STRATOVARIUS / ETERNAL

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もはや私のようなファンの贔屓目でなくともメロディック・パワー・メタルの代表格としての風格が漂う彼らの通算15枚目となるフル・アルバム。

ティモ・トルキ脱退後、新ギタリストのマティアス・クピアイネンを中心に制作された過去3作のアルバムは典型的なメロディック・パワー・メタルのフォーマットには収まらないプログレッシヴな作風だったが、本作は前作発表後にティモ・コティペルト(Vo)がインタビューで語っていた通り、パワー・メタル路線に回帰しようとする意志が感じられるアルバムになっている。

それは冒頭を飾る#1「My Eternal Dream」や、往年の名曲「Forever Free」を思い出させるパートを持つ#3「Rise Above It」といった典型的なパワー・メタル・ナンバー(これらを書いたのがマティアスであるというのが興味深い)の存在が大きく、それ以外の曲も、プログレッシヴな要素を内包しつつも全体的に勢いがあって一気に聴き通せる(厳密に言うと不思議なインストの小曲#6でひと息つくのだが)。

本作では前作に続いてティモ・コティペルトとCAIN’S OFFERINGでタッグを組んでいるヤニ・リマタイネン(G: 元SONATA ARCTICA)がソングライティングに関わっており、作詞・作曲がコティペルト&リマタイネンになっている#2、#8、#10などはほぼCAIN’S OFFERINGの曲である。

その他の楽曲でも作詞が「コティペルト&リマタイネン」になっているもの(イェンス・ヨハンソンの曲以外)については、恐らく歌メロについてはヤニ・リマタイネンのインプットが大きいと思われ、結果として本作のメロディの質はティモ・トルキ在籍時のSTRATOVARIUSよりもむしろSONATA ARCTICAに近い繊細な流麗さを感じさせる。

今年発表されたCAIN’S OFFERINGのセカンドはなかなかの好作で、歌メロの充実だけに関して言えばむしろあちらの方が上だが、やはりインスト・パートの充実度や楽曲のバラエティも含めた総合的な聴き応えではこちらの方が上だろう。

毎度美麗なアートワーク、7文字の英単語によるタイトル、そしてこのメロディック&プログレッシヴなパワー・メタル・サウンドと、今や彼らは独自の「様式美」を築き上げたと言っても過言ではないだろう。

これだけの作品を作り上げても『BURRN!』誌の扱いがモノクロ3ページというのが悲しいが、彼らの創造するメロディック・パワー・メタル・サウンドは今や洗練の極みに達しつつある。

限定盤に付属するLOUD PARK 13のライヴ映像もまた、これ単体でもお金を払いたくなるほど良い出来。彼らのパフォーマンスは常に良いが、やはり自分がその場に居合わせたライブの映像というのは格別ですね。

先日CAIN'S OFFERINGの来日公演が発表されましたが、STRATOVARIUSとしての来日公演も待ち遠しいですね。ライブは微妙なことが多い(?)メロディック・パワー・メタル・バンドの中で、彼らはライブが素晴らしい稀有なバンドなので。【87点】

◆本作収録「My Eternal Dream」のMV


◆本作収録「Shine In The Dark」のリリック・ビデオ




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コメント

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今年のベストアルバム候補です!

今回も素晴らしいアルバムで、私の今年のベストアルバムになりそうです。adoreさんのご指摘のように、このバンドはプレイヤーとしても一流でインスト・パートも充実していますね。ヤニの参加も良い方向に作用しているし、このバンドも今が全盛期といっていいでしょうね。
自分もですが、このところレビューやコメントに『BURRN!』誌への不満が少なからず見られますね(笑) 私も言いたいことはありますが、主役はあくまでミュージシャンなので、STRATOVARIUSを応援したいと思います(笑)。


流石の出来でした

前作同様、素晴らしい出来でしたね。
ヤニ参加のエッセンスは確かに感じつつも、アルバム全体像としてはCAIN'S OFFERINGと結構違う印象なのが面白いですね。
LOUD PARK 13のライブ映像も楽しめました。adoreさんの言うように、自分が観たライブ映像はテンションが上がりますよね!

STRATOVARIUSの単独公演を観たいのはもちろんですが、とりあえずCAIN'S OFFERINGは今後観られる機会が限られそうな意味も含めて参加必須ですね。

>なっつさん

メロディック・メタル・ファンの期待にガッチリ応えた力作ですね。この手の音楽のファンであれば間違いなく年間ベスト候補の一角でしょう。
彼らは第二の全盛期に突入していますね。

このブログで『BURRN!』の感想(というかケチ?/笑)を書くことをやめたので、ついついこうした所で不満がこぼれてしまいます(苦笑)。


>kimさん

CAIN'S OFFERINGはヤニのプロジェクトにもかかわらず完全にヴォーカル・オリエンテッドな作風なので、バンドらしい音のSTRATOVARIUSとはやはり微妙に印象が違いますね。

CAIN'S OFFERINGの単独公演は本当に意外でした。こうしてSTRATOVARIUSの新作も出て、当然本作に伴うツアーもあるでしょうに、どうやってスケジュールの整合性をつけるんでしょうか。

まあ、よほど仕事が泥沼化しなければ行きますけどね!(笑)

期待に応える充実作

曲調の多彩さに関しては前作『NEMESIS 』の方がバラエティに富んでいたと思います。そのためか勢いのある曲が多いとはいえ、一聴した印象では正直なところ少々メリハリに欠ける金太郎飴的なアルバムにも感じました。しかし何度も聞き込むうちに前作と同様に練りに練られたアレンジが実に心地よく感じられ、意外にも聴き飽きることなく楽しんでいます。現在のバンドの充実ぶりが伝わってくる傑作だと思います。

それにしても演奏陣の上手さが光っていますね。今作では日本盤ボーナストラックとして久しぶりに(『ELEMENTS part1 』以来となる)インストゥルメンタル曲が収録されていますが、このような雰囲気ものもこれはこれで悪くはありませんが、メンバーの超絶技巧が炸裂するような快速インストも現在の編成だからこそ、聴いてみたいものです。かなり凄い曲が出来そうな気がするんですが…。

『BURRN !』誌でのSTRATOVARIUSの扱いの悪さは今に始まったことではないので、もはや諦めに近い感情を抱いています(笑)。これだけのキャリアを持ち、後続のバンドに影響を与える存在でありながら、あの雑誌では一度も表紙はおろかポスターにすらなっていませんからね…。

>hermitさん

「NEMESIS」の方がバラエティに富んでいることは間違いないですね。
ただ、メタルというジャンルは楽曲パターンのバラエティが重視される音楽かというとそうでもないような気がします。

ただ、おっしゃる通り本作は意外と聴き飽きない作品で、それはやはりメロディの良さに加え、アレンジが練られていること、そして高度なアンサンブルを聴かせるバンドの力量だと思います。

このバンドならではのテクニカル・インストは確かに聴いてみたいですね。イェンス、ラウリ、マティアス、ロルフ、それぞれの持ち味を見せつける曲ができたら興味深い曲になると思います。DREAM THEATERみたいな化け物を別格とすると、彼らほど個々のプレイヤーの技量と個性が優れているメタル・バンドはそうそうありませんからね。

B!誌に関しては表紙は売上、ポスターはフォトジェニックかどうか?、そして推したい編集部員がいるかどうか、が「掲載基準」だと思われるため、STRATOVARIUSが採用される可能性は限りなくゼロかと思われます(苦笑)。