FC2ブログ

LOUD PARK 15 二日目の感想

2日目はあいにくの雨。私のブログを読んでいない同行の友人は実質捨てることになるビニール傘を持ってきて「え、持って入れないの?」などと言っている。

前日の反省(入場に時間がかかり、オープニングアクトに間に合わなかった)を活かし、昨日より30分早く出発。雨の中なかなか入場させてくれない糞オペレーションに苛立ちつつ、なんとかオープニングアクトであるGYZEにギリギリ間に合うタイミングで入場する。

GYZE
アルバムが良かったので期待していました。トリオ・バンドということもあっていささかステージの広さを活かしきれていないような気もしましたし、演奏も最初はちょっと硬いような気がしましたが尻上がりに良くなっていきました。

昨日のUNITED同様、朝っぱらというのにサークル・ピットが生まれていましたが、それに飽きたらず「伝説を作りたいと思います」と、ウォール・オブ・デスを要求し、あまりダイナミックなものではなかったものの何とか実現させる。

彼らのことを全く知らなかった友人も「ギターボーカルが完全にアレキシだけど、いいね」と言っていましたが、やはりメロディを弾いているときちょっと音が薄くなるので、ギターをもう一人入れた方がいいんじゃないですかね…。まあコストも上がるし、腕前はもちろんメンバーにはルックスも求めたいと言っていたのでなかなか難しそうですが。

オープニングアクトゆえにわずか3曲でしたが、もっと長く観ていたかったですね。


WE ARE HARLOT
アメリカではかなり人気があるメタルコア・バンドだったASKING ALEXANDRIAのフロントマンだったダニー・ワースノップを中心に結成されたバンドで、この新バンドではメタルコアではなく、80年代を彷彿させるキャッチーなハード・ロックを展開しているということ、しかもドラムが元AQUARIA~REVOLUTION RENAISSANCEのブルーノ・アグラということでちょっと興味を持っていたバンドだ。

GYZE終わりで買ってきたケバブデラックスとビールによる朝食をとりつつ、指定席でゆっくりと鑑賞。

前評判通りキャッチーなアリーナ・ロックで、演奏もタイトでなかなか楽しめたが、この手の音楽を主食としない私のようなリスナーを虜にするほどの求心力は感じられず、まあまだデビューして間もないのでその辺はこれからでしょうか。

アメリカやイギリスのバンドにありがちですが、MCで使われる英語のボキャブラリーが高度過ぎて日本人にはちょっとわかりにくかったような。


ARMAGEDON
恐らく、昨夜の「ARCH ENEMY再結成イベント」にクリストファー・アモット(G / Vo)を呼ぶ必要があるので、「ついでだし出てもらいましょう」みたいな流れで出演が決まったのではないかと思われます。

ただ、オープニングアクトであったGYZEはおろか、反対側のステージの「浜田麻里待ち」の人たちよりオーディエンスが少なく、かなり厳しい状況。ヴォーカルの人がサークルピットを促しても無反応だし。

よく聴けば曲は悪くないのですが、いかんせんフェスで盛り上がるにはちょっと地味かも。

昨夜ARCH ENEMYのステージでの盛り上がりを体感したクリスとしては忸怩たる思いがあったのではないでしょうか。


浜田麻里
昨年のSUMMER SONICで観たライブの印象が良かったので期待していました。そしてその期待にほぼ完全に応えるステージだったと言っていいでしょう。

ほぼ、というのは、ちょっと音のバランスが悪かったから。浜田麻里ほどの強力なシンガーでなければ、演奏の音に埋もれてしまったかもしれません。

私が観たSUMMER SONICの際にもかなりHR/HM色の強い楽曲にフォーカスしていましたが、本日はさらにその傾向が顕著で、SUMMER SONICではプレイしていた彼女最大のヒット曲「Return To Myself」もなし。メロディックで勢いのあるHR/HM系の楽曲を中心に(「Nostalgia」はアカペラのショート・バージョンで披露。衰えぬ歌唱力のアピールかと思われるが、正直普通にやってくれた方がよかったかも…)ショウは進行する。

そして後半は本日のサプライズ、高崎晃(LOUDNESS)のゲスト参加。浜田麻里はかつてデビュー当時にLOUDNESSの故樋口宗孝のバックアップを受けていましたし、近年のアルバムやライブにゲスト参加していたので、SOLDER OF FORTUNE名義で高崎晃がこの会場にいることを考えると予想していたファンも多かったことでしょう。

しかし何がサプライズって、まさか80年代当時を思わせる衣装(と、ヅラ)で出てきたことですよ。タイムスリップかと思いました(笑)。心なしか高崎晃がずっとニヤニヤしていたのは、ステージが楽しいというより衣装が気恥ずかしくての照れ笑いだったのかもしれません(?)。

御年53とは思えない歌声とルックスを維持しており(ステージ・アクションはいささか古臭いのですが)、そしてバック・コーラスを務める妹の浜田絵里がこれまた本人以上かというハイトーンを響かせていて圧巻でした。往年の名曲、「Don’t Change Your Mind」のサビのスクリームにはシビれましたね。大満足です。


KAMELOT
近年のアルバムにかつてほどの輝きを感じていないことは認めつつ、基本的には私はKAMELOTのファンで、ロイ・カーン在籍時も、トミー・カレヴィック加入後のライブも観ている。

逆に観たことがあるだけに今回特別観なくては、というほどのモチベーションは特になく、また、彼らのちょっとナルシスティックな孤高の世界観が、彼らのファンばかりではないフェスの会場で好意的に受け止められるのか、という点についてはやや懐疑的だった。

しかし、ショウが始まるとそんな煮え切らない気持ちはたちどころに吹っ飛んでしまった。まずサウンドがいい。バランスのとれたアンサンブルでメタルとして理想的な音圧が実現している。

そしてパフォーマンスがいい。特に何か変わったことをしているわけではないが、非常にまとまりのある、メタル・バンドらしいパフォーマンスをしている。特に前回観たときにはややカリスマ不足に感じたトミー・カレヴィックが、格段に存在感を増している。「イチ、ニイ、サン」からの投げキッスにはヘテロの男ながら思わず赤面してしまいました(笑)。

ステージから降りてきて、花道(?)をPAブース前まで出張ってファンと触れ合ったミュージシャンは今回私が見た限りトミーだけで、前回観たときよりも格段にフロントマンとしての自信をつけているように映りました。

1曲目の「Veil Of Elysium」からグイグイ彼らの世界に引き込まれ、頭を振らずにいられない。変にムーディーな曲を挟まず、比較的ストレートにアップテンポな曲を集めたセットリストも考えられている。

名曲「Forever」における掛け合いでひとつのハイライトを迎えたが、その後アリッサ・ホワイト=グルーズのゲスト参加でショウに新たな華が加わったのも非常に良かったと思う。

もはや準メンバーに近い(?)アリッサだが、なにぶんARCH ENEMYとKAMELOTは出演日が違うので登場するかどうかは五分五分かと思っていた。私なら確実に自分が出演しない日は観光に行きますからね(笑)。しかしアリッサは私などよりはるかに勤勉だったようだ。

KAMELOTの暗黒面を彩るデス声は昨日ARCH ENEMYでたっぷりと観ているのでさほどありがたみはないが、THE AGONISTを脱退してしまった今、アリッサのノーマル・ヴォイスでの歌声が聴けるのはKAMELOTだけ!(?) 堪能させていただきました。

贅沢を言えば「Karma」と「Center Of The Universe」もやってほしかったが、充分満足感のある、引き込まれるパフォーマンスでした。


PRETTY MAIDS
このバンドも一度観てみたいと思っていて、近年来日した際にはいずれも予定が合わず観ることができなかったため、この機会に観られるのはラッキーだった。

一時期ちょっと低迷していた彼らだが、ここ数年はかなり好調を維持していることもあって、セットリストは割と新しい曲が多め。

このバンドの要であるロニー・アトキンスのヴォーカルが冒頭今一つ通りが悪く(マイクのせいでしょうか?)、そのせいでちょっと盛り上がりきれなかったが尻上がりに良くなっていったと思います。

プレイされた曲がどちらかというとパワー・メタル寄りというよりはメロディアス・ハード寄りの曲が多かったことも、ちょっとインパクトを弱めていた気がします。正直、KAMELOTのパフォーマンスが意外なほどエネルギッシュだっただけに、ちょっと見劣りしてしまった観は否めません。

全体的にはベテランらしい手堅いショウ運びで、ちゃんと盛り上げていったのですが、熱心なファンが集う単独公演ではなく、興味本位の観客も多いフェスで新しめの曲をオーディエンスに歌わせようとしたのは個人的にちょっと感心しません。

盛り上がったのはやはり「Back To Back」そして『BURRN!』誌の年間ベスト・チューンに選ばれた名バラード(カヴァーですが)「Please Don’t Leave Me」といったクラシックでした。私も「Please Don’t Leave Me」については生で聴きたいと思っていましたが、私が親しんでいた「SIN-DECADE」に収められていたバージョンより気持ちテンポが速く、それでいて歌は「OFFSIDE」に収録されていたアコースティック・バージョンがベースになっていたのでちょっと違和感も。

とはいえ、なんだかんだ言ってラストの「Future World」を聴く頃には満足していたんですけどね。「Future World」って「キーボードを効果的に使ったヘヴィ・メタル」のお手本みたいな曲ですよね。


THE LOCAL BAND
「80年代ヘア・メタルの名曲をカヴァーする、アレキシ・ライホ(CHILDREN OF BODOM)のサイド・プロジェクトという予備知識しかありませんでした。

裏でやっているDARK TRANQUILLITYも観たかったのでどうしようかちょっと悩みましたが、80年代ヘア・メタルは大好きなのでひとつお手並み拝見、とサブステに移動せず、メインアリーナに残留。次のSOLDIER OF FORTUNEはかなり観たかったので、どうせすぐに戻ってくるから移動するもめんどくさいしな…という思いもありました。

ライヴはSetlist.fmで予習していた通り、MOTLEY CRUEの「Shout At The Devil」でスタート。アレキシ以外のメンバーが誰なのかは予習していなかったのですが、VoがRECKLESS LOVEのオリ・ヘルマンであることに気付く。この人はやはり華がありますね。

その後POISONやらGUNS ‘N ROSESやらDEF LEPPARDやらSKID ROWやらの曲がプレイされるわけですが、やはりちょっとショウに緊張感がなく、「お遊び」感が否めない。

まあ知っている名曲ばかりなのでつまらなくはなかったのですが、これはあんまり真剣に観るようなバンドじゃないなと思って途中でビールを買いに出て、飲みながら観ていました。

あまり事前情報が充分でなかった割には人付きは悪くなく、それはひとえに曲の魅力だったのではないかと思います(アレキシのコア・ファンもいたと思いますが)。


SOLDIER OF FORTUNE
マイク・ヴェセーラ(Vo)が高崎晃と山下昌良をバックに、あるいは高崎晃と山下昌良がマイク・ヴェセーラを復帰させての実質「第2期LOUDNESS」再結成プロジェクト。

実は私はLOUDNESSのアルバムでは「SOLDIER OF FORTUNE」が三本の指に入るくらい好きなのでこのプロジェクトには結構期待していました。

マイク・ヴェセーラは私が最初に見たイングヴェイの「SEVENTH SIGN」ツアーの頃からさほど見た目の印象は変わらず(あの時は変なヒゲを生やしていましたが)。高崎晃は先刻の浜田麻里のときの80年代風の衣装から、いつものドレッドヘアの格好にわざわざ着替えていました。

