LOUD PARK 15 一日目の感想
いよいよやってきたメタラーにとって年に一度のお祭り、LOUD PARK。
例年仕事が忙しく、前日も終電やタクシー帰りで、なかなか1バンド目から行くこともままならないことも多かったのですが、今年は翌日が祝日ということもあり、いつも翌日に取っていた休みを前日にして、フル充電で出陣。
というわけで例年の異なり、オープニングアクトの開演15分前には会場に着いていたのですが、例年と異なっていたのは私だけではなく会場側も然りで、これまで見たことのない行列ができていました。こんなに奥の方まで回されたのは初めてです。
結局入場に30分以上かかり、入場したときにはオープニングアクトであるFRUITPOCHETTEのライブは最後の曲になっていました(それを場内ではなく通路で聴いた感じです)。積極的に観たいとまでは思っていませんでしたが、観られるものなら観ておこうと思っていただけに残念です。
朝食としてケンタッキーのチキンフィレサンドとビールを購入し、とりあえず荷物と上着を置きに指定席へ。MCのサッシャ氏が注意事項などをしゃべっている。
2、3曲UNITEDを観て、本日最初の目的であるGALNERYUSが出演するKINGDOM STAGEへ。メロディック・メタルのイメージってやっぱり王国とかそういうファンタジー的なものなんですかね。だとしたら発端はやはりHELLOWEENの「KEEPER OF THE SEVEN KEYS」、そしてBLIND GUARDIAN、ダメ押しがRHAPSODYなんでしょうね。
ここさいたまスーパーアリーナでの3ステージが初めての人(本日同行していた友人とか)は「サブステの入口どこだよ」と、入場の際にもらった不親切な地図(タイムテーブルの裏)を凝視していましたが、私は前回を経験してるので行き方がわかっているので問題ない。
KINGDOM STAGEは日が差し込む空間なので明るいのがメタルのライブとしては不似合いだが、まあWACKENなんかの野外フェスもそうなのでさほど問題はない。
◆GALNERYUS
仮にもメジャー所属のバンドということもあり、サブステージの1バンド目としては充分オーディエンスが集まっている。このKINGDOM STAGEのMCは、かつてサッシャ氏が別件で来れなかった際にMCをやっていたDJ BOO氏。彼のMCに導かれてショウが始まる。
現在のラインナップにおける代表曲と言っていいだろう「Destiny」で幕を開け、楽器隊各人の超絶技巧が炸裂する間奏パートで一気に会場がヒートアップする。楽器のテクニックによってオーディエンスを盛り上げることができるというのはやはり凄い。
小野正利のヴォーカルはちょっとフラット気味で絶好調とは言えなかったが、さすがのハイトーンを随所で披露していたし、ユーモアを交えたMC(これがゆえにGALNERYUSのライブというのはメタル・バンドというよりはJ-ROCKっぽい印象があるのですが)も会場の雰囲気を和やかにしていました。
12月にコンセプト・アルバムとなる新作を発表し、上海・香港・台湾といった海外を含むツアーを行なうという案内からプレイされた新曲「Raise My Sword」がまた彼らに期待される要素が凝縮された素晴らしい曲で、新作に対する期待も高まるステージでした。
◆OUTRAGE
KINGDOM STAGEはバンドとバンドの間が空くので、なんとなくもったいないな、という貧乏性な考えからいったんメインアリーナに戻って、その時プレイしていたOUTRAGEを観る。
このバンドもこのLOUD PARKの常連になりつつあるので何度か観たことがありますが、観るごとによく言えばシブ味が出ているというか、ちょっと悪く言えば枯れてきているような印象があって、ロック・バンドとしてはともかくメタル・バンドとしてはどうなんだろうなあ、という気がします。
個人的に一番観たい彼らの曲で、時折プレイしているらしい「Blind To Reality」を今回も観ることができず残念でした。
◆HOUSE OF LORDS
SLAYERの単独公演のサポートで話題になっていたGOJIRAを2曲ほどチェックして、再びKINGDOM STAGEへ移動。
このバンドは、毎回新作が出るたびにYouTubeなどでMVをチェックしては「悪くないけど、買うほどでもないかな…」と思ってスルーしてしまい、アルバムを通して聴いたことがなかったので、この機会にちゃんと聴いてみたいと思っていた。
3曲目の「Go To Hell」から観ましたが、意外と80年代残党組にありがちなロートル感がなくていい意味で驚きました。典型的なメロハー曲ばかりではなく、ちょっとヘヴィでミステリアスな感触のある曲や、土臭いアメリカンな曲も魅力的に聴かせられる実力は本物。このフェスではあまり聴くことのできないラブ・バラードもしっかり楽しませてくれました。
ジェイムズ・クリスチャンのハスキーなヴォーカルが上手いことは以前から承知していましたが、こうして生で見て観るとサウスポーのギタリスト、ジミ・ベルの強引なまでに弾き倒すシュレッドと、パワフルなドラマー、B.J.ザンパによる手数の多いフィルインが、凡庸なメロディアス・ハードになりそうな所でスパイスとなって効いていました。
主役である(?)ジェイムズの歌声も想像以上にエモーショナルな表現力があって、これでオッサン体型でなければ完璧だったのですが(笑)。
いや、本当に期待以上によかったです。今更過去のアルバムをチェックしてみようかな。せめて日本語版のウィキペディアができるくらいには人気出てほしいです、ホント。
◆ANTHEM
HOUSE OF LORDSが終わると、メインアリーナには戻らずそのままKINGDOM STAGEにとどまり、パエリアやソーキそばなど、昨年までの会場にはなかった飲食の屋台を物色。一番体力がつきそうな豚の味噌焼き丼をオーダー。
その後ぼちぼちANTHEMが始まりそうなタイミングで上手(かみて)側前方に移動。PAブースのちょっと前くらいに陣取る。
ANTHEMを観るのはLOUD PARK07以来で、森川之雄が歌うANTHEMを観るのは初めて。アルバムを聴いて森川の方が安定感があるのはわかっていたので歌唱については心配していなかったが、キャラ立ちという点ではどうか? と確認するような気分で観ていた。
森川時代の楽曲中心の選曲になるかと思いきや、1曲目が「Steeler」、続く2曲目は「Bound To Break」と予想を裏切る(しかしなかなかアツい)立ち上がり。新旧織り交ぜた選曲のバランスもよく、プレイも相変わらず全力投球・完全燃焼といった気迫があって気持ちのいいライブでした。
危惧した通り、森川之雄はルックス的にも坂本英三ほどの華はなく、MCやパフォーマンスもやや紋切型でしたが、このバンドは意図的にメタルのステレオタイプを演じようとしている節があるので(?)、余計なスタンドプレイやバンドイメージにそぐわないMCをしない森川の方が「柴田美学」には適しているのかも。
