はそりゃないだろ・・・って感じでしたw。

思うに、かなり歌のパートが長いですよね。
4〜5分歌が続いてからやっと曲が展開したり間奏になったりするし。
それでもなんとなく聴けてしまうのは、ブルースの淡々または朗々とした、表現力溢れる歌唱のおかげでしょうか。
歌詞も物語のようになっているようで、リピートがないですし。
Empire of Cloudsなんて端的な例ですよね。
きっと、英語が解れば、もっと冗長に感じないのではないなしょうか。

昔は曲展開やメロディの格好良さ、スリリングさで聴かせてくれましたが、現在のバンドは、ブルースのストーリーテリングがメインなのだと思います。

それこそ、GENESISやJETHRO TULL、WISHBONE ASHのような純英国的バンドの感じではないでしょうか。
上記のバンドのほうが、曲展開に凝っていて、曲の長さも凝縮されている気もしますが。


前作、前々作がいまさんの出来で買う予定がらなかったのですが、新曲のPVみてかいました。昔のリフもポロポロでてきて何回聞いてもいいサウンドと思います。前2枚に比べたらましです。
某雑誌は酒井さんが、やめてから信用できないですね。YouTubeで聞いて判断してます。ちなみに某雑誌は惰性でか29年欠かさず今も買ってます

まとめてお返事

>翔さん
メロコアがルーツにある方に今のメイデンの音楽は厳しそうですね(笑)。
バンド側としてはストレートでキャッチーなメタルをやることには興味を持てなくなっているんでしょう。残念ながら…。

B!誌の点数については大人の事情があるのでしょう(苦笑)。


>ハルディンさん
お久しぶりですね。お元気ですか?
基本的には『A MATTER OF LIFE AND DEATH』や『THE FINAL FRONTIER』と同路線のサウンドですね。きっとこれが今の彼らがやりたいことなのでしょう。
元々歌メロの良さで勝負していたバンドではないですし。

B!誌の点数については(以下略


>通りたがりさん
たしかに、英語がスムーズに理解できる人が聴けば物語を歌い上げられているようで、別の楽しみがあるのかもしれませんね。
私のような一介のメタル好きとしてはわかりやすいコーラスをリフレインしてほしいのですが(苦笑)。

インスト・パートではなく歌のパートがメインなのはバンドの資質、ということなのでしょうね。


>としっちさん
前2作に比べたらマシ、同感です(笑)。
私は酒井氏も信用できませんでしたが、いずれにせよこれだけ簡単に試聴ができるご時世だとB!やこのブログみたいなものも含めて「他人の感想」の必要性はほとんどありませんね。

私もメタルの日本盤のリリース情報を一括で把握できる媒体が他にないので買っていますが、29年とは創刊間もない頃からですね。

酒井が辞める前から全く信用出来ねーけど。

タイトル

>adoreさん

最近は休みが少なく多忙になってしまい、体調を崩してダウン気味ですw。「この曲を聴け!」で時々書き込んだりしています。MAIDENの新譜は当初購入の予定はなかったのですが、何故かとりあえず買っておくみたいな感覚で購入してしまいましたw。

ところでadoreさんはAMORPHISの新譜は買いました?かなりの良作でオススメですよ。

>鼻くそ野郎さん

まったく同感です(笑)。むしろあの人が一番(以下略

>ハルディンさん

あらら…。季節の変わり目で体調を崩している方も多いようなのでご自愛ください。
メイデンのアルバムはメタラーとして「とりあえず買っておかねば」と思ってしまうアルバムではありますね(笑)。

AMORPHISの新譜は買いました。現体制になってからの彼らのアルバムは常に良作ですね。