ドラムはてっきりLOUDNESSの現ドラマーである鈴木政行かと思いきや、なぜかSADSのGO氏が叩いている。なんか最近Twitter見てると清春(SADS)と高崎晃がよく絡んでいるし、その辺の縁でしょうか。あるいはGO氏がやっていた(いる?)SUNS OWLがLOUDNESSのトリビュート・アルバムに参加していたし、元々縁があるのかもしれません。

しかし、オープニング・ナンバーが「Down ‘N’ Dirty」とは…。いや、当時のライブ盤である「LIVE LOUDEST」もそうだったから意外ではないのだが、何もこんな退屈な曲で始めなくても…。

その後も割と地味な曲がたて続き、直前にアルコール注入していただけにノックアウト寸前に。こんなことならDARK TRANQUILLITYを観に行ってウィゴウしておけばよかった…という思いが脳裏をかすめるも後の祭り。

記憶がちゃんとあるのは「Crazy Night」のあのリフが鳴り響いて以降ですね。やはり名曲は強い。

しかし、その「Crazy Night」におけるマイク・ヴェセーラの歌唱はかなり酷かったと言わざるをえません。というか1曲めからちょっと調子っ外れでしたが…。

昔から薄々思っていましたが、この人は「ハイトーンでシャウトできる」人ですが、「ハイトーンで歌える」人じゃないんですよね…。正直「Crazy Night」のワースト・カヴァー(彼らの場合カヴァーと言っていいのかわかりませんが)でした。

その後、マイクが「巨人の星」のメロディを歌い出し、「なんだなんだ、まさかANIMETAL USAでもやる気か?」と思いましたが、どうやらそれはちょっとした「客いじり」だったようで、ついにこのプロジェクトの名前でもある名曲「Soldier Of Fortune」が登場。

てっきりこの曲がオープニング・ナンバーかラスト・ナンバーになると思っていただけに、なんだか中途半端なタイミングで出てきたな、という感じでしたが、言ってみればさっきの「Crazy Night」が本編のラスト、この「Soldier Of Fortune」がアンコール1曲目、みたいな意識なのかもしれません(?)。

さすがに「持ち歌」だけあって、歌は「Crazy Night」よりはマシでした。ギター・ソロもかなり完コピに近く、今ではもうあのやたらとフラッシーなソロは本人も弾けないんじゃないかという疑惑も抱いていただけに、その点は嬉しかったですね。

その後「ON THE PROWL」に収録されていた英語版「In The Mirror」、そして正直この曲をやるとは思っていなかった怒涛のパワー・メタル・ナンバー「S.D.I」で幕切れ。

名曲が連打された後半は良かったですが、前半は本日のタイムテーブル中でも屈指の退屈さだったような…。


SABATON
実は本日一番期待していたのは彼らでした。何しろヨーロッパにおけるその人気は日本では想像もできないほどで、その圧倒的な支持を裏付けているのがライブ・パフォーマンスだと聞いていたからだ。

というか、前のSOLDIER OF FORTUNEがプレイしている時点で既にステージに戦車(型のドラムキット。戦車なのにYAMAHAと書いてある/笑)が出現しており、期待がさらに膨らんでいた。

SOLDIER OF FORTUNEが終わってしばらくすると、彼らのショウのオープニングの定番であるEUROPEの「The Final Countdown」が流れてさらにワクワク感を盛り上げる。

そして1曲目「Ghost Division」でスタートし、ミリタリー服風の衣装に統一されたメンバーが演奏を開始し、ヴォーカルのヨアキム・ブロデンが飛び出してステージ狭しとアクションをキメまくると、もはや場内はSABATONに釘付け。あっという間に場内のオーディエンスを掌握してしまった。

実際、アリーナ前方にはかなりアツいオーディエンスが集まっていたようで、「Swedish Pagans」のコーラスを歌ってみせてヨアキムを驚かせていた。きっと「日本ではSABATONは全然知られていない」と言われていたのだろう、ヨアキムは終始オーディエンスに対して盛んに感謝と賞賛の意を表していました。それがまた本当に嬉しそうな所が微笑ましい。

途中、まるまる1曲ぶんの時間を使ってギターを使ったちょっとしたコントまで披露する頃には場内みんなSABATONに夢中(笑)。わかりやすい英語のMCによる的確な煽りもあって、最後まで盛り上がりは続き、アリーナに「SABATON」コールが満ちあふれました(07年のときのSAXONコールを思い出しました。どちらも語呂が似ているだけに、呼びやすいんでしょうね)。

トドメはライブの終盤、ヨアキムがサングラスを外した瞬間でしたね。強面なサングラスの下に隠されていたあの優しげでつぶらな瞳を見たとき、「おっかない熊かと思っていたら実はパンダだった」みたいなギャップに場内が爆笑の渦に包まれました。

曲もパフォーマンスもライブでの盛り上がりにピッタリでしたが、ヨアキム・ブロデン、これほどまでに初見のオーディエンスのハートをつかんだフロントマンも稀でしょう。最高のエンターテインメタル・ショウでした。


DIZZY MIZZ LIZZY
SOLDIER OF FORTUNEとSABATON(あとGYZEと浜田麻里)が今日のお目当てだった私としては、それらのバンドが全て終わった今となっては、あとのバンドは(失礼ながら)ボーナス・トラック。いいライブが観れたら儲けもの、くらいの気持ちで肩の力を抜いて指定席で観始めたのがDIZZY MIZZ LIZZY。

デビュー作を日本で10万枚売った実績があるだけに出番はそこそこ後ろな訳ですが、何しろSABATONが場内全体を巻き込む大盛り上がりだっただけに、その直後はキツいんじゃないの~? と思って観ていましたが、さすがにデンマークを代表する人気バンドのひとつだけあって、特に変わったことをするでもなく、すぐに空気を切り替えていました。

GYZE終了後、メシを食ってからずっと寝ていた友人がここでようやく起きて「サブステ行ってくるわ」と席を立つ。

DIZZY MIZZ LIZZYに関しては、音楽が必ずしもHR/HMとは言い切れない(というかはっきり言ってオルタナティブ・ロックでしょう)ため、果たしてこの会場で受けるのかな? といささか心配していましたが、なかなかの盛り上がりで杞憂でした。

実際、「タイトなパフォーマンス」という形容がピッタリで、マイペースにプレイしている風ではありますがちゃんとグルーヴしていて、随所で「巧さ」を感じさせるパフォーマンスでした。

他の国では3曲目くらいでサラッとプレイしている「Glory」がラスト・ナンバーなのは、きっと日本で随一の人気曲だからでしょうね。


DRAGONFORCE
これまたLOUD PARKの常連と言っていい人気バンド。

だが定刻を過ぎてもなかなか始まらない。どうやら機材の調子が良くないようだ。

定刻に遅れること10分ほどしてようやく「Tomorrow’s King」でショウがスタート…と思いきや、ハーマン“イケメン”リのギターの音がロクに出ておらず、1曲終了した時点でいきなりピットインタイムに突入。

マーク“マー君”ハドソンの、かなり上達した日本語トークや、ヴァディム・プルジャーノフのジャズ風なKeyの即興で間をつなぐも、いささか不完全燃焼かつ微妙な空気になってしまったことは否めない。

優に1曲分はあったであろうインターバルを経て、「Heros Of Our Time」でショウが再開。果たして削られた曲は何だったのか(「Fury Of The Storm」か「Seasons」か「Cry Thunder」ではないかと推察)。

サウンドは終始無駄に高音が出ていて薄っぺらく、今ひとつ。パフォーマンスも初めて彼らを観たLOUD PARK06の時ほどグダグダではないが、個人的に観た中ではベスト・パフォーマンスだった09年の来日公演の仕上がりには程遠い感じで少々残念でした。

とはいえ「Through The Fire And Flames」から「Valley Of The Damned」というラスト2曲での盛り上がりはかなりのものでした。このバンド、エクストリーム系ではないのに(ある意味エクストリームですが)サークル・ピットができるんですよね。支持層が若いということなのかもしれませんが、このテンポに合わせてのサークルって、全力疾走なんじゃないでしょうか…。皆さんよく倒れませんね…。


CARCASS
HELLOWEENはもう何度も観ているし、本日一度もサブステージに足を運んでいないので、DRAGONFORCE終わりでサブステに移動。

当初はここで友人と合流する予定でしたが、友人がNAPALM DEATHのときに最前列まで行けてしまったので、このまま最前列で観るとLINEで連絡してきたので、私は後ろの方で見物。

途中から観たCARCASS、ギターが二人とも背格好が似ていて、どちらもブロンドの長髪のため、遠目からだと見分けがつかない(苦笑)。ドラムもなかなかイケメンさんで、フロントマンであるジェフ・ウォーカー(Vo / B)が一番汚い(失礼)ルックスというのが笑える。

ライブ・パフォーマンスそのものに関しては、演奏・サウンドとも申し分なく、文句なしにカッコいい。

ただ、最前列にいるという友人が映らないか、ついついモニターを見てしまいがちだったこと、そして何より、私の斜め前で終始曲に合わせて(?)不思議な踊りを踊っている人がいて、そちらにもついつい目を奪われてしまったため、残念ながら充分にショウに集中できていたかというとそうは言えないというのが正直な所です(苦笑)。


HELLOWEEN
CARCASS終わりでメインアリーナに駆けつけると、サシャ・ゲルストナー(G)のギター・ソロ・タイムでした。

その後「Future World」に「I Want Out」という、大好きではあるものの正直聴き飽きた曲がプレイされて終了。アンディは結構声が出ていたのではないかと思います。

後でメドレーの一部ではあるものの、私の大好きな「Sole Survivor」をプレイしたと聞いて、もっと早く戻ってくればよかった…と後悔の念に苛まれました。


MEGADETH
記念すべき第10回目の開催ということで、初回と同じSLAYERとMEGADETHというヘッドライナーになりました! と強調しているものの、最新号の『BURRN!』のインタビューを読む限り、当初予定してたヘッドライナーがNGになったため彼らに落ち着いた…というのが真相っぽいMEGADETH。

脱退したクリス・ブロデリック(G)とショーン・ドローヴァー(Dr)の後任にキコ・ルーレイロ(G : ANGRA)とクリス・アドラー(Dr : LAMB OF GOD)を迎えるという衝撃の人事で話題性はあり、来年1月に発売されるニュー・アルバムを前に観てみたい気持ちはありました。

残念ながらクリス・アドラーは本日帯同しておらず、誰だかわからない人がドラムをプレイしていましたが、キコ・ルーレイロはちゃんといる。意外と違和感がないのは、もはやMEGADETHのギタリストって何代目だよ、という感じになってしまっているからでしょう(苦笑)。

ショウは「Hunger 18」でスタート。名曲ゆえ当然の盛り上がりと言いたいところではありますが、1曲目が始まる前からサークル・ピットが形成されたSLAYERと違い、サークル・ピットやモッシュは起こっていない。音楽性の違いと言ってしまえばそれまでだし、別にサークル・ピットやモッシュの有無が必ずしも盛り上がりを意味するわけでもないが、トリだというのになんとなく寂しい。

とはいえ6曲目の「She-Wolf」でようやくピットが発生。近年、容色も歌声も衰えが顕著なデイヴ・ムステインではあるが、まあ何とか歌えている(ここ数年の例にもれずキーは下がっているが)。

キコ・ルーレイロはやはり正確無比のプレイを披露しているが、特に彼自身の色が出ているという印象はなく、やはり「お仕事」をしている観は否めない。どこかでちょろっとANGRAのリフとかフレーズとか絡めてくれればきっと盛り上がったと思うのですが、きっとそういうスタンドプレイはデイヴに怒られるんでしょうね(苦笑)。