森川ANTHEMで個人的に一番好きな「Hunting Time」が聴けなかったのは残念でしたが、「Venom Strike」が聴けたのは嬉しかったですね。新しいアルバムからの曲も過去の曲と比べて聴き劣りするどころか、むしろトップクラスにいいんじゃない? と思えたあたり、このバンドの底力をあらためて思い知らされるライブでした。
◆HAMMERFALL
BACKYARD BABIESはともかくTESTAMENTはちょっと観たかったのですが、レア度も加味すると本日一番観たいバンドはHAMMERFALLだったので、そのままKINGDOM STAGEで待機。
前回観たのは2003年なので、もう干支が一周していることに気付いて思わず遠い目。当時のメンバーは既にヨアキム・カンス(Vo)とオスカー・ドローニャック(G)しか残っていない。
新作からの「Hector’s Hymn」でショウがスタート。このバンドの場合、欧州パワー・メタルの代表格的なバンドにもかかわらず、ライブにおける音圧みたいなものはやや軽めで、下手をするとギターが1本しかない(それもさほど攻撃的なプレイヤーではない)ANTHEMよりも迫力がない。
ライブ・パフォーマンス自体も伝統的なHMの流儀に則ったもので、何か特に斬新な要素があるわけではない(というかむしろ保守本流)のだが、その「様式美」具合がなんともメタル者の琴線に触れるのも確か。あまり聴き込んでいないアルバムからの、曲名が思い出せない曲であっても、サビまでいけば「ああ、この曲知ってるわ」と思い出すことができるキャッチーな楽曲の魅力もあって、自然と気持ちが高揚してくる。
気付くと結構な人数が集まっており、しかも皆積極的にメロイック・サインを高らかに掲げ、楽曲やMCに対する反応もすこぶる士気が高い。失礼ながら、彼らって日本でこんなに人気あったっけ? とちょっと訝しく思ってしまったほど(苦笑)。メンバーも欧州では考えられない早い時間での出演ながら、まんざらでもなさそうだ。
「Renegade」と「Let The Hammer Fall」を除くと比較的新しめの楽曲が多かったと感じましたが(インストをプレイしていたときに、「Dragon Lies Bleeding」のサビメロが挿入されましたが)、「Bushido」なんかは日本を意識してセットリストに組み込んでくれたのでしょうか。個人的にはフルの「Dragon Lies Bleeding」や「Heeding The Call」が聴きたかったですが、この短い持ち時間では「Hearts On Fire」が聴けただけで御の字ですかね。
ようやく日本でも彼らがパワー・メタルの大物であることが認知されたのか…と感慨深いものがある(なんせ2003年の来日公演ではNOCTURNAL RITESとの豪華カップリングにもかかわらずクアトロがソールドアウトしなかったのですから!)大盛り上がりのステージでした。気持ちよく盛り上がれるピュア・メタル・ショウで、KINGDOM STAGEに集うようなメロディ派の人で失望した人はほとんどいなかったのではないかと思います。
彼らのライブ終わりで再び現れたDJ BOO氏が、34キロのダイエットに成功したという、まあ凄いと言えば凄いのですが、正直このフェス的にはどうでもいい話を披露していました。
◆ROYAL HUNT
引き続きKINGDOM STAGEに滞留し、ちょっと立ち疲れしていたので疲労回復のためにパエリア屋で売っていたチョコバナナクレープを注文。注文してからバナナを切って作り始めるので注文してから出てくるまで時間がかかるが、生クリームもチョコソースもかなりリッチに入れてくれて満足度が高かった。コーヒーが欲しかったですね(笑)。
「今ならドリンク冷えてますよー! いやいつでも冷えてるんですけど!」というオフィシャルバーのお姉ちゃんたちの掛け声に苦笑しつつ、途中での離脱を想定して後ろの方でROYAL HUNT待ち。HAMMERFALLよりROYAL HUNTが後に出てくるフェスなんて日本だけだろうな、などと思いつつ、個人的にはそれで助かったわけですが。
そしてROYAL HUNTをしばし鑑賞。「The Misson」で始まり、「Half Past Loneliness」、「River Of Pain」と観て4曲目の「Tearing Down The World」の途中でKINGDOM STAGEを後にしました。
とにかく今回印象的だったのはやはりD.C.クーパーですね。あの歌舞伎でいう見栄を切るというか、戦隊モノのヒーローを思わせるステージ・アクションは相変わらずちょっと気恥ずかしくもカッコいい。
歌声も絶好調で、伸びのあるハイトーンの切れ味は以前SILENT FORCEで観たときよりも冴え渡っていた気がします。
ただ、個人的な意見として言っておきたいのは、「PARADOX」は完成度の高いコンセプト・アルバムで、日本で高く評価されたアルバムですが、個々の楽曲は暗くてそれほどキャッチーではないので、ライブではファーストからサードまでの楽曲をやってくれたほうがデビュー時からのオールド・ファンとしては嬉しいよ、ということですね。
◆CHILDREN OF BODOM
同行していた友人がこのバンドを観たがっていたのと、それに続くARCH ENEMYの場所取りの意味を含めてメインアリーナへ戻る。しかし、その時メインアリーナはトリの時間かと思うほどの大盛況で、ANTHRAXがプレイしているULTIMATE STAGE側のアリーナには下りることさえままならない。
仕方ないのでしばらく待っているとANTHRAXの出番が終わり、燃え尽きた人たちが続々場外に出てくるのを待ってアリーナへ。後方ブロックの前方でARCH ENEMY待ちをしつつCHILDREN OF BODOMも見える位置をキープ。
CHILDREN OF BODOMのショウは単独およびLOUD PARKで何度も観ているが、近年はどうも今一つ高まらない。最初に観た2003年の頃のようなテンションが今の彼らにはないから、というのもあるが、客観的に観れば今でも彼らのパフォーマンスは充分にカッコいい部類で、個人的に高まらない理由は一重に選曲によるものだろう。実際「Hate Me!」がプレイされたときはかなりアガったので。
「Lake Bodom」が聴けたのは嬉しい誤算だったが、「ARE YOU DEAD YET?」以降の楽曲についてはどれも今一つアツくなれないのは、単に趣味の問題か、それとも彼らのソングライティング力が衰えているのか、こればかりは客観的に判断できません。
途中、日本語でかなりのロングトークを披露したヤンネ・ウィルマン(Key)の日本語力はなかなかのもの。「ドモアリFuckin’ガトー」ばかりのアレキシにも見習ってもらいたいところです(笑)。その際、脱退したローペ・ラトヴァラ(G)の穴を埋める形でプレイしていたサポート・ギタリストのアンティ・ウィルマンが「これは、僕の弟のアンティです」と紹介されていたが、サポート・メンバーということもあってか本日は非常に地味な扱いでしたね…。
◆ARCH ENEMY
我が心の師、カイ・ハンセン率いるGAMMA RAYがKINGDOM STAGEでプレイしている時間帯ですが、私はGAMMA RAYとARCH ENEMY、どちらのライブも複数回観た結果、ライブについては圧倒的にARCH ENEMYが良い、という結論が出ているので迷わずこちらを選択しました。
そして何と言ってもARCH ENEMYと言えばLOUD PARK名物。
ほぼ毎年出演しているのはマイケル・アモット(G)であってARCH ENEMYではありませんが、やはりこのLOUD PARKの顔的なバンドをひとつ選ぶとしたらこのバンドなのではないでしょうか。
昨年に続きトリ前(昨年は不幸な事件によって実質トリになりましたが)で出演した彼らは、今回10回目を迎えるLOUD PARKのためにオリジナル・ヴォーカリストであるヨハン・リーヴァ、そして現在は脱退しているクリストファー・アモット(G)をゲストに迎えたスペシャル・ステージを披露するという話題で盛り上がっていました。
とはいえ個人的にはジェフ・ルーミズ(G)を迎えたラインナップでのライブを観るのも初めてということで期待しており、新旧ラインナップで「一粒で二度おいしい」(このフレーズの元ネタを知っているのって何歳くらいまでなんだろう…)状態。
オープニングが「Yesterday Is Dead And Gone」というのは個人的にはやや微妙だったが、その後「Burning Angel」、「War Eternal」という曲の並びで一気に盛り上がり、「Ravenous」で最初の頂点を迎える。サウンドはイマイチだが、本日のこの会場ではいい方か。それでもジェフ・ルーミズの正確無比なプレイは際立っている。
昨年のLOUD PARKではアリッサ(Vo)の髪の色は深めのブルーでしたが、本日はちょっとターコイズブルーのような明るい色になっており、なんだかちょっと初音ミクを思い出しました(笑)。最近Web上のコミコンとかのレポート記事でよく見る「海外のコスプレイヤー」みたいというか。
パイロやスモークもバンバン使っていて、ステージ背後のビジョンにはリリック・ビデオなどが映し出される豪華仕様。完全にトリ並の待遇だったと思います。
その後「Stolen Life」を挟んでいよいよ本日のお楽しみ、ヨハンとクリスの登場タイム。ヨハンはだいぶ老けた写真を見たことがあったので不安だったが、いざ登場してみるとARCH ENEMY在籍時とほとんど変わらない印象(むしろちょっと垢抜けていたような。白髪染めたんですかね?)。
「Eureka」とか「Pilgrim」とか「Angelclaw」といったちょっと変化球気味の曲も聴きたかったですが、「Bury Me An Angel」に「Immortal」というごく順当な選曲。まあそれはしょうがない。クリスは脱退してからさほど経っていないこともあってか、いたって普通にプレイしていた感じでしたが、ヨハンはやはり晴れ舞台に立ってなんだか嬉しそうで、声もちゃんと出ていました。
一方佇まいがどうにもアングラで、ヨハンがこのままフロントマンをやっていたらARCH ENEMYの今の地位はなかっただろうな、とも思ってしまいましたが。
その後新しめの曲を中心にセットリストは進み、名曲「Nemesis」で締めかと思いきや、最後に再びヨハンとクリスが登場、今度はアリッサとジェフもそのままステージに残った「全員集合」状態で「Fields Of Desolation」をフル演奏。7人で演奏する意味はそれほどなかったと思いますがなんだか豪華で、もう本日終了かと思うほどのクライマックス感がありました。お腹いっぱいです。
◆SLAYER
指定席を取っていたにもかかわらず、結果的に本日はほとんど立ちっぱなしだったので体力の限界を感じ、ようやく席に戻って座っての鑑賞。幸いにして本日の指定席はSLAYERの出演するBIG ROCK STAGE側である。
席に戻る途中、ドリンクチケットを使っていないことに気が付いたのでオフィシャルバーに立ち寄ってビールと引き換える。ビールを飲みながらSLAYERなんて最高じゃありませんか?
しかし、疲れているときに座ってアルコールを飲んで爆音に身を浸すとどうなるか、ご想像いただければわかると思いますが、たちどころに眠くなってきます。朦朧とした状態でステージを見ていると、5回くらいヘドバンした後にギターのネックを前に振るケリー・キングの妙に規則的な動きが早送りで動く人形のように見えてきてなんだか催眠術にかけられている気分(笑)。
結局3曲ともたずに寝落ちし、途中「War Ensemble」のタイトルコールや「Chemical Warfare」といったよく知っている曲でハッと目覚めるも、断続的に眠りに落ち、目覚めると「Hell Awaits」をプレイしていました。その後「ラブソングだ」というMCから「Dead Skin Mask」がプレイされるとまた睡魔が襲ってきたのですが、「Raining Blood」のイントロで再び覚醒する。
思い起こせばLOUD PARK06でも、二日目に疲労の限界で立ちながら意識が遠のいていた私の意識を呼び戻したのはこの「Raining Blood」の不穏極まりないイントロでした。今でもこの曲を聴くと2006年の幕張メッセで大観衆の向こうに見える彼らの光景がまざまざと脳裏に浮かびます。
06のように「Raining Blood」で締めかと思いきや、そのまま「Black Magic」につながり、「South Of Heaven」へと続き、オーラスは名曲「Angel Of Death」でした。このタイミングでステージのバックにハイネケンのロゴっぽいデザインに「ハンネマン」と描かれたイラストが出現し、ジェフ・ハンネマンへの弔意が表現される。
ここに泣きのギターでも被せれば本当は効果的なのでしょうが、そういう湿っぽいことはせず、容赦ないスラッシュ・サウンドが展開されるあたりがSLAYERのSLAYERたるゆえんですね。1曲目から出現していたサークル・ピットも、もはやサークル(円)とは呼び難い、なんだかわけのわからない形になって蠢いており、これはこれで上から観ていて圧巻でした。
しかし、ショウの半分近く寝落ちしていた私が言うのもナンですが、ゲイリー・ホルト(G)のギター・ソロ、アルバム音源と全然違くないですか? まあジェフ・ハンネマンもアルバム通りに弾いている感じではなかったので「ライブではテキトーに弾く」というのが「SLAYERの正解」なのかもしれませんが。
「Angel Of Death」が終わると、例によってトム・アラヤ(Vo / B)が丁寧に「ドウモアリガトウ。オヤスミナサイ」と告げてショウが終わる。あらゆる余韻も感傷も吹き飛ばす、帝王ならではのステージでした。
例年仕事が忙しく、前日も終電やタクシー帰りで、なかなか1バンド目から行くこともままならないことも多かったのですが、今年は翌日が祝日ということもあり、いつも翌日に取っていた休みを前日にして、フル充電で出陣。