直前にリリースされた、新ラインナップによる新作「DYSTOPIA」からのニュー・シングル「Fatal Illusion」はプレイされず、キャリア全体のグレイテスト・ヒッツ・ショウに徹した感じですが、そんな中でわざわざ最新作「SUPER COLLIDER」からTHIN LIZZYのカヴァーである「Cold Sweat」をプレイしたのは意外でした。

終盤の「Peace Sells」および「Holy Wars... The Punishment Due」では、ラストスパートとでも言うべきサークル・ピットが発生し、2日間に渡るフェスティバルの終幕に相応しい盛り上がりを演出していました。

さすがにトリと言うべき隙のないライブでしたが、演奏の背景に流れているドラマ仕立ての映像、何だか既視感あるなー、と思っていたら、昨年のSUMMER SONICで観たものがそのまま使われていました。いや、演出が共通なのはいいのですが、最後にメンバー紹介カットがあり、それが前メンバーのままなのはいささか興ざめでした(苦笑)。


昨日に比べるといささか人が少なく感じたのは、サブステとメインで上手く人がバラけたからなのか、あるいは実際本日は人が少なかったのか(個人的には2日目の方がラインナップが充実していると思うので理解不能ですが)、どちらなのかわかりませんが、いずれにせよ例年と比べても盛況の部類と思われ、いい形で10周年を飾れたのではないかと思います。

これが保守的なラインナップで出演バンドをまとめた効果なのか、あるいは一部で囁かれるBABYMETALによってメタルへの注目度が上がった結果なのかわかりませんが、この分ならとりあえず来年も開催されることは確実でしょう(?)。

LOUD PARK 06がもう10年前と言われると、時の流れの速さに慄然としますが、10年間皆勤できたという事実にはある種の達成感もあります。皆勤ということ自体にこだわるつもりはありませんが(というか不可抗力もあると思うので)、できればこれからも参加し続けたいですね。何だかんだ言って、個人的には年で一番楽しめるイベントなので。

続きを読む

LOUD PARK 15 一日目の感想

いよいよやってきたメタラーにとって年に一度のお祭り、LOUD PARK。

例年仕事が忙しく、前日も終電やタクシー帰りで、なかなか1バンド目から行くこともままならないことも多かったのですが、今年は翌日が祝日ということもあり、いつも翌日に取っていた休みを前日にして、フル充電で出陣。

というわけで例年の異なり、オープニングアクトの開演15分前には会場に着いていたのですが、例年と異なっていたのは私だけではなく会場側も然りで、これまで見たことのない行列ができていました。こんなに奥の方まで回されたのは初めてです。

結局入場に30分以上かかり、入場したときにはオープニングアクトであるFRUITPOCHETTEのライブは最後の曲になっていました(それを場内ではなく通路で聴いた感じです)。積極的に観たいとまでは思っていませんでしたが、観られるものなら観ておこうと思っていただけに残念です。

朝食としてケンタッキーのチキンフィレサンドとビールを購入し、とりあえず荷物と上着を置きに指定席へ。MCのサッシャ氏が注意事項などをしゃべっている。

2、3曲UNITEDを観て、本日最初の目的であるGALNERYUSが出演するKINGDOM STAGEへ。メロディック・メタルのイメージってやっぱり王国とかそういうファンタジー的なものなんですかね。だとしたら発端はやはりHELLOWEENの「KEEPER OF THE SEVEN KEYS」、そしてBLIND GUARDIAN、ダメ押しがRHAPSODYなんでしょうね。

ここさいたまスーパーアリーナでの3ステージが初めての人(本日同行していた友人とか)は「サブステの入口どこだよ」と、入場の際にもらった不親切な地図(タイムテーブルの裏)を凝視していましたが、私は前回を経験してるので行き方がわかっているので問題ない。

KINGDOM STAGEは日が差し込む空間なので明るいのがメタルのライブとしては不似合いだが、まあWACKENなんかの野外フェスもそうなのでさほど問題はない。

GALNERYUS
仮にもメジャー所属のバンドということもあり、サブステージの1バンド目としては充分オーディエンスが集まっている。このKINGDOM STAGEのMCは、かつてサッシャ氏が別件で来れなかった際にMCをやっていたDJ BOO氏。彼のMCに導かれてショウが始まる。

現在のラインナップにおける代表曲と言っていいだろう「Destiny」で幕を開け、楽器隊各人の超絶技巧が炸裂する間奏パートで一気に会場がヒートアップする。楽器のテクニックによってオーディエンスを盛り上げることができるというのはやはり凄い。

小野正利のヴォーカルはちょっとフラット気味で絶好調とは言えなかったが、さすがのハイトーンを随所で披露していたし、ユーモアを交えたMC(これがゆえにGALNERYUSのライブというのはメタル・バンドというよりはJ-ROCKっぽい印象があるのですが)も会場の雰囲気を和やかにしていました。

12月にコンセプト・アルバムとなる新作を発表し、上海・香港・台湾といった海外を含むツアーを行なうという案内からプレイされた新曲「Raise My Sword」がまた彼らに期待される要素が凝縮された素晴らしい曲で、新作に対する期待も高まるステージでした。


OUTRAGE
KINGDOM STAGEはバンドとバンドの間が空くので、なんとなくもったいないな、という貧乏性な考えからいったんメインアリーナに戻って、その時プレイしていたOUTRAGEを観る。

このバンドもこのLOUD PARKの常連になりつつあるので何度か観たことがありますが、観るごとによく言えばシブ味が出ているというか、ちょっと悪く言えば枯れてきているような印象があって、ロック・バンドとしてはともかくメタル・バンドとしてはどうなんだろうなあ、という気がします。

個人的に一番観たい彼らの曲で、時折プレイしているらしい「Blind To Reality」を今回も観ることができず残念でした。


HOUSE OF LORDS
SLAYERの単独公演のサポートで話題になっていたGOJIRAを2曲ほどチェックして、再びKINGDOM STAGEへ移動。

このバンドは、毎回新作が出るたびにYouTubeなどでMVをチェックしては「悪くないけど、買うほどでもないかな…」と思ってスルーしてしまい、アルバムを通して聴いたことがなかったので、この機会にちゃんと聴いてみたいと思っていた。

3曲目の「Go To Hell」から観ましたが、意外と80年代残党組にありがちなロートル感がなくていい意味で驚きました。典型的なメロハー曲ばかりではなく、ちょっとヘヴィでミステリアスな感触のある曲や、土臭いアメリカンな曲も魅力的に聴かせられる実力は本物。このフェスではあまり聴くことのできないラブ・バラードもしっかり楽しませてくれました。

ジェイムズ・クリスチャンのハスキーなヴォーカルが上手いことは以前から承知していましたが、こうして生で見て観るとサウスポーのギタリスト、ジミ・ベルの強引なまでに弾き倒すシュレッドと、パワフルなドラマー、B.J.ザンパによる手数の多いフィルインが、凡庸なメロディアス・ハードになりそうな所でスパイスとなって効いていました。

主役である(?)ジェイムズの歌声も想像以上にエモーショナルな表現力があって、これでオッサン体型でなければ完璧だったのですが(笑)。

いや、本当に期待以上によかったです。今更過去のアルバムをチェックしてみようかな。せめて日本語版のウィキペディアができるくらいには人気出てほしいです、ホント。


ANTHEM
HOUSE OF LORDSが終わると、メインアリーナには戻らずそのままKINGDOM STAGEにとどまり、パエリアやソーキそばなど、昨年までの会場にはなかった飲食の屋台を物色。一番体力がつきそうな豚の味噌焼き丼をオーダー。

その後ぼちぼちANTHEMが始まりそうなタイミングで上手(かみて)側前方に移動。PAブースのちょっと前くらいに陣取る。

ANTHEMを観るのはLOUD PARK07以来で、森川之雄が歌うANTHEMを観るのは初めて。アルバムを聴いて森川の方が安定感があるのはわかっていたので歌唱については心配していなかったが、キャラ立ちという点ではどうか? と確認するような気分で観ていた。

森川時代の楽曲中心の選曲になるかと思いきや、1曲目が「Steeler」、続く2曲目は「Bound To Break」と予想を裏切る(しかしなかなかアツい)立ち上がり。新旧織り交ぜた選曲のバランスもよく、プレイも相変わらず全力投球・完全燃焼といった気迫があって気持ちのいいライブでした。

危惧した通り、森川之雄はルックス的にも坂本英三ほどの華はなく、MCやパフォーマンスもやや紋切型でしたが、このバンドは意図的にメタルのステレオタイプを演じようとしている節があるので(?)、余計なスタンドプレイやバンドイメージにそぐわないMCをしない森川の方が「柴田美学」には適しているのかも。

森川ANTHEMで個人的に一番好きな「Hunting Time」が聴けなかったのは残念でしたが、「Venom Strike」が聴けたのは嬉しかったですね。新しいアルバムからの曲も過去の曲と比べて聴き劣りするどころか、むしろトップクラスにいいんじゃない? と思えたあたり、このバンドの底力をあらためて思い知らされるライブでした。


HAMMERFALL
BACKYARD BABIESはともかくTESTAMENTはちょっと観たかったのですが、レア度も加味すると本日一番観たいバンドはHAMMERFALLだったので、そのままKINGDOM STAGEで待機。

前回観たのは2003年なので、もう干支が一周していることに気付いて思わず遠い目。当時のメンバーは既にヨアキム・カンス(Vo)とオスカー・ドローニャック(G)しか残っていない。

新作からの「Hector’s Hymn」でショウがスタート。このバンドの場合、欧州パワー・メタルの代表格的なバンドにもかかわらず、ライブにおける音圧みたいなものはやや軽めで、下手をするとギターが1本しかない(それもさほど攻撃的なプレイヤーではない)ANTHEMよりも迫力がない。

ライブ・パフォーマンス自体も伝統的なHMの流儀に則ったもので、何か特に斬新な要素があるわけではない(というかむしろ保守本流)のだが、その「様式美」具合がなんともメタル者の琴線に触れるのも確か。あまり聴き込んでいないアルバムからの、曲名が思い出せない曲であっても、サビまでいけば「ああ、この曲知ってるわ」と思い出すことができるキャッチーな楽曲の魅力もあって、自然と気持ちが高揚してくる。

気付くと結構な人数が集まっており、しかも皆積極的にメロイック・サインを高らかに掲げ、楽曲やMCに対する反応もすこぶる士気が高い。失礼ながら、彼らって日本でこんなに人気あったっけ? とちょっと訝しく思ってしまったほど(苦笑)。メンバーも欧州では考えられない早い時間での出演ながら、まんざらでもなさそうだ。

「Renegade」と「Let The Hammer Fall」を除くと比較的新しめの楽曲が多かったと感じましたが(インストをプレイしていたときに、「Dragon Lies Bleeding」のサビメロが挿入されましたが)、「Bushido」なんかは日本を意識してセットリストに組み込んでくれたのでしょうか。個人的にはフルの「Dragon Lies Bleeding」や「Heeding The Call」が聴きたかったですが、この短い持ち時間では「Hearts On Fire」が聴けただけで御の字ですかね。

ようやく日本でも彼らがパワー・メタルの大物であることが認知されたのか…と感慨深いものがある(なんせ2003年の来日公演ではNOCTURNAL RITESとの豪華カップリングにもかかわらずクアトロがソールドアウトしなかったのですから!)大盛り上がりのステージでした。気持ちよく盛り上がれるピュア・メタル・ショウで、KINGDOM STAGEに集うようなメロディ派の人で失望した人はほとんどいなかったのではないかと思います。