というわけで例年の異なり、オープニングアクトの開演15分前には会場に着いていたのですが、例年と異なっていたのは私だけではなく会場側も然りで、これまで見たことのない行列ができていました。こんなに奥の方まで回されたのは初めてです。
結局入場に30分以上かかり、入場したときにはオープニングアクトであるFRUITPOCHETTEのライブは最後の曲になっていました(それを場内ではなく通路で聴いた感じです)。積極的に観たいとまでは思っていませんでしたが、観られるものなら観ておこうと思っていただけに残念です。
朝食としてケンタッキーのチキンフィレサンドとビールを購入し、とりあえず荷物と上着を置きに指定席へ。MCのサッシャ氏が注意事項などをしゃべっている。
2、3曲UNITEDを観て、本日最初の目的であるGALNERYUSが出演するKINGDOM STAGEへ。メロディック・メタルのイメージってやっぱり王国とかそういうファンタジー的なものなんですかね。だとしたら発端はやはりHELLOWEENの「KEEPER OF THE SEVEN KEYS」、そしてBLIND GUARDIAN、ダメ押しがRHAPSODYなんでしょうね。
ここさいたまスーパーアリーナでの3ステージが初めての人(本日同行していた友人とか)は「サブステの入口どこだよ」と、入場の際にもらった不親切な地図(タイムテーブルの裏)を凝視していましたが、私は前回を経験してるので行き方がわかっているので問題ない。
KINGDOM STAGEは日が差し込む空間なので明るいのがメタルのライブとしては不似合いだが、まあWACKENなんかの野外フェスもそうなのでさほど問題はない。
◆GALNERYUS
仮にもメジャー所属のバンドということもあり、サブステージの1バンド目としては充分オーディエンスが集まっている。このKINGDOM STAGEのMCは、かつてサッシャ氏が別件で来れなかった際にMCをやっていたDJ BOO氏。彼のMCに導かれてショウが始まる。
現在のラインナップにおける代表曲と言っていいだろう「Destiny」で幕を開け、楽器隊各人の超絶技巧が炸裂する間奏パートで一気に会場がヒートアップする。楽器のテクニックによってオーディエンスを盛り上げることができるというのはやはり凄い。
小野正利のヴォーカルはちょっとフラット気味で絶好調とは言えなかったが、さすがのハイトーンを随所で披露していたし、ユーモアを交えたMC(これがゆえにGALNERYUSのライブというのはメタル・バンドというよりはJ-ROCKっぽい印象があるのですが)も会場の雰囲気を和やかにしていました。
12月にコンセプト・アルバムとなる新作を発表し、上海・香港・台湾といった海外を含むツアーを行なうという案内からプレイされた新曲「Raise My Sword」がまた彼らに期待される要素が凝縮された素晴らしい曲で、新作に対する期待も高まるステージでした。
◆OUTRAGE
KINGDOM STAGEはバンドとバンドの間が空くので、なんとなくもったいないな、という貧乏性な考えからいったんメインアリーナに戻って、その時プレイしていたOUTRAGEを観る。
このバンドもこのLOUD PARKの常連になりつつあるので何度か観たことがありますが、観るごとによく言えばシブ味が出ているというか、ちょっと悪く言えば枯れてきているような印象があって、ロック・バンドとしてはともかくメタル・バンドとしてはどうなんだろうなあ、という気がします。
個人的に一番観たい彼らの曲で、時折プレイしているらしい「Blind To Reality」を今回も観ることができず残念でした。
◆HOUSE OF LORDS
SLAYERの単独公演のサポートで話題になっていたGOJIRAを2曲ほどチェックして、再びKINGDOM STAGEへ移動。
このバンドは、毎回新作が出るたびにYouTubeなどでMVをチェックしては「悪くないけど、買うほどでもないかな…」と思ってスルーしてしまい、アルバムを通して聴いたことがなかったので、この機会にちゃんと聴いてみたいと思っていた。
3曲目の「Go To Hell」から観ましたが、意外と80年代残党組にありがちなロートル感がなくていい意味で驚きました。典型的なメロハー曲ばかりではなく、ちょっとヘヴィでミステリアスな感触のある曲や、土臭いアメリカンな曲も魅力的に聴かせられる実力は本物。このフェスではあまり聴くことのできないラブ・バラードもしっかり楽しませてくれました。
ジェイムズ・クリスチャンのハスキーなヴォーカルが上手いことは以前から承知していましたが、こうして生で見て観るとサウスポーのギタリスト、ジミ・ベルの強引なまでに弾き倒すシュレッドと、パワフルなドラマー、B.J.ザンパによる手数の多いフィルインが、凡庸なメロディアス・ハードになりそうな所でスパイスとなって効いていました。
主役である(?)ジェイムズの歌声も想像以上にエモーショナルな表現力があって、これでオッサン体型でなければ完璧だったのですが(笑)。
いや、本当に期待以上によかったです。今更過去のアルバムをチェックしてみようかな。せめて日本語版のウィキペディアができるくらいには人気出てほしいです、ホント。
◆ANTHEM
HOUSE OF LORDSが終わると、メインアリーナには戻らずそのままKINGDOM STAGEにとどまり、パエリアやソーキそばなど、昨年までの会場にはなかった飲食の屋台を物色。一番体力がつきそうな豚の味噌焼き丼をオーダー。
その後ぼちぼちANTHEMが始まりそうなタイミングで上手(かみて)側前方に移動。PAブースのちょっと前くらいに陣取る。
ANTHEMを観るのはLOUD PARK07以来で、森川之雄が歌うANTHEMを観るのは初めて。アルバムを聴いて森川の方が安定感があるのはわかっていたので歌唱については心配していなかったが、キャラ立ちという点ではどうか? と確認するような気分で観ていた。
森川時代の楽曲中心の選曲になるかと思いきや、1曲目が「Steeler」、続く2曲目は「Bound To Break」と予想を裏切る(しかしなかなかアツい)立ち上がり。新旧織り交ぜた選曲のバランスもよく、プレイも相変わらず全力投球・完全燃焼といった気迫があって気持ちのいいライブでした。
危惧した通り、森川之雄はルックス的にも坂本英三ほどの華はなく、MCやパフォーマンスもやや紋切型でしたが、このバンドは意図的にメタルのステレオタイプを演じようとしている節があるので(?)、余計なスタンドプレイやバンドイメージにそぐわないMCをしない森川の方が「柴田美学」には適しているのかも。
森川ANTHEMで個人的に一番好きな「Hunting Time」が聴けなかったのは残念でしたが、「Venom Strike」が聴けたのは嬉しかったですね。新しいアルバムからの曲も過去の曲と比べて聴き劣りするどころか、むしろトップクラスにいいんじゃない? と思えたあたり、このバンドの底力をあらためて思い知らされるライブでした。
◆HAMMERFALL
BACKYARD BABIESはともかくTESTAMENTはちょっと観たかったのですが、レア度も加味すると本日一番観たいバンドはHAMMERFALLだったので、そのままKINGDOM STAGEで待機。
前回観たのは2003年なので、もう干支が一周していることに気付いて思わず遠い目。当時のメンバーは既にヨアキム・カンス(Vo)とオスカー・ドローニャック(G)しか残っていない。
新作からの「Hector’s Hymn」でショウがスタート。このバンドの場合、欧州パワー・メタルの代表格的なバンドにもかかわらず、ライブにおける音圧みたいなものはやや軽めで、下手をするとギターが1本しかない(それもさほど攻撃的なプレイヤーではない)ANTHEMよりも迫力がない。
ライブ・パフォーマンス自体も伝統的なHMの流儀に則ったもので、何か特に斬新な要素があるわけではない(というかむしろ保守本流)のだが、その「様式美」具合がなんともメタル者の琴線に触れるのも確か。あまり聴き込んでいないアルバムからの、曲名が思い出せない曲であっても、サビまでいけば「ああ、この曲知ってるわ」と思い出すことができるキャッチーな楽曲の魅力もあって、自然と気持ちが高揚してくる。
気付くと結構な人数が集まっており、しかも皆積極的にメロイック・サインを高らかに掲げ、楽曲やMCに対する反応もすこぶる士気が高い。失礼ながら、彼らって日本でこんなに人気あったっけ? とちょっと訝しく思ってしまったほど(苦笑)。メンバーも欧州では考えられない早い時間での出演ながら、まんざらでもなさそうだ。
「Renegade」と「Let The Hammer Fall」を除くと比較的新しめの楽曲が多かったと感じましたが(インストをプレイしていたときに、「Dragon Lies Bleeding」のサビメロが挿入されましたが)、「Bushido」なんかは日本を意識してセットリストに組み込んでくれたのでしょうか。個人的にはフルの「Dragon Lies Bleeding」や「Heeding The Call」が聴きたかったですが、この短い持ち時間では「Hearts On Fire」が聴けただけで御の字ですかね。
ようやく日本でも彼らがパワー・メタルの大物であることが認知されたのか…と感慨深いものがある(なんせ2003年の来日公演ではNOCTURNAL RITESとの豪華カップリングにもかかわらずクアトロがソールドアウトしなかったのですから!)大盛り上がりのステージでした。気持ちよく盛り上がれるピュア・メタル・ショウで、KINGDOM STAGEに集うようなメロディ派の人で失望した人はほとんどいなかったのではないかと思います。
彼らのライブ終わりで再び現れたDJ BOO氏が、34キロのダイエットに成功したという、まあ凄いと言えば凄いのですが、正直このフェス的にはどうでもいい話を披露していました。
◆ROYAL HUNT
引き続きKINGDOM STAGEに滞留し、ちょっと立ち疲れしていたので疲労回復のためにパエリア屋で売っていたチョコバナナクレープを注文。注文してからバナナを切って作り始めるので注文してから出てくるまで時間がかかるが、生クリームもチョコソースもかなりリッチに入れてくれて満足度が高かった。コーヒーが欲しかったですね(笑)。
「今ならドリンク冷えてますよー! いやいつでも冷えてるんですけど!」というオフィシャルバーのお姉ちゃんたちの掛け声に苦笑しつつ、途中での離脱を想定して後ろの方でROYAL HUNT待ち。HAMMERFALLよりROYAL HUNTが後に出てくるフェスなんて日本だけだろうな、などと思いつつ、個人的にはそれで助かったわけですが。
そしてROYAL HUNTをしばし鑑賞。「The Misson」で始まり、「Half Past Loneliness」、「River Of Pain」と観て4曲目の「Tearing Down The World」の途中でKINGDOM STAGEを後にしました。
とにかく今回印象的だったのはやはりD.C.クーパーですね。あの歌舞伎でいう見栄を切るというか、戦隊モノのヒーローを思わせるステージ・アクションは相変わらずちょっと気恥ずかしくもカッコいい。
歌声も絶好調で、伸びのあるハイトーンの切れ味は以前SILENT FORCEで観たときよりも冴え渡っていた気がします。
ただ、個人的な意見として言っておきたいのは、「PARADOX」は完成度の高いコンセプト・アルバムで、日本で高く評価されたアルバムですが、個々の楽曲は暗くてそれほどキャッチーではないので、ライブではファーストからサードまでの楽曲をやってくれたほうがデビュー時からのオールド・ファンとしては嬉しいよ、ということですね。
◆CHILDREN OF BODOM
同行していた友人がこのバンドを観たがっていたのと、それに続くARCH ENEMYの場所取りの意味を含めてメインアリーナへ戻る。しかし、その時メインアリーナはトリの時間かと思うほどの大盛況で、ANTHRAXがプレイしているULTIMATE STAGE側のアリーナには下りることさえままならない。
仕方ないのでしばらく待っているとANTHRAXの出番が終わり、燃え尽きた人たちが続々場外に出てくるのを待ってアリーナへ。後方ブロックの前方でARCH ENEMY待ちをしつつCHILDREN OF BODOMも見える位置をキープ。
CHILDREN OF BODOMのショウは単独およびLOUD PARKで何度も観ているが、近年はどうも今一つ高まらない。最初に観た2003年の頃のようなテンションが今の彼らにはないから、というのもあるが、客観的に観れば今でも彼らのパフォーマンスは充分にカッコいい部類で、個人的に高まらない理由は一重に選曲によるものだろう。実際「Hate Me!」がプレイされたときはかなりアガったので。
「Lake Bodom」が聴けたのは嬉しい誤算だったが、「ARE YOU DEAD YET?」以降の楽曲についてはどれも今一つアツくなれないのは、単に趣味の問題か、それとも彼らのソングライティング力が衰えているのか、こればかりは客観的に判断できません。
途中、日本語でかなりのロングトークを披露したヤンネ・ウィルマン(Key)の日本語力はなかなかのもの。「ドモアリFuckin’ガトー」ばかりのアレキシにも見習ってもらいたいところです(笑)。その際、脱退したローペ・ラトヴァラ(G)の穴を埋める形でプレイしていたサポート・ギタリストのアンティ・ウィルマンが「これは、僕の弟のアンティです」と紹介されていたが、サポート・メンバーということもあってか本日は非常に地味な扱いでしたね…。
◆ARCH ENEMY
我が心の師、カイ・ハンセン率いるGAMMA RAYがKINGDOM STAGEでプレイしている時間帯ですが、私はGAMMA RAYとARCH ENEMY、どちらのライブも複数回観た結果、ライブについては圧倒的にARCH ENEMYが良い、という結論が出ているので迷わずこちらを選択しました。