彼らのライブ終わりで再び現れたDJ BOO氏が、34キロのダイエットに成功したという、まあ凄いと言えば凄いのですが、正直このフェス的にはどうでもいい話を披露していました。


ROYAL HUNT
引き続きKINGDOM STAGEに滞留し、ちょっと立ち疲れしていたので疲労回復のためにパエリア屋で売っていたチョコバナナクレープを注文。注文してからバナナを切って作り始めるので注文してから出てくるまで時間がかかるが、生クリームもチョコソースもかなりリッチに入れてくれて満足度が高かった。コーヒーが欲しかったですね(笑)。

「今ならドリンク冷えてますよー! いやいつでも冷えてるんですけど!」というオフィシャルバーのお姉ちゃんたちの掛け声に苦笑しつつ、途中での離脱を想定して後ろの方でROYAL HUNT待ち。HAMMERFALLよりROYAL HUNTが後に出てくるフェスなんて日本だけだろうな、などと思いつつ、個人的にはそれで助かったわけですが。

そしてROYAL HUNTをしばし鑑賞。「The Misson」で始まり、「Half Past Loneliness」、「River Of Pain」と観て4曲目の「Tearing Down The World」の途中でKINGDOM STAGEを後にしました。

とにかく今回印象的だったのはやはりD.C.クーパーですね。あの歌舞伎でいう見栄を切るというか、戦隊モノのヒーローを思わせるステージ・アクションは相変わらずちょっと気恥ずかしくもカッコいい。

歌声も絶好調で、伸びのあるハイトーンの切れ味は以前SILENT FORCEで観たときよりも冴え渡っていた気がします。

ただ、個人的な意見として言っておきたいのは、「PARADOX」は完成度の高いコンセプト・アルバムで、日本で高く評価されたアルバムですが、個々の楽曲は暗くてそれほどキャッチーではないので、ライブではファーストからサードまでの楽曲をやってくれたほうがデビュー時からのオールド・ファンとしては嬉しいよ、ということですね。


CHILDREN OF BODOM
同行していた友人がこのバンドを観たがっていたのと、それに続くARCH ENEMYの場所取りの意味を含めてメインアリーナへ戻る。しかし、その時メインアリーナはトリの時間かと思うほどの大盛況で、ANTHRAXがプレイしているULTIMATE STAGE側のアリーナには下りることさえままならない。

仕方ないのでしばらく待っているとANTHRAXの出番が終わり、燃え尽きた人たちが続々場外に出てくるのを待ってアリーナへ。後方ブロックの前方でARCH ENEMY待ちをしつつCHILDREN OF BODOMも見える位置をキープ。

CHILDREN OF BODOMのショウは単独およびLOUD PARKで何度も観ているが、近年はどうも今一つ高まらない。最初に観た2003年の頃のようなテンションが今の彼らにはないから、というのもあるが、客観的に観れば今でも彼らのパフォーマンスは充分にカッコいい部類で、個人的に高まらない理由は一重に選曲によるものだろう。実際「Hate Me!」がプレイされたときはかなりアガったので。

「Lake Bodom」が聴けたのは嬉しい誤算だったが、「ARE YOU DEAD YET?」以降の楽曲についてはどれも今一つアツくなれないのは、単に趣味の問題か、それとも彼らのソングライティング力が衰えているのか、こればかりは客観的に判断できません。

途中、日本語でかなりのロングトークを披露したヤンネ・ウィルマン(Key)の日本語力はなかなかのもの。「ドモアリFuckin’ガトー」ばかりのアレキシにも見習ってもらいたいところです(笑)。その際、脱退したローペ・ラトヴァラ(G)の穴を埋める形でプレイしていたサポート・ギタリストのアンティ・ウィルマンが「これは、僕の弟のアンティです」と紹介されていたが、サポート・メンバーということもあってか本日は非常に地味な扱いでしたね…。


ARCH ENEMY
我が心の師、カイ・ハンセン率いるGAMMA RAYがKINGDOM STAGEでプレイしている時間帯ですが、私はGAMMA RAYとARCH ENEMY、どちらのライブも複数回観た結果、ライブについては圧倒的にARCH ENEMYが良い、という結論が出ているので迷わずこちらを選択しました。

そして何と言ってもARCH ENEMYと言えばLOUD PARK名物。

ほぼ毎年出演しているのはマイケル・アモット(G)であってARCH ENEMYではありませんが、やはりこのLOUD PARKの顔的なバンドをひとつ選ぶとしたらこのバンドなのではないでしょうか。

昨年に続きトリ前(昨年は不幸な事件によって実質トリになりましたが)で出演した彼らは、今回10回目を迎えるLOUD PARKのためにオリジナル・ヴォーカリストであるヨハン・リーヴァ、そして現在は脱退しているクリストファー・アモット(G)をゲストに迎えたスペシャル・ステージを披露するという話題で盛り上がっていました。

とはいえ個人的にはジェフ・ルーミズ(G)を迎えたラインナップでのライブを観るのも初めてということで期待しており、新旧ラインナップで「一粒で二度おいしい」(このフレーズの元ネタを知っているのって何歳くらいまでなんだろう…)状態。

オープニングが「Yesterday Is Dead And Gone」というのは個人的にはやや微妙だったが、その後「Burning Angel」、「War Eternal」という曲の並びで一気に盛り上がり、「Ravenous」で最初の頂点を迎える。サウンドはイマイチだが、本日のこの会場ではいい方か。それでもジェフ・ルーミズの正確無比なプレイは際立っている。

昨年のLOUD PARKではアリッサ(Vo)の髪の色は深めのブルーでしたが、本日はちょっとターコイズブルーのような明るい色になっており、なんだかちょっと初音ミクを思い出しました(笑)。最近Web上のコミコンとかのレポート記事でよく見る「海外のコスプレイヤー」みたいというか。

パイロやスモークもバンバン使っていて、ステージ背後のビジョンにはリリック・ビデオなどが映し出される豪華仕様。完全にトリ並の待遇だったと思います。

その後「Stolen Life」を挟んでいよいよ本日のお楽しみ、ヨハンとクリスの登場タイム。ヨハンはだいぶ老けた写真を見たことがあったので不安だったが、いざ登場してみるとARCH ENEMY在籍時とほとんど変わらない印象(むしろちょっと垢抜けていたような。白髪染めたんですかね?)。

「Eureka」とか「Pilgrim」とか「Angelclaw」といったちょっと変化球気味の曲も聴きたかったですが、「Bury Me An Angel」に「Immortal」というごく順当な選曲。まあそれはしょうがない。クリスは脱退してからさほど経っていないこともあってか、いたって普通にプレイしていた感じでしたが、ヨハンはやはり晴れ舞台に立ってなんだか嬉しそうで、声もちゃんと出ていました。

一方佇まいがどうにもアングラで、ヨハンがこのままフロントマンをやっていたらARCH ENEMYの今の地位はなかっただろうな、とも思ってしまいましたが。

その後新しめの曲を中心にセットリストは進み、名曲「Nemesis」で締めかと思いきや、最後に再びヨハンとクリスが登場、今度はアリッサとジェフもそのままステージに残った「全員集合」状態で「Fields Of Desolation」をフル演奏。7人で演奏する意味はそれほどなかったと思いますがなんだか豪華で、もう本日終了かと思うほどのクライマックス感がありました。お腹いっぱいです。


SLAYER
指定席を取っていたにもかかわらず、結果的に本日はほとんど立ちっぱなしだったので体力の限界を感じ、ようやく席に戻って座っての鑑賞。幸いにして本日の指定席はSLAYERの出演するBIG ROCK STAGE側である。

席に戻る途中、ドリンクチケットを使っていないことに気が付いたのでオフィシャルバーに立ち寄ってビールと引き換える。ビールを飲みながらSLAYERなんて最高じゃありませんか?

しかし、疲れているときに座ってアルコールを飲んで爆音に身を浸すとどうなるか、ご想像いただければわかると思いますが、たちどころに眠くなってきます。朦朧とした状態でステージを見ていると、5回くらいヘドバンした後にギターのネックを前に振るケリー・キングの妙に規則的な動きが早送りで動く人形のように見えてきてなんだか催眠術にかけられている気分(笑)。

結局3曲ともたずに寝落ちし、途中「War Ensemble」のタイトルコールや「Chemical Warfare」といったよく知っている曲でハッと目覚めるも、断続的に眠りに落ち、目覚めると「Hell Awaits」をプレイしていました。その後「ラブソングだ」というMCから「Dead Skin Mask」がプレイされるとまた睡魔が襲ってきたのですが、「Raining Blood」のイントロで再び覚醒する。

思い起こせばLOUD PARK06でも、二日目に疲労の限界で立ちながら意識が遠のいていた私の意識を呼び戻したのはこの「Raining Blood」の不穏極まりないイントロでした。今でもこの曲を聴くと2006年の幕張メッセで大観衆の向こうに見える彼らの光景がまざまざと脳裏に浮かびます。

06のように「Raining Blood」で締めかと思いきや、そのまま「Black Magic」につながり、「South Of Heaven」へと続き、オーラスは名曲「Angel Of Death」でした。このタイミングでステージのバックにハイネケンのロゴっぽいデザインに「ハンネマン」と描かれたイラストが出現し、ジェフ・ハンネマンへの弔意が表現される。

ここに泣きのギターでも被せれば本当は効果的なのでしょうが、そういう湿っぽいことはせず、容赦ないスラッシュ・サウンドが展開されるあたりがSLAYERのSLAYERたるゆえんですね。1曲目から出現していたサークル・ピットも、もはやサークル(円)とは呼び難い、なんだかわけのわからない形になって蠢いており、これはこれで上から観ていて圧巻でした。

しかし、ショウの半分近く寝落ちしていた私が言うのもナンですが、ゲイリー・ホルト(G)のギター・ソロ、アルバム音源と全然違くないですか? まあジェフ・ハンネマンもアルバム通りに弾いている感じではなかったので「ライブではテキトーに弾く」というのが「SLAYERの正解」なのかもしれませんが。

「Angel Of Death」が終わると、例によってトム・アラヤ(Vo / B)が丁寧に「ドウモアリガトウ。オヤスミナサイ」と告げてショウが終わる。あらゆる余韻も感傷も吹き飛ばす、帝王ならではのステージでした。

LOUD PARK 14 二日目の感想

LOUD PARK 14二日目もさいたまスーパーアリーナ付近は快晴。野外フェスではないので晴れてても別段いいことがあるわけではありませんが、雨が降ると傘を持って行かなくてはならず鬱陶しいですから、晴れてくれるのはいいことですね。

昨日同様、開演ちょっと前に着いたわけですが、昨日と異なり本日は行列はなく、すんなり入場することができました。

すると案の定、人が少ない。昨日の同時間帯の半分以下? まあ本日の序盤のラインナップがやや地味というか微妙だったので、時間と共に増えては行きましたが、昨日のレベルには達しませんでした。

指定席に着くと、昨日のDJ BOO氏ではなく、おなじみサッシャ氏がMCをしている。多くの人がこのイベントのMCなんて誰でもいい、もしくは特にMCとかいらないんじゃね? と思っていると思いますが(?)、少なくとも個人的にはサッシャ氏のほうがしっくり来ますね。

ARION

今年の5月にLOUD & METAL ATTACK 2014で観たバンド。その後日本デビューも果たし、BURRN!誌のレビューではまずまずの高得点を獲得していた。

ただ、私が観たときの印象は「イモ臭い…」であって、あまりパッとしたものではない。

とはいえまだメンバーはかなり若いようなので、その後急成長を遂げている可能性もある、と期待し、ライブを見守ることにしました。

しかし、ショウがスタートし、ヴォーカルがステージ袖から飛び出してくるなりベーシストに衝突しそうになっている時点でステージ慣れしていないことがアリアリ。

そして前回観たときもその一昔前のボーイズ・アイドルみたいなルックスのヴォーカリストのダサ過ぎる服装とパフォーマンスが最大の減点ポイントになっていたのですが、それは一向に改善されておらず…。

特にヘッドバンギングに全く腰が入っておらず、下を向いてイヤイヤしているようにしか見えないのはメタル・バンドのフロントマンとしては致命的ではないでしょうか(?)。

まあ、歌はそんなに下手じゃないし、ほんのりハスキーがかった声質にもそれなりに魅力はあるんですけどね。

演奏は年齢に対してかなり上手な部類だと思いますが、まだまだ余裕のパフォーマンスには程遠く…。曲の並べ方などショウ運びもイマイチで、こんなにレベル低いバンドがLOUD PARKに出演したのは初めてなのではないでしょうか?