そして何と言ってもARCH ENEMYと言えばLOUD PARK名物。
ほぼ毎年出演しているのはマイケル・アモット(G)であってARCH ENEMYではありませんが、やはりこのLOUD PARKの顔的なバンドをひとつ選ぶとしたらこのバンドなのではないでしょうか。
昨年に続きトリ前(昨年は不幸な事件によって実質トリになりましたが)で出演した彼らは、今回10回目を迎えるLOUD PARKのためにオリジナル・ヴォーカリストであるヨハン・リーヴァ、そして現在は脱退しているクリストファー・アモット(G)をゲストに迎えたスペシャル・ステージを披露するという話題で盛り上がっていました。
とはいえ個人的にはジェフ・ルーミズ(G)を迎えたラインナップでのライブを観るのも初めてということで期待しており、新旧ラインナップで「一粒で二度おいしい」(このフレーズの元ネタを知っているのって何歳くらいまでなんだろう…)状態。
オープニングが「Yesterday Is Dead And Gone」というのは個人的にはやや微妙だったが、その後「Burning Angel」、「War Eternal」という曲の並びで一気に盛り上がり、「Ravenous」で最初の頂点を迎える。サウンドはイマイチだが、本日のこの会場ではいい方か。それでもジェフ・ルーミズの正確無比なプレイは際立っている。
昨年のLOUD PARKではアリッサ(Vo)の髪の色は深めのブルーでしたが、本日はちょっとターコイズブルーのような明るい色になっており、なんだかちょっと初音ミクを思い出しました(笑)。最近Web上のコミコンとかのレポート記事でよく見る「海外のコスプレイヤー」みたいというか。
パイロやスモークもバンバン使っていて、ステージ背後のビジョンにはリリック・ビデオなどが映し出される豪華仕様。完全にトリ並の待遇だったと思います。
その後「Stolen Life」を挟んでいよいよ本日のお楽しみ、ヨハンとクリスの登場タイム。ヨハンはだいぶ老けた写真を見たことがあったので不安だったが、いざ登場してみるとARCH ENEMY在籍時とほとんど変わらない印象(むしろちょっと垢抜けていたような。白髪染めたんですかね?)。
「Eureka」とか「Pilgrim」とか「Angelclaw」といったちょっと変化球気味の曲も聴きたかったですが、「Bury Me An Angel」に「Immortal」というごく順当な選曲。まあそれはしょうがない。クリスは脱退してからさほど経っていないこともあってか、いたって普通にプレイしていた感じでしたが、ヨハンはやはり晴れ舞台に立ってなんだか嬉しそうで、声もちゃんと出ていました。
一方佇まいがどうにもアングラで、ヨハンがこのままフロントマンをやっていたらARCH ENEMYの今の地位はなかっただろうな、とも思ってしまいましたが。
その後新しめの曲を中心にセットリストは進み、名曲「Nemesis」で締めかと思いきや、最後に再びヨハンとクリスが登場、今度はアリッサとジェフもそのままステージに残った「全員集合」状態で「Fields Of Desolation」をフル演奏。7人で演奏する意味はそれほどなかったと思いますがなんだか豪華で、もう本日終了かと思うほどのクライマックス感がありました。お腹いっぱいです。
◆SLAYER
指定席を取っていたにもかかわらず、結果的に本日はほとんど立ちっぱなしだったので体力の限界を感じ、ようやく席に戻って座っての鑑賞。幸いにして本日の指定席はSLAYERの出演するBIG ROCK STAGE側である。
席に戻る途中、ドリンクチケットを使っていないことに気が付いたのでオフィシャルバーに立ち寄ってビールと引き換える。ビールを飲みながらSLAYERなんて最高じゃありませんか?
しかし、疲れているときに座ってアルコールを飲んで爆音に身を浸すとどうなるか、ご想像いただければわかると思いますが、たちどころに眠くなってきます。朦朧とした状態でステージを見ていると、5回くらいヘドバンした後にギターのネックを前に振るケリー・キングの妙に規則的な動きが早送りで動く人形のように見えてきてなんだか催眠術にかけられている気分(笑)。
結局3曲ともたずに寝落ちし、途中「War Ensemble」のタイトルコールや「Chemical Warfare」といったよく知っている曲でハッと目覚めるも、断続的に眠りに落ち、目覚めると「Hell Awaits」をプレイしていました。その後「ラブソングだ」というMCから「Dead Skin Mask」がプレイされるとまた睡魔が襲ってきたのですが、「Raining Blood」のイントロで再び覚醒する。
思い起こせばLOUD PARK06でも、二日目に疲労の限界で立ちながら意識が遠のいていた私の意識を呼び戻したのはこの「Raining Blood」の不穏極まりないイントロでした。今でもこの曲を聴くと2006年の幕張メッセで大観衆の向こうに見える彼らの光景がまざまざと脳裏に浮かびます。
06のように「Raining Blood」で締めかと思いきや、そのまま「Black Magic」につながり、「South Of Heaven」へと続き、オーラスは名曲「Angel Of Death」でした。このタイミングでステージのバックにハイネケンのロゴっぽいデザインに「ハンネマン」と描かれたイラストが出現し、ジェフ・ハンネマンへの弔意が表現される。
ここに泣きのギターでも被せれば本当は効果的なのでしょうが、そういう湿っぽいことはせず、容赦ないスラッシュ・サウンドが展開されるあたりがSLAYERのSLAYERたるゆえんですね。1曲目から出現していたサークル・ピットも、もはやサークル(円)とは呼び難い、なんだかわけのわからない形になって蠢いており、これはこれで上から観ていて圧巻でした。
しかし、ショウの半分近く寝落ちしていた私が言うのもナンですが、ゲイリー・ホルト(G)のギター・ソロ、アルバム音源と全然違くないですか? まあジェフ・ハンネマンもアルバム通りに弾いている感じではなかったので「ライブではテキトーに弾く」というのが「SLAYERの正解」なのかもしれませんが。
「Angel Of Death」が終わると、例によってトム・アラヤ(Vo / B)が丁寧に「ドウモアリガトウ。オヤスミナサイ」と告げてショウが終わる。あらゆる余韻も感傷も吹き飛ばす、帝王ならではのステージでした。
- 関連記事
-
- LOUD PARK 14 初日の感想
- LOUD PARK 15 一日目の感想
- LOUD PARK 10の感想
スポンサーサイト
コメント
ラウドパーク初日
恩恵は、そこぐらいでしたね。
結局、席をある程度離れるとプレミアムチケットの席でも無断で座られるしね。
ちゃんとチェックするガタイのいいセキュリティみたいな人つけてくれないですかね?
Slayerの単独でGojiraをガッツリ見たので、心置きなくHouse Of Lordsを見れました。
初来日以来のHammerFall(多分、15~16年前?)も素晴らしかったですね!
Gamma RayとArch Enemyのカブリも何とか、ヨハンが歌うThe Immortalは見れました。
自分の勘の良さに驚きましたよ。
今年は、見たいのが多すぎてあまりブースを見てまわれなかったのが残念でした。
2015-10-13 06:31 通行人R URL 編集
タイトル
もともとSlayerは曲自体好きなほうではなくて敬遠していたのですが、この日のために聞き込んでみると、意外にいい!と思えて、楽しみにしていたわけです。
実は私、Arch Enemyではうとうとしてて・・・Slayerになったら目が覚めました。
Tom Arayaの笑顔がほんとにキュートで、ハートをわしづかみにされた気分です。
2015-10-13 10:26 ririx URL 編集
誤算が色々と・・・
まず結構楽しみにしていたTestament、残念ながら音のバランスがかなり悪い。彼らの一番の魅力のはずのギターリフが正直死んでました。彼らのパフォーマンスの雰囲気自体はかなり熱が入っていましたが、個人的には全然楽しめず残念。
対照的に、ULTIMATE側のAnthraxは、期待以上の素晴らしいパフォーマンスで嬉しい誤算。ベテランらしい安定感は保ちつつ、ベテランらしからぬ若々しいエネルギーを発散させていました。ジョーイ・ベラドナのステージングが最高でした。Royal Huntも観たかったけれど、もし観にいってたらAnthraxの熱いパフォーマンスは観れなかったので、フェスの難しさと今年のラインナップの厚さを感じました。
そしてChildren Of Bodom。上手いのはよく分かる。しかし、いまいち高揚しきれないパフォーマンスと、管理人さんと同様に個人的には外れだったと思われる選曲。うーん、正直最前線に突っ込んでいながら、冷めてる瞬間が結構ありました。無念。
あと、Gojiraと迷いつつHouse Of Lordsを選んで大正解でした(Gojiraもよかったらしいですが)。曲も演奏もヴォーカルも自分のツボにはまりました。もし今後単独があれば必ず行きたいと思います。
個人的に最大の誤算は物販にありました。お布施のような気持ちも込めてTシャツは結構買いたい派なので始発で行って6:00前ぐらいには到着したのですが、既に待機列にざっと数えて400~500人の大行列!個人的な今年最大の目玉のSabatonのTシャツが自分の直前でなんと初日分完売・・・!嘘でしょ・・・(涙)
悩んだ結果、2日目も始発で行くことを決断(初日Slayerまで観たのでものすごく迷いましたが)。2日目ということと雨の影響もあってか、今度は待機列が80人ぐらい。「よっしゃ!」と思いましたが、自分の順番の頃にはLサイズしか残っていない状況に!いや、自分はLサイズなので助かりましたが、それも残り数十枚という状況でした。明らかに用意していた枚数が足りてなかったです。
2015-10-13 11:46 kim URL 編集
お疲れ様でした~(^^)
私は3ステージ制初めてで、キングダムステージの行き方が最初よくわからず右往左往(^^;💦こちらのステージはガルネリとアンセムのみしか観れなかったのがとても残念です。ハンマーフォール~ガンマレイまで観たかったんですけどねぇ(-_-;)3ステージは移動にも時間かかりますし、他のバンドとかぶって観れないなんてちょっと……(^_^;)あまり好きくありません。
てなわけでテスタメント以降はずっと本会場?の方に居ました。自由席に座り休憩がてらテスタメント見てたら眠くなって寝てしまいました(笑)
その後はあまりの人の多さに辟易したのもあるんですが、立ち上がる気力もなく、ただひたすら遠くからステージ眺めてました~(^_^;)
アンスラックスとアーチエネミー良かったですね。特にアーチエネミーは最期感動して涙ぐんでしまいました(^^;💦ヨハンさんも見れて良かった。でもアリッサと並んで歌うと、その実力や存在感の差が……少し気の毒な気が……(笑)
でもアレですね。折角の有名デスラッシャー三昧を席でじっと座ってみてるのもなんというか、味気ないと言うか、年寄ではありますがまだ足腰が動く内は若者たちと一緒に走り回りたかったなぁ♪と、やや後悔の初日でした。
2015-10-13 13:30 Zepp URL 編集
ほぼ前日に立てたプラン通りに行動することができたので非常に満足感の高いライヴになりました。去年はイマイチ勝手がわからず、会場の外に出たりしてやや不完全燃焼感があったので、同じ轍を踏まないよう今年はひたすら音に集中してました。
唯一の誤算はTESTAMENTのライヴで自分はアリーナ前方にいたのですが、ライヴが始まってすぐに何者かが僕の股に頭を入れ、肩車の要領で持ち上げられ強制的にダイブさせられたことです(笑)
おかげでポッケに入れてた耳栓を落とし、一気にフロア最後方に行くハメになりましたとさ。まあ割とすぐモッシュピットに入れたので良かったですケド。
どのバンドも本当に素晴らしくてベストアクトを決めるのはすごく難しいなぁと思っていました。二日目のSabatonを見るまでは。
2015-10-13 16:49 翔 URL 編集
Arch Enemyの時間帯
幸いにも、そこそこ人が入っていたように思います。
しかしこの日、adoreさんもどこかでお聞きかもしれませんが、カイが絶不調でまあ声が出ない。
他のバンドだったらかなり白けた空気になるでしょうが、そこはカイの人徳なのか、声が出ない部分は全てファンが代わりに歌ってあげてライブを成立させるという荒業を見ました(笑)
会場がファンの愛と優しさに包まれていて泣けてきましたね...
アチエネも10周年記念に相応しいスペシャルなライブでしたが、こちらもある意味スペシャルなライブになったと思います(笑)
ただやっぱりアチエネも見たかったですねぇ...今更嘆いても仕方ないことですが...
2015-10-13 18:28 ながいも URL 編集
もう3日も経ったんですね...
私もO.A.を見逃してしまいました。
県内に住んでいるので少し油断してました。
いつもは、余り並ばないというようなことを聞いたことがあるので
私もUNITEDから見てました。
最後まで観てCombatとか聴きたかったですが...