まあ、まだ若いし、メロディ・センスには光るものがあるので、この経験を糧に飛躍してもらいたいですね。

と、かなり辛辣なことを書いてしまいましたが、少ないとはいえ、オーディエンスは彼らを温かく迎えていました。


PERIPHERY

アメリカ合衆国メリーランド州出身、トリプル・ギター編成による6人組。

MESHUGGAHに影響を受けた「ジェント」などと呼ばれるジャンルのエクストリーム系プログレッシヴ・メタル・バンドとしてその筋では非常に評価が高く、一昨年発表されたセカンド・アルバムは全米44位にランクインしている。

ネット上で話題になっているのを観て、YouTubeでMVを1本見たことがある、と言う程度の貧弱な予習で臨みましたが、これがなかなか良い。

プログレッシヴで素直にノレない要素があるとはいえ、楽曲には必要にして充分なフックがあり、エモーショナルなヴォーカルが歌うメロディもなかなか魅力的。少なくとも「プログレ」という言葉から想像されるような小難しさはなく、多くの人が楽しめるポテンシャルがある。

ドラムを除くフロントの5人が揃ってリズムに合わせて前後に身体を大きく揺らすステージ・アクションが印象的で、そのノリはメタルコアなど、NU METAL以降のアメリカのバンドらしいもの(つまり日本の伝統的なメタル・ファンには「何か違う」という印象を与えるもの)。

まだ日本ではなじみの薄いサウンドですが、本日は二番手にもかかわらずそれなりにアリーナ前方には人が集まっていましたし、盛り上がっているようでした。今後日本でも人気が出てくるかもしれません。


GLAMOUR OF THE KILL

イギリスのBULLET FOR MY VALENTINEフォロワー。実際の所はBFMVよりさらにキャッチーで、本人たち自身が「ポップ・メタル」と自己規定している。

アルバムの印象は「聴きやすいけど、可もなく不可もなし」という感じのものだったので、出演が決まった時点では期待していませんでしたが、先日BSフジの「伊藤政則のロックTV」で、クリエイティブマンの青木氏(このイベントのプロデューサー)が「ライブが良かった」と言っていたのでちょっとだけ期待して観ることにしました。

しかし、案の定というか、可もなく不可もなし…。特に何か問題があるわけでもないのですが、パフォーマンスの魅力がほぼ楽曲の出来に比例しており、ライブならではの特別な何かはあまり感じられない。

ちょっとしたサークル・ピットができるなど、そこそこ盛り上がってはいましたが、メンバーにWODをやれと言われて、左右に分かれたはいいものの、いざ実行したのは数えるほどの人たちだったあたり、やはりオーディエンスの掌握も中途半端だったということではないでしょうか…。


the GazzetE

単独で東京ドーム公演を行なったこともある人気V系バンドで、海外ツアーの経験もある彼らですが、本日に関しては盛り上がっているのはアリーナ前方ブロックのそのまた前半分くらい。あとは場内完全に「様子見」という感じでアウェー感は否めない。

最前の方にはいわゆる「バンギャ」と呼ばれるような熱心なファンが集中しており、「黄色い声」による歓声が上がっていたのはこのときだけなのではないでしょうか(笑)。

MCでは自ら場違いであることを認めつつ、「自分たちもメタルが好きなんで出演しました」という嘘とも真ともつかぬことを言って好感度アップに努めて(?)いました。

とはいえ、彼らの今日のセットリストが「いつも通り」なのか「メタル仕様」なのかは私にはわかりませんが、ライブ・パフォーマンスや自体はV系の王道をゆく、その筋では堂々としたもので、その辺はやはり人気バンドだな、と。

気になるのはバンギャの子たちがそのまま会場にとどまったのか、彼らの出番が終わると速攻で会場を後にしたのか、ということですね(笑)。


BELPHEGOR

オーストリア出身のブラック/デス・メタル・バンド。楽曲スタイル自身はブラック・メタル寄りながら、ヴォーカル・スタイルはデス・メタルのそれ、という感じ。

結成は91年というだけにかなり年季が入っており、禍々しいメイクともあいまって、邪悪なオーラがプンプンしている。

個人的にはアルコールが入った状態(もちろん今日も飲んでますとも、ええ)でメロディの乏しいエクストリームなサウンドを聴くと眠気を催してしまうのですが、本日もその例に漏れず、途中15分ほど寝落ち…。

起きていた時間の印象で言うと、かなり本格派の、プレイもカッチリしたストイックなブラック/デス・メタルで、およそ秋晴れの昼下がりには相応しからぬ轟音だったということですね(笑)。


THUNDER

当初はBELPHEGORの激烈サウンドの後にTHUNDERなんて、刺激が足りな過ぎて眠くなっちゃうんじゃないの? などとナメていましたが、ここに全力でお詫び申し上げます。

開演前の定番SE、AC/DCの「Thunderstruck」の時点でBIG ROCK STAGE側に集まったオーディエンスからは「Thunder!」の力強い掛け声が。

そして登場してきたメンバーたちがいきなりの代表曲、「Dirty Love」をプレイし始めると、一瞬にして会場の空気が「THUNDERモード」にリセットされました。

上手い。いや、巧いというべきか。バンドとしてのグルーヴが素晴らしく、噂通りダニー・ボウズの歌唱は絶品のひと言。こんな風に歌えたら気持ちいいでしょうねえ。

見た目は完全に「日本観光に来た外人のオジサン」でしかないですが、軽やかにステップを踏みながらソウルフル極まりない歌声を聴かせ、巧みにオーディエンスを煽るその手腕はもはや職人芸。

ダニー以外のメンバーの演奏もブリティッシュ・ロックの伝統を体現する…なんてつい伊藤政則氏風の形容をしてしまいたくなるような巧さと味わいがあり、聴いているだけで自然とリズムをとりたくなる。

いや、解散後もちょくちょく来日していたので、「ライブが良いとはBURRN!誌にもさんざん書いてあるけど、今どき彼らにそんなに需要があるの?」などと思っていましたが、本日納得しましたね。このライブなら何度でも観たくなるでしょう。「ロックとは何か」を教えられるような素晴らしいパフォーマンスでした。


THE HAUNTED

大幅なメンバー・チェンジを経て発表された最新8thアルバムが好評を博しているスウェーデン出身のメロディック・デス・メタル/デスラッシュ・バンド。

「きっとサークル・ピット大会になるんだろうな…」と思っていたら案の定、ショウがスタートする前からサークル・ピットが発生する勢い。

ただでさえ恐ろしげなスキンヘッドの巨漢ヴォーカリストが、マイクに頭をぶつけて額から流血しており、さらに恐ろしげに(手当してやれよ)。

途中、ヴォーカルのマイクの音が出なくなるトラブルがありつつも終始盛り上がっていましたが、Voが「最後の曲だ」と言ってから他のメンバーがゴニョゴニョ耳打ちし、「あと2曲!」と言い直し、公式サイトに上がっているセットリストに載っていない曲(「Trend Killer」)をプレイしたあたり、速くプレイし過ぎたのでしょうか(笑)。


RIOT

私はかつてRIOTのライブを2度ほど観たことがあり、そのときの印象は「曲がいいので楽しめるが、パフォーマンスはあまりプロフェッショナルではない」というものでした。

そのため、THE HAUNTEDのような強力なバンドの後だと霞んでしまうのでは…と、かつてAS I LAY DYINGの後にプレイしたNOCTURNAL RITESがすっかり霞んでしまった例を同じLOUD PARKで目撃しているだけに、ちょっと危惧していました。

まして、今回他界したマーク・リアリ(G)はもちろん、前回のライブの際にいたトニー・ムーア(Vo)もボビー・ジャーゾンベク(Dr)もいない。あれからさらにパワーダウンしていたら完全にアマチュア・バンドなのではないか…。

だが、それは杞憂でした。新たに補充されたヴォーカル、ギター、ドラマーはいずれも充分なスキルの持ち主で、抜けたメンバーの穴を完全に埋めている。

またさらに、新メンバーの知り合いか彼女か親戚か何かなのか、ROYAL HUNTよろしく金髪の女性コーラスが一人帯同しておりヴォーカル・ラインをサポートしている。

しかし、新ヴォーカリストはそんなコーラス・サポートなど不要なのではないかと思わせるほどの逸材で、あの恐ろしく高いトニー・ムーアのヴォーカル・ラインすら易々と歌いこなしている(ルックスは悪くないものの華に欠け、ちょっとALTER BRIDGEのマイルズ・ケネディを思い出しました…)。

クラシックである「Fire Down Under」でスタートし、トニー・ムーア在籍時の曲を中心にしつつも、「Angel Eyes」など、マイク・ディメオ在籍時の曲も取り上げていたのが意外でした。個人的には「Nightbreaker」をやってほしかったですが。

非常にタイトにプレイされるそれらの楽曲を聴いていて思ったのは、私が見たRIOTのパフォーマンスが弱かったのは、残念ながら既に病魔に冒されて充分な練習ができなくなっていたマーク・リアリに周りのメンバー(特に相方のマイク・フリンツ)が合わせていたからだったのかもな…ということでした。

まさかの輝きを見せるRIOTの演奏にはそれだけでグッと来るものがあったのですが、「日本のファンに捧げる歌だ」と紹介された新作からの曲、「Land Of Rising Sun」がプレイされると、その歌詞と曲調によって思わずウルっと来てしまいました。年を取ると涙腺が脆くなりますね。

クライマックスの「Warrior」から「Thundersteel」の流れはもう泣きながら渾身のヘドバン&声を枯らしてのサビ合唱ですよ。たまりませんでしたね。陳腐な言い草ですが、感動のライブでした。

そして泣きながら横を見ると、反対側のULTIMATE STAGE前で「DEATH ANGEL待ち」をしていた人たちが「Thundersteel」に合わせてサークル・ピットを作っていたのが見えました。反対側のアリーナにピットが発生したのを見たのは初めてかも。

ライブ開始前にはマーク・リアリの写真が次々と大型ビジョンに映し出され、ドラムキットの前にはマークのものと思しきギター・ケースが置いてあったりしたのですが、ステージが始まるとそれらに触れることもなく、お涙頂戴トークなどもなかったのがかえって好印象でした。


DEATH ANGEL

1987年に平均年齢17歳でデビューしたサンフランシスコ出身のスラッシュ・メタル・バンド。

BURRN!誌でもしばしば「名盤」として取り上げられていた1st「THE ULTRA-VIOLENCE」と3rd「ACT III」は聴いたことがあったものの、2001年に再結成した後のアルバムやライブには一切触れておらず、正直ノーマークでした。

特に前のRIOTの素晴らしさにちょっと放心状態になっていた所に、インターバル短めで始まったので最初のうちは彼らの音楽は耳を右から左へ抜けていくような有様でしたが、すぐにそのテンションの高いキレキレのスラッシュ・サウンドに「おっ?これはカッコいいのでは?」とステージに意識を引き戻されました。

アグレッシヴなスラッシュ・サウンドでありながら、ちゃんと表情と起伏のある楽曲/演奏にはHR/HMに対する確かな素養が感じられ、それがサウンドをよりダイナミックかつ熱情的なものにしている。

ヴォーカリストのステージングや煽りも非常にカッコよくキマっていて、メタル・バンドのフロントマンかくあるべし、と思わず唸りましたね。

もちろんアリーナは大盛り上がり。終始2つの大きなサークル・ピットがTHE HAUNTEDに引き続き二層式洗濯機のごとく回転を続けていました。

終盤で「荒城の月」をプレイしていたのはSCORPIONSの影響? これは来日したときには毎回やっていたりするのでしょうか? 


WITHIN TEMPTATION

個人的には本日一番期待していたオランダの大人気シンフォニック・メタル・バンド。何しろ直近2作が凄く良かったですからね。

ショウはターヤ(元NIGHTWISH)とのデュエットで話題になった「Paradise」でスタート。ターヤのパートが単なる同期音源だったのはやや興ざめでしたが、やはり抜群に曲がいい。

というか「Paradise」に限らず、ゲスト・シンガーを迎えている曲では基本的にゲスト・シンガーのパートは同期音源だったわけですが、その間シャロン・デン・アデル(Vo)がかわいらしく踊って(?)くれるので全て許します。

というかシャロンももう40歳で、しかも3児の母なのに相変わらず美しい。本日の白いドレス姿も素敵でございました。

繰り返しになりますが、とにかく楽曲のクオリティが高い。オランダという北欧やドイツと違って必ずしもメタルの人気が高いとは言えない国でトップ・バンドでいるというのは伊達ではなく、もはやメタルやロックというカテゴリーを超越したポップ・ミュージックとして比類なき完成度を誇っていると言っていい。

そういう意味ではバックのミュージシャンたちの演奏やパフォーマンスに主張が強くないこともあって、バンドである必然性もないような気がしてしまうのもまた事実ですが…。

楽曲が良く、シャロンのパフォーマンスも魅力的だったので期待通り楽しめたわけですが、唯一の誤算は私のフェイバリット・チューンである「Sinead」がアコースティック・バージョンで演奏されてしまったことですね(苦笑)。まあ、それもスペシャルだし悪くはなかったのですが…。


KREATOR

かつて80年代に日本ではSODOM、DESTRUCTIONと共に「ジャーマン・スラッシュ三羽烏」などとやや恥ずかしい名前で呼ばれていたバンドのひとつ。

その後SODOMやDESTRUCTIONに頭ひとつ、いや身体ひとつ抜け出る成功を収めた今となっては、名実ともにジャーマン・スラッシュ・メタルの帝王と呼ぶに相応しい。

最新作「PHANTOM ANTICHRIST」が素晴らしい出来だったので、個人的にも期待していましたし、ULTIMATE STAGEの前で開演前からピットを作ってスタンバっていた人たちはなおのことでしょう。

しかし、オープニングを飾るのは高速スラッシュ・チューンではなく、むしろこのバンドの楽曲の中ではミドルテンポに属する「Violent Revolution」で、サークル・ピットの皆さんたちは拍子抜けしたのか不完全燃焼に。

その後も、随時サークル・ピットが発生するものの、あまり長続きせず失速すること数回。

その原因は、現リード・ギタリストであるサミ・ウリ・シルニヨ加入後、ドラマティックな泣きのパートが楽曲に導入されるようになり、その要素は私にとっては非常に魅力的である一方、高速スラッシュ・ビートで大運動会をしたい人たちにとってはむしろ邪魔になるものだったということなのではないでしょうか。

しかし、やはり歴戦のカリスマ、ミレ・ペトロッツァ(Vo, G)は凄かった。もはや単なる煽りを超えたアジテーションと呼ぶべきMCによってオーディエンスの士気を高揚させ、アリーナに狂乱を生む。

「音楽が俺たちをひとつにしてくれる。宗教や政治なんてクソくらえだ」なんてベタながらもカッコいいセリフを、日本人にもわかりやすいようにゆっくりはっきり喋ってくれるあたり、カリスマは意外と気配り上手(笑)。

常に2つに分かれて行なわれているサークル・ピットに対して、ひとつになって巨大なサークル・ピットになれ、という呼びかけは、その呼びかけの直後には実現しませんでしたが、最後の曲をプレイするにあたって「この会場をブッ壊すラスト・チャンスだ」という物騒なMCに続いて「Pleasure To Kill」がプレイされると、場内の熱狂は極限に達し、ついに2つのサークル・ピットがアメーバ状に結合、アリーナは完全なるカオスと化した。

その様子は往年のSLAYERのライブを彷彿させ、KREATORがSLAYERに匹敵する最強のスラッシュ・メタル・バンドのひとつであることを証明し、会場のボルテージが最高潮に達する瞬間を演出したと言えるでしょう。

個人的には、最近のセットリストには入っていなかった、彼らの楽曲で私が一番好きな「Victory Will Come」をプレイしてくれたのが嬉しかったですね。


DREAM THEATER

そして大トリ、DREAM THEATER。プログレッシヴ・メタルの王者であり、全米TOP10の常連となった今では文句なしにHR/HMのフィールドにおけるトップ・バンドのひとつと呼ぶに相応しく、フェスに出演するのであればトリのポジションに異を唱える人は少ないでしょう。

一方で、彼らの音楽がフェス向きなのか? ということについてはいささか疑問を抱く人もいたのではないかと思います。かつてSUMMER SONICで観るまでは私もそうでした。「鑑賞音楽なんじゃないの?」と。

しかし、彼らの音楽の持つ力は既にそんな次元の低い話を超越した所にあります。そこにあるのは「圧倒」だけ。

まずは映像から始まりました。彼らのアルバム・ジャケットのアートワークはどれもイマジネーションを刺激されるものですが、その歴代のアートワークが動きのついた映像として時系列に展開していく、ファンにとってはたまらないもの。

「METROPOLIS PT.2 : SCENES FROM A MEMORY」のアートワークのパートになった際に起こった歓声に、同作の人気の高さを感じさせられました。

そして、その映像が終わると、最新作からのリード・トラックである「The Enemy Inside」でショウがスタート。マイク・マンジーニのドラム・セットはさながら要塞のようで、バスドラが4つ付いている時点で既に意味がわからない。脚が4本あるのか。

非の打ち所のない演奏で「The Enemy Inside」が終了すると、続くは「AWAKE」からの「The Mirror」で、(アルバムを聴いている方であれば)当然ながら、「Lie」へとつながって行く。この時点で本日の選曲が「有名曲を並べたフェス向けセットリスト」ではないことがわかりました。

終わってみると全体的にはマイク・マンジーニ加入後の2作からの曲が多めで、このタイミングにおけるセットリストとしては不思議のないものでしたが、もっとベタな選曲を期待していた人たちにとっては「選曲が悪い」と感じられたかもしれません。

しかし、オリジナルの映像をバックに(その映像による演出は効いていることもあれば、それほどでもないこともありましたが)繰り広げられる、超絶技巧にして情感豊かな演奏には、まさにバンド名のごとく夢の劇場に連れて行かれるかのような異世界感があり、もはや選曲なんてどうでもいいんじゃないかとさえ感じさせられました。

もちろんフロアはリズムに合わせて腕を上げたり身体を揺らしたりとそれなりに盛り上がっているものの、先ほどのKREATORのような狂騒を見せているわけではない。当然モッシュピットもサークル・ピットもできていない。皆、見入っている。

しかし、走り回り、暴れるだけがメタルの楽しみ方ではない。DREAM THEATERのオーディエンスが静かだからといって、KREATORより盛り上がっていないというわけではないのだ。

まあ、回らないオーディエンスの代わりに(?)ジョーダン・ルーデスが可動式キーボードを押してしょっちゅうグルグル回っていましたけどね(笑)。

途中、二度ほど音が途切れるトラブルがあり、ジェイムズ・ラブリエ(Vo)も絶好調という感じではありませんでしたが、それでも彼らのステージの完成度は孤高であり、「アート」でした。

ハイライトはやはり「METROPOLIS PT.2 : SCENES FROM A MEMORY」からの「Overture 1928」~「Strange Déjà vu」の流れですかね。ラストの「Pull Me Under」はオマケというか、サービスみたいなものでしょう。形としてのアンコールはありませんでしたが、実質この「Pull Me Under」がアンコールみたいなものだった、と受け止めています。

正直な所、あまりに他のバンドと次元が違い過ぎて「LOUD PARK終了後にDREAM THEATERの公演があった」みたいな印象を受けてしまったことは否めませんが、「う~ん、やっぱ凄えな…」というのが基本的な感想ですね。まあ、彼らの場合アルバムを聴いても毎回そういう感想になるわけですが。


いや~、しかし今日の密度は濃かったですね。メンツ的には昨日より地味かな?という感じで、実際客入りも昨日より明らかに少なかったのですが、個人的にはこの2日目の方が「いいライブが多かった」という意味で充実していたと思います。というか、初回から皆勤していますが、ここまで満足度の高い日はほとんどなかったんじゃないですかね。

例年その日のベスト・アクトに関してはだいたい2つくらいの候補に絞れるのですが、本日に関してはTHUNDER、RIOT、DEATH ANGEL、WITHIN TEMPTATION、KREATOR、DREAM THEATER、どれも評価ポイントはそれぞれ異なるにせよベスト・アクトに選ばれておかしくないパフォーマンスだったと思います。

バンドのキャンセル騒ぎなどはありましたが、やはりこうして素晴らしいパフォーマンスを立て続けに観てしまうと「やっぱりメタル最高!」と心から思ってしまいますね。

来年は10周年。クリエイティブマンの仕切りに期待してはいけないとは思いつつ、やっぱり期待しています。

LOUD PARK 14 初日の感想

LOUD PARK。この、年に一度のお祭りを堪能するためにも前日は早く寝ることを目指したのですが、不幸なことに現在仕事が今年度一番ではないかと思われる(思いたい)繁忙期に突入しており、結局仕事が終わったのは夜の2時過ぎ。ベッドに入ったのは3時を回っていた。

しかし、MANOWARがキャンセルになった今、LOUD PARK 14の初日で一番観たいバンドはBATTLE BEAST。「オープニング・アクト」の仮面女子を別にすれば実質一番手だ。

例年一人で参加することが多いのですが、今年は友人が付き合ってくれるので、チケットを持っている身としては遅刻は許されない。

ということで頑張って早起き(当社比)し、何とか10時前に会場であるさいたまスーパーアリーナにたどり着く。

この開演間近のタイミングでも意外と(?)並んでおり、会場入りしたのは10時を少し回った時刻。場内から仮面女子のものと思われる演奏音が漏れ聞こえてくる。

本日はMANOWARがキャンセルになったお詫びとしてドリンクチケットが無料となっており、早速オフィシャルバーでビールに換える。午前中からのビール、やっぱり最高ですね。