Galneryusをもう少し後ろで見ようと思ったら
意外と前で観れたので調子に乗っていたら
OutrageのMy Final Dayが聴けないというアクシデントが発生しました。
あとはANTHEMとArch Enemy以外は、つまみ食いでしたね
AnthraxやGamma Rayをちゃんと観れませんでした。
知らない曲ばかりのチルボドを観たことを
初めてのラウパなので少し後悔しました。
でもまあ結局、楽しかったので
来年もまた行きたいですね
次は、もっと外タレを前で
2015-10-13 19:04 かつ丼 URL 編集
まとめてお返事
プレミアムチケットは豪勢ですね!
セキュリティは人件費がかさむので無理でしょう。明らかに人は足りてないですけどね。
GAMMA RAYとARCH ENEMYを掛け持ちしてヨハンタイムに戻ってくるとは勘が良いですね!
>ririxさん
HOUSE OF LORDSやROYAL HUNTの対比がSLAYERというギャップが可笑しいですね(笑)。
トム・アラヤはあの邪悪なサウンドに似つかわしくない笑顔の持ち主ですね。
>kimさん
TESTAMENTのサウンドについては各所で酷かったと言われていますね。
一方ANTHRAXのパフォーマンスが素晴らしかったというのもよく耳にします。
CHILDREN OF BODOMはちょっと何か変えた方がいいんじゃないかな、って気がします。
希望のTシャツが自分の直前で売り切れは心が折れますね。というか初日そんなに並んでいたんですか…。
>Zeppさん
初めての人にあのサブステの位置はわかりにくいですよね~。
初日は2008年のSLIPKNOT出演日以来の盛況だったような気がします。
3ステージ制は全部観たい人には不評ですね。私は全部観たい気持ちもありつつ、色々悩むのもまたフェスならではで嫌いではないのですが。
ARCH ENEMYのライブの演出はとても良かったですね。個人的にも初日のベストアクトです。
>翔さん
ラウパはやはり2日連続参加こそが醍醐味ですよね。
特に宿泊を挟んだりしたときの楽しさはプライスレスです(私は幕張開催の時しか宿泊はしていませんが)。
ホント、あの2日目の終わりの寂しさは異常です。
強制ダイブはアクシデントですが、そういうアクシデントが実は一番思い出になるものですよね。
そしてまるで続き物のようなコメントの引き(笑)。
後日アップする2日目の感想にもコメントいただけるものと期待しておきます(笑)。
>ながいもさん
なんてカイ・ハンセン思いな方なのでしょう。
私も心の師匠はカイ・ハンセンですが、メロディック・パワー・メタルのファンの中にはデス声を受け付けない人が一定数いるので、全員がARCH ENEMYに引っ張られることはないだろうと安心して見捨てました(笑)。
カイが絶不調だったという噂は聞いていますが、今でもカイ・ハンセンについているファンというのは、かなり暖かいファンばかりだと思いますし、皆カイの歌にそれほど期待していないと思いますのでノープロブレムですね!(笑)
私はARCH ENEMYを取ったことに後悔は全くありませんが、それでもやはりGAMMA RAYも観たかったなあ、と思う気持ちはありますね。
>かつ丼さん
初めましてというか、Twitterでリプを下さった方ですよね。最初のリプにお返事せず失礼しました。
たしかに例年はあまり並びませんね。私も油断していました。
フェスを観るコツとしては「絶対観たいのは何か」を事前に明確にしておくことですね。
そうすればそれ以外でいいものが観れたらラッキー、みたいな境地になれます(笑)。
どんなメンツであっても終わってみれば楽しいイベントなので、来年もぜひ。
2015-10-14 02:38 adore URL 編集
私も上の方と同じく、アチエネとGamma Rayで迷って後者を取ったクチです。HalloweenとUnisonicはライブ参戦経験がありましたが、Gamma Rayはなかったので。
ボーカルはともかく、選曲とオーディエンスのノせ方はさすがにベテランの風格でした。COBも違う意味で煽り上手でしたが笑
オズフェスも今から楽しみです。長々失礼しました。
2015-10-14 20:43 y2 URL 編集
>y2さん
私はたまたま何度もGAMMA RAYを観たことがあったというだけで。
GAMMA RAYはオーディエンスと親密な空気を作ることが上手いですね。
オズフェス、2日目だけ行くかどうか迷い中です(笑)。
2015-10-15 00:33 adore URL 編集
お疲れ様でした
初日、本当はいろいろ見てまわるつもりだったのに結局ほとんどの時間をKingdomで過ごしました笑
私もGamma Ray途中離脱でヨハンに間に合ったクチです。
カイが「次の曲は皆で歌ってくれ!I want out!」とコールした瞬間、どうせ明日も聴くしな。。。と心置きなく退場しました。
個人的な初日の掘り出し物はHOUSE OF LORDSで、adoreさんも言及されているギタリストにすっかり魅了されてしまいました。
2日目のレポートも楽しみにしています!
2015-10-15 07:41 dora_e_m URL 編集
>dora_e_mさん
GAMMA RAYの途中離脱者、多いですね(笑)。
「I Want Out」でホントにOUTしちゃったと(笑)。
HOUSE OF LORDSは確かに期待以上に良かったですね。
あのギタリストも、今まで誰も注目していなかった(?)のが不思議なくらいの腕前でした。
2日目のレポート、さっさと書きたいのですが今週思いのほか仕事が忙しく…。
まあ今週末には書けると思います。
2015-10-16 03:01 adore URL 編集
夢のようでした
選曲について色々いわれているCOBですが、
私が、ROYALHUNTが終わってKingdomステージから
メインステージに移動したときは、「Hate Me!」をやっていたので
いいときに戻ったと思います。(笑)
初めてみるアレキシは、クラウザーさんそっくり(笑)
素直にカッコイイと思いました。
2015-10-16 18:32 Fuck-Low URL 編集
>Fuck-Lowさん
アレキシがクラウザーさんそっくりで、それでカッコいいということは、クラウザーさんはカッコいいという三段論法が成り立ちますが、そういう理解でよろしいんでしょうか?(笑)
2015-10-18 02:54 adore URL 編集
タイトル
長年メタルを聴いてきて本当に良かった。
ただ今年のメンツが凄かったから来年のブッキングが大変かもしれませんね。
おそらく今年と比較されるでしょうし。
2015-10-24 21:34 ランディ URL 編集
>ランディさん
今年のラインナップは保守的でしたが、それが好意的に受け止められたので、そういう意味では主催者としては「どうすれば受けるか」については確信を持てたのではないでしょうか。
あとはヘッドライナー、準ヘッドライナー格でどこまでメジャーなバンドを呼べるか、だけだと思います。
2015-10-25 00:18 adore URL 編集