ビールを持ってBIG ROCK STAGE側の指定席へ。

仮面女子

この日の仮面女子は、バックのミュージシャンに山下昌良(B: LOUDNESS)、真矢(Dr: 元LUNA SEA)、DAITA(G: SIAM SHADE, BREAKING ARROWS)というなかなか強力なメンバーを集めており、歌のないパートの演奏だけ聴くとメタルに聞こえなくもない。

しかし楽曲はどうにも普通のアイドルソングで、アイドルなのにホッケーマスクみたいな仮面で顔を隠しているというSLIPKNOT的な設定以外にメタルっぽさは皆無。

サイリウムを持った熱心なファンと思しき人たちもちらほらいましたが数は少なく、一応ステージ前にいる人たちもそこそこいるものの盛り上がっているとは言い難い。

とはいえ、彼女たちにとっては「凄腕のロック・ミュージシャンをバックにメタルフェスに参戦した」ということ自体がWebニュースやスポーツ紙の見出しになれば御の字であるはずで、この場で受けるとか受けないということはどうでもいいのでしょう。

興行主側としても彼女たちが出演することによってパブリシティが飛ぶのであれば、一部のファンからの不評など無視するに値するメリットがあり、Win-Winの関係と言えるのかもしれません。

個人的にはサイリウムを振って応援していたようなコアなファンたちが、その後会場にとどまって他のバンドのライブを観て行ったのかどうかに若干興味があります(笑)。


BATTLE BEAST

本日最大の目的のひとつ。昨年の来日公演は都合がつかず観に行けなかったので、彼らがLOUD PARKに出演すると聞いて「ラッキー」と思っていました。

ライブは期待にバッチリ応えてくれる素晴らしいものでした。80年代HMの旨味をたっぷり含んだ楽曲を、往年のブル中野(古い)かバンド名がXだったころのTOSHIか、というパワフルな女性シンガーが歌うそのサウンドは、思わず頬が緩むダサカッコよさ。

個人的には彼らのレパートリーで一番お気に入りの「Newromancer」を聴けなかったことが残念でしたが、この盛り上がりであれば、次作発表後の来日公演は容易に決まるのではないでしょうか。

終演後、SEとして彼らの80年代志向を象徴するかのように映画トップガンのテーマが流れたのですが、「なんかデジャヴを感じる…」と思ったら解散してしまったBLESSED BY A BROKEN HEARTのライブのエンディングでもこの曲が流れていたことを思い出しました。


MARTY FRIEDMAN

続いてはおなじみマーティ・フリードマン。ただ、なじみ過ぎてありがたみがないというか、「マーティだったら日本にいるんだし、いつでも観られるんじゃね?」という気持ちが働いて、このタイミングでMANOWARのチケットを購入に出る。

まあ、いつでも観られる、なんて高をくくっていると一生観なかったりするのが人生というものですが。

400レベル(4階)で販売しているとのことながら、うっかり一か所しかない昇りエスカレーターをスルーしてしまい、無駄に会場を一周してしまいました。

無事チケットを購入した後、追加のビールと、おつまみとして厚切りベーコン串を購入して席へ戻る。

ゲストで誰かヴォーカリストを呼んでいるのかと思いきや、オールインストで突き進んでいるようだ。インストオンリーはLOUD PARK史上初?

少なくとも私が聴いた中で一番盛り上がったのはMEGADETHの「Tornado Of Souls」のカヴァーでしたが、それに続くラストの「天城越え」も反応は悪くない。

しかしマーティは本当に「天城越え」が好きなんですね。だいぶ昔からやってますよね。


VANDENBERG’S MOONKINGS

ちょっとした伝説のギタリストであるエイドリアン・ヴァンデンバーグを生で観られるということは楽しみだったため、わざわざULTIMATE STAGE側の自由席に移動して鑑賞。

ただ、アルバムは良質ながらちょっと地味だったので「眠くなってしまうかも…」と危惧していましたが、案の定というかビール2杯が効いていたこともあってあえなく睡魔に屈する。

とはいえVANDENBERGの名曲、「Burning Heart」のイントロで目が覚め、その後は一応最後まで観ました。
WHITESNAKEの「Here I Go Again」もやっていましたね(てか、セットリストを見ると「Judgment Day」もやっていたんですね…)。

バンドのグルーヴは悪くないし、シンガーはかなりの実力者だったが、やはりちょっと曲が地味すぎました…。


LOUDNESS

この時点で既に時間が押し気味だったのか、VANDENBERG’S MOONKINGSが終了するとほとんど間髪を入れずにLOUDNESSのステージがスタート。

とにかく音がデカい。これまでのバンドは特に耳栓がなくても大丈夫だったが、彼らの演奏が始まると耳栓を装着せざるを得なかった。ある意味高崎晃のギターがこのLOUD PARKで一番攻撃的なサウンドを出していたかもしれません。

二井原実の歌もぼちぼちフェイクしていたし、高崎晃のギターもCDの完コピをしているわけではないのですが、それは衰えを感じさせるものではなく、ベテランならではの上手な手抜きというか、ペースコントロールという感じ。

新作の曲を中心にプレイし、それらも悪くはなかったのですが、やはり盛り上がりを見せたのは後半、「Crazy Nights」、「Crazy Doctor」そして「S.D.I」という往年の名曲が3連打されたタイミング。

どうでもいいですが、「Crazy Nights」のリフって、この日プレイされたあらゆるバンドのあらゆる楽曲の中で一番国際的に知名度のあるリフなんじゃないですかね?

このタイミングではなんとLOUDNESSのライブで小規模ながらサークル・ピットが発生するほどの盛り上がりを見せました。

ただ、往年の名曲とはいえ、「Never Change Your Mind」は、少なくともフェス向きではなかったんじゃないですかね…。


SOILWORK

友人が観たいというので、アリーナの割と前方で鑑賞。彼らを観るのは個人的には約10年ぶりだが、実際ここ6年ほど来日の機会に恵まれなかったようだ。

しかしライブを観ていて思ったのは、やはりARCH ENEMYやCHILDREN OF BODOM、IN FLAMESといった同カテゴリーのバンドに比べると楽曲のキャッチーさや演奏の迫力の点でやや見劣りする部分があり、その辺が来日から遠ざかっていた(人気が伸び悩んでいた)理由なのではないかと思ってしまいました。

格闘家のような風貌のフロントマン、ビヨーン“スピード”ストリッドは迫力充分ながら、楽器隊がちょっと地味なんですよね…。いやドラムなんてかなりパワフルで、バスドラの音の異常なデカさは衣服や体毛が振動していることを感じさせられるほどだったのですが。

彼らの音楽は10年前の時点ではかなりイノベーティブで、バンドのサウンド自体もどんどん進化していくことを感じさせられたのですが、どうもその後自分たちが創造した「型」に収まってしまっている観があり、しかもその「型」の中でさらなる名曲を生むに至っていない気がするんですよね…。

ビヨーン“スピード”ストリッドのMCが日本のオーディエンスにはやや(英語力的な意味で)高度過ぎたのか、的外れな反応ばかりが返ってきて、彼らとしてはちょっとやりにくかったのではないかと思います。


AMARANTHE

つい先日発売された最新作「MASSIVE ADDICTIVE」が、発売日にオリコンデイリー7位にランクインするなど、日本での人気が上昇している彼ら。

以前LOUD PARK 11で観たときには、サウンドのバランスが悪く、彼らの音楽の魅力が伝わり切っていないようなもどかしさがありました。

今年も彼らに限らず、サウンドはまんべんなくイマイチだったのですが、それでも彼らに関しては前回よりはマシだったように思います。

ミニスカートから長い脚(必ずしも「美脚」ではありませんが…)を大胆に露出したエリゼ・リード(Vo)の華やかな女性ヴォーカルに、前回からメンバー・チェンジしているスクリーム担当、ポップ声担当の男性ヴォーカルの3人と、ギターとベースの5人がそれぞれステージを動き回る様には賑やかさがあり、視覚的にも飽きさせないステージだった。

難を言うならオロフ・モロク(G)のギター・ソロがヘナチョコだったことですかね(苦笑)。こんなお飾りのようなソロならなくてもいいような気がしますが、まあ、ギター・ソロがあるからこそメタルとして語ることができる音楽という気もするので、あったほうがいいのかもしれません。


DOWN

かつてLOUD PARK 08で観たときには、その個人的には全く合わない音楽性に退屈した記憶のみがあります。

そして今回も2曲ともたずに寝落ち。20分ほど意識を失った後、また2曲ほど観てみましたがやはりどうにも退屈だったため、いったん通路に出て会場をぶらつき、追加のビールと食べ物を買いました。

フィリップ・アンセルモの性格からして、PANTERAの曲をプレイしてくれる、みたいなサプライズも期待薄だったので、「切った」形です。ファンの方には失礼ですが…。


RAGE

長年聴き続けていたバンドながら、なぜかライブを観る機会を逃し続けていた彼ら。

とはいえライブの評判は毎回かなり良く、未見であるという期待もあって、個人的にはBATTLE BEASTに次ぐ、本日2番目に期待しているバンドだった。

そしてライブを観て評判の良さも納得、素晴らしいステージでした。3ピースという少人数編成ながら音の薄さを感じさせることもなく、タイトに引き締まったパフォーマンスを披露。

終始楽しそうに歌い、気の利いたMCで煽るピーター“ピーヴィー”ワグナーのフロントマンとしての魅力もさることながら、やはり目を奪われたのはヴィクター・スモールスキのギター・プレイ。

彼が非常に高度な技術を持っていることはアルバムを聴けばすぐにわかりますが、こうして生で観ると、スイッチング奏法やブラッシング奏法など、普通のメタル・ギタリストがあまり使わないトリッキーな技を次々と駆使しており、それらによって魔法のようなサウンド、フレーズを連発する様はまさに「ギターの魔術師」と呼ぶにふさわしい。

新旧バランスのとれた選曲も絶妙で、「90年代までは聴いていた」というオールド・ファンから、ヴィクター加入後の彼らしか知らないような新しいファン、そして本日初見となる人たちにまでアピールしたことでしょう。

特に「Refuse」がプレイされた際には、この手のオールド・ファッションなパワー・メタル・バンドのライブには珍しくサークル・ピットまで発生。ラストの「Higher Than Sky」では見事なオーディエンスの合唱を巻き起こすなど熟練のライブ・アクトとしての実力を遺憾なく見せつけたステージでした。文句なしに本日のベスト・アクトです。

ピーヴィーが常に「サイタマー!」と呼びかけて「日本をわかってる俺たち」を演出し続けてきたのに、最後の最後でアンドレ・ヒルジャース(Dr)が不用意に「トキオー!」と呼びかけ、その演出を台無しにしてしまったのが惜しまれる所です(笑)。


DRAGONFORCE

もはやこのLOUD PARKにおいては「常連」とも言える彼らだが、今回はMANOWARのキャンセルがあったとはいえ、「トリ前」というポジションでの登場に、彼らが「出世」したことを感じさせられる。

速い曲「しか」プレイしなかったかつてに比べると、楽曲のレパートリーにミドルテンポの曲が複数組み込まれるようになり、無駄にハイテンションでジャンプしまくっていた初期のステージに比べると、多少「落ち着いた」印象はある。

とはいえそれでも楽曲の平均速度は本日のラインナップの中ではダントツの一番で、その楽曲のテンポに煽られるかのようにアリーナ前半のみならず、後方のスペースにいる人たちや、反対側のステージ前で「ARCH ENEMY待ち」をしている人たちも腕を振り上げて盛り上がっている。

何より驚嘆するのはデカいサークル・ピットが2つ、速い曲・速いパートを選んで出現することで、この速さに合わせて回るサークルってほとんど「○百メートルダッシュ」みたいなものなのでは…。皆さん凄い体力ですね。

カンペを見ながらとはいえ、積極的に日本語でコミュニケーションを行なう(なかなか発音が上手で感心しました)あたり、日本市場を大切にしようという姿勢が伝わってきて、その辺も好感度大でした。

敢えて言うなら、マーク・ハドソン(Vo)の歌声が、甲高いばかりでエモーショナルな説得力を欠いているという問題がありますが、まあなかなかのハンサムさんで、好青年という印象があって魅力的なフロントマンではあるので、そこは相殺されていると考えるべきでしょうか。

個人的には初期の名曲「Black Winter Night」が聴けたことが嬉しかったですね。


ARCH ENEMY

ヴォーカルがアンジェラ・ゴソウから元THE AGONISTのアリッサ・ホワイト=グルーズに交代、さらにクリス・アモット(G)からニック・コードルにメンバー・チェンジして初の来日公演ということで期待していました。

オープニングはなんと「Enemy Within」。アンジェラの実質的「デビュー曲」を持ってきたのは恐らく意図的なものでしょう。当然オーディエンスはしょっぱなから大盛り上がり。

その曲におけるアリッサの歌唱については、アンジェラの印象が強すぎたため、正直ちょっと違和感がありましたが、2曲目、3曲目とショウが進むとすぐに馴染んでいきました。

その歌唱(というかスクリーム)に関しては、いささか無機的な趣のあったアンジェラに比べるとエモーショナルで、少なくともアンジェラに劣らないパワーと魅力を備えている。

ステージ・パフォーマンスについては抜群のスタイルの持ち主だったアンジェラに比べると、やや幼児体型の彼女はステージ上での見栄えという部分については一歩譲るような気がしますし、ショウの仕切りも姉御肌のアンジェラの方がビシッとしていたと思います。

とはいえ、これもアリッサのほうが「かわいい」または「等身大で親しみが持てる」と感じる人もいるでしょう。要は個性の違いですね。

一方、ニック・コードルに関しては非常に高い技術の持ち主であることがすぐにわかり、クリストファー・アモットの後任という重責を務めるに足る人材であることは多くの人が納得するのではないでしょうか。

新作の曲と、アンジェラ在籍時の楽曲でショウは構成され、これはこれで充分満足のいく選曲ではありましたが、今後ヨハン・リーヴァ時代の曲はプレイされなくなっていくとしたらちょっと寂しいですね。

曲名(「Ravenous」)をコールしたのになかなか始まらないとか、アンコールラストの「Nemesis」の前にプレイされた「Snow Bound」が、マイケル・アモットのプレイが終わらないうちにニックによるアルペジオの伴奏が終わってしまうなど、リハーサル不足? と思わせてしまうような箇所もありましたが、全体的には相変わらず満足度の高いライブでした。

ライブの満足度や、オーディエンスの盛り上がりを思えばもはやトリでもおかしくないでしょ、と思いつつ、いや、まだ彼らじゃフェスのトリには軽すぎる…という思いもあるあたり、私も老害になってきたということかもしれません(笑)。

要はこの後MANOWARがあれば、さらに満足できたんじゃないか、ということなんですけどね(笑)。

LOUD PARK 13を振り返って

LOUD PARKから早くも一週間が経ってしまいました。なんだかもうだいぶ昔のことのような気がするのは私が年を取ったからなのでしょうか。

意外と06年、07年、08年など、昔のLOUD PARKのことも一週間前のLOUD PARK同様、かなり鮮明に思い出せる(光景もある)んですけどね。

これまで幕張メッセからさいたまスーパーアリーナへ会場を移したり、2日開催を1日に縮小したり、チケット代が変わったりと、そこそこ伝統のあるロック・フェスの中では年によって割と仕切りが変わるのがLOUD PARKの特徴でした。

そういう意味で、今年はさいたまスーパーアリーナでの2日開催という意味では、実績ベースの開催であり、スキーム的に大きな変化はなく「いつも通りのLOUD PARK」だったと言えるでしょう。

ただ、2日目のトリであったKING DIAMONDがキャンセルになってしまったという件は、イングヴェイがある意味トリに相応しい存在感を放ってしまったがためにうやむやになってしまった観もありますが、やはり普通に考えてフェスにとってヘッドライナー不在という事態は大事件でしょう。

そもそも、カルト的な人気があるとはいえ、現在日本のレコード会社との契約すらないKING DIAMONDがトリという時点でいささか疑問符はついていました。

個人的には、フェスの楽しみというのは「朝から酒を飲みながら1日中メタルに浸ることができる」ということと、「普通であれば観ることのできないバンドをたくさん観ることができる」という点に尽きると思っており、必ずしもトリが個人的に興味がないバンドでもかまわないと思っています。

ただ、やはり一般論として「観たいバンドが出るから行く」というモチベーションの人も数多くいる(むしろそちらの方が多いかもしれない)ということを考えると、多くの人に「観たい」と思われるようなバンドが最後にトリとして控えていることは、イベントとしての動員=成功を左右する大きな要素だと思います。

メタルの難しい所は、ジャンルの細分化が進みすぎてしまったがために、「メタル・ファンの万人が認める大物バンド」というバンドが極めて少ない(そういうバンドは単独で大きな会場をソールド・アウトにできてしまうために、こういうフェスのトリに抜擢するのが難しい)ということです。

さらに、世界的に見たときの人気と日本における人気に温度差があることも多く、例えば昨年のケースでいうと、日本におけるアルバムのセールスだったらSLAYERよりもHELLOWEENの方が上ですが、世界的な実績を考えるとHELLOWEENをヘッドライナーにすることをSLAYERは恐らく良しとしないだろう、などという事情もあります。

そういう状況ゆえ、今年のSTONE TEMPLE PILOTSにKING DIAMONDというヘッドライナーの選択は、なかなか冒険というか、かなり実験的なものであったと思われます。

今年はOZZFESTという恐らくクリエイティブマン的には想定外の(?)要素にBLACK SABBATHやSLIPKNOTなど恰好のトリ候補を持って行かれてしまったので、いつもの年以上に呼べる駒が限られてしまったという事情もあるかもしれません。

そしてもちろんアーティストもスケジュールというものがあり、残念ながらLOUD PARKを中心にスケジュールを考えてくれるバンドというのは大物になればなるほどほとんどいないでしょうし、今年は同日にブラジルで大規模なメタル・フェスがあったこともLOUD PARKの出演者集めの上では苦労する要因になったと思われます。

過去、MARILYN MANSONやSLIPKNOT、KORN、LIMP BIZKITといった、日本では(というかBURRN!読者には)メタルと見做されていないバンドがヘッドライナーを務めた際もかなりの賛否両論を呼び、実際彼らの出演時にかなりの人数のオーディエンスが会場を後にする光景を目の当たりにしました(私もMARILYN MANSONのときは1曲だけ観て帰ってしまいました…)。

それでも、彼ら目当てと思われるオーディエンスがそれなりの数で来場しており、そういう意味で普通に保守的なメタル・ファンに喜ばれるバンドだけを呼ぶよりも動員という面ではプラスになったと思われます。

しかし、今年のSTONE TEMPLE PILOTSに関しては、レポートに書いた通りかなり寂しい盛り上がりで、集客効果は相当に限定的でした(それでも動員のプラスはゼロではなかった、と言い張るのかもしれませんが、ちょっとバンドに対して失礼だったと思います)。

かなり話が逸れましたが、KING DIAMONDのキャンセルについては、色々と事情があったようですし、我々はクリエイティブマンの事務的なアナウンスと、KING DIAMOND側のクレームに近い言い分から真実を推測するしかなく、どちらにより非があるかということについて公正な判断を下すことは困難です。

ただ、いずれにせよ最終的なキャンセルの判断はクリエイティブマン側がギリギリのタイミングで下した、ということだけは事実で、個人的には「本当はもっと早くにキャンセルの判断は下すことができたのに、代わりのヘッドライナーを見つけられる見込みがなく、ヘッドライナーがキャンセルということでチケットのセールスに影響が出ることを恐れてギリギリまでキャンセルの決断を引き延ばしたんじゃないの?」という邪推をしています。

それはそれでビジネス的な観点(というか興行主側の都合)からは理解できなくもありませんが、正直な所、観に来るお客さんに対して誠実な態度ではないなあ、と思います。

KING DIAMONDの件の影に隠れてしまっていましたが、LAST IN LINEにジミー・ベイン(B)が参加しない、ということだって絶対もっと早くわかっていたはず(何しろ代理のベーシストがちゃんと立っているわけですから)なのに、開催直前になってから発表されたのも、同じように「(ファンが)行かない理由」を作らないように隠蔽していたとしか思えません(ジミー・ベインが来ないことによる影響は軽微だったと思いますが…)。

まあ、BURRN!同様、日本におけるメタル・ビジネスというのは競争原理の働かないフィールドなので企業姿勢の改善を求めるのは難しいのかもしれませんが…。

そして実際、私が観た範囲ではイングヴェイ以外のバンドはどれもなかなかいいライヴを見せてくれましたし(イングヴェイは常識的な感覚ではともかく、ある意味伝説のステージだったと思います)、悔しいことに(?)基本的には満足してしまっています。

ただ、細かい不満を言わせてもらえばこれはいくらでもあって。

音が悪い
→毎年バンドによってバラつきはありましたが、さいたまスーパーアリーナでここまでまんべんなく音が悪かった(全体的にデカすぎ)のは初めてでは。

クロークが外にしかない
→個人的には指定席を使っていたので困らなかったのですが、分散させたほうが一刻を争っている人もいるであろう帰り際に効率的なのでは。

指定席チェックがない
→別にそれで迷惑はしませんでしたが、これ、その気になれば誰でも空いている指定席に座れてしまうんじゃないの? とは思いました。

バンドとバンドの間が短すぎる
→全部観たい、という場合食事も休憩もできないのがちょっと…。バンドがプレイしている最中に次のバンドがサウンドチェックをしているというのもいかがなものかと…。

バンド以外の見所がほとんどない
→個人的にはライヴだけ観られればいいんですが、他にもっと何かアトラクション的なものがないとフェスとしての魅力が生まれず、結局バンドのメンツだけで行く、行かないが判断されるイベントになってしまう気がします。

飲食の屋台が変わり映えしなすぎる
→特殊なイベントだし、集客も微妙なだけに出店を希望する店も少ないのかもしれませんが…。ケバブにタイラーメンに台湾焼きそばに、ワイルドターキー。いいかげんもう見飽きました…。
まあこれは私のように毎年行っているヘビーユーザー以外には別に気にならないと思いますが。

物販周りについては全く見ていないのでなんとも言えませんが、昨年のように異常な行列ができていた感じはしないので、何かしら改善されていたのでしょうか?(単に昨年より人が少なかっただけかもしれませんが…)


まあ、色々言いましたが、まずは来年以降も続けてもらうことを最優先にお願いします(そんなことを言っているといつまで経っても何も改善されないのかもしれませんが)。

このイベントに参加することでメタルに対する愛や関心が深まる人って結構いると思いますし、なかなか1つのバンドのライヴのために遠出する気になれない地方の方にとっても、フェスであれば泊りがけで行こう、というモチベーションが生まれるのではないかと思うので…。

あ、個人的なベストアクトは初日はEUROPE、二日目はSTRATOVARIUSです。曲や演奏がいいバンドは他にもたくさんありましたが、フロントマンのパフォーマンス(必ずしも歌唱力のことではありません)の素晴らしさがどちらのバンドも群を抜いていました。普通ですみません。


◆LOUD PARK 13公式サイト
http://www.loudpark.com/13/