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DRAGONLANCE / CHAPTER OF SKYLAND

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都内を中心に活動するメロディック・スピード・メタル・バンドの7作目の音源となる5曲入りEP。

5曲入りといっても、#1、#3、#5はインストのため、実質的には2曲入りのシングルに近い。

とはいえ、プロローグと銘打った#1、エピローグと銘打った#5は、ギタリストの及川氏があるファンタジー・ボイス・ドラマ用(?)に作曲したマテリアルをアレンジし直して収録したというシンフォニックな楽曲で、映画やRPGゲームのサウンドトラックのようなスケール感のある楽曲に仕上がっている。

20秒程度の短いインタールード的な楽曲である#3は、彼らの初音源である2002年発表の「HOLY BLOOD」のデモ版のオープニングだった曲とのこと。

タイトル曲である#2「Chapter Of The Skyland」は2000年の1月、#4「Definition Of Honor」は1998年4月に作曲されたものだそうで、10年以上前に書かれていた曲のようである。

当時はまさにメロディック・パワー・メタルという音楽が全盛期で、北欧やイタリアなどから次々とマニア心をくすぐる魅力的なバンドがデビューしていた時期で、本作に収められたサウンドはその当時のサウンドを思い起こさせるもの。

個人的には、シンフォニックなKeyをフィーチュアした疾走感あふれるそのサウンドは、バンド名の類似もあってか、初期のDRAGONLANDに近い印象を受けた。

ブックレットによると#2「Chapter Of The Skyland」は中心人物である及川氏によると「いつか形にできる状態が整ったら形にしたい」と長年温めていた楽曲だそうで、緊張感あふれるイントロから、強力な疾走を聴かせつつ、中間部やエンディングのインスト・パートにおいてプログレッシヴな要素も感じさせるドラマティックな曲。

もう一方の歌入りの楽曲である#4「Definition Of Honor」はかの有名なアーサー王伝説に登場する聖剣エクスカリバーをモチーフにした楽曲だそうで、疾走しつつもドラマティックに展開する歌メロが聴き所。

ちょっと全体的に1つの楽曲にメロディを詰め込もうとし過ぎていて、どこがサビなのかわからなくなるメリハリの不足が気になるものの、この手の音楽が好きな向きであればくすぐられるメロディや展開が随所に登場し、楽しめる。

Voはなかなか強力なハイトーンの持ち主だが、高音域がややヒステリックに響くため、好き嫌いが分かれるかもしれない。

なお本作はデビュー当時からこのバンドに関わっている、日本のプログレッシヴ・メタル・バンドVIGILANTEのギタリスト大本浩史氏とバンドの共同プロデュース。

そして現在正式メンバーを欠いているベースとドラムにはそのVIGILANTEのベーシストである海野真とドラマーである藤野隼司をゲスト・プレイヤーに迎えている(VIGILANTEのメンバーにレコーディングの参加を仰いでいるのは今回が初めてではないようだ)。

キャリアも10年以上に及び、シングル7枚分のマテリアルもあり、しかも過去の音源の多くははほぼ手困難のようなので、キャリアを総括するフルアルバムの制作が待たれる存在である。

◆本作のプロモーション映像 [YouTube]


◆DRAGONLANCE公式サイト
http://sound.jp/dragonlance/

SCHONBERG / SPLENDID ROSA BIRTH ~華麗なるロサ、誕生~

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日本のシンフォニック・メタル・バンドの、本日7月20日発売となるデビュー・アルバム。

本作に先立って2009年に発売されたオムニバス『SAMURAI METAL Vol.5』への参加実績があり、これまでにEARTHSHAKERや大村孝佳の前座としてライヴを行なった経験があるという。

このバンドの中心人物であり、全曲の作曲を手掛けるギタリストの星野学氏は、本サイトからもリンクしている(残念ながら相互リンクではありませんが/笑)「ROCKS ON THE ROAD」というWebzineの運営者でもあり、その星野氏から音源をお送りいただき、この記事を書いています。

当初「シェーンベルク」というバンド名を見たときには、近代クラシック音楽家のシェーンベルクが思い浮かび、もしシェーンベルクのような無調の難解なサウンドだとしたら私の手には余るなあ、と思っていました。

しかし実際聴いてみると、近代音楽というよりはむしろロマン派の音楽で、私にとってはなじみやすいシンフォニックなメロディック・メタルでした。

あまりHR/HMからの影響を感じさせない女性ヴォーカリストの個性と、自ら「劇的ロマネスク・メタル・ワールド」と形容する欧州型メタル寄りのサウンドのマッチングは、あえて形容するならALI PROJECT+ANGRAといった印象。

速い曲については特にANGRAっぽいおおらかなメロディが疾走する感じで、ネオ・クラシカルなギター・プレイともあいまって、ツボに入る人も多いのでは。

浮世離れした日本語の歌詞(時に語りも)を乗せ、メロディックに疾走する楽曲ではDRAGON GUARDIANなどを思わせる瞬間もあるが、ミドルテンポの楽曲についてはユーロ・ロックからの影響も感じられ、より多彩な音楽的バックグラウンドを感じさせる。

このゴシック全盛なメタル界にあって、あえて「ルネサンス」を標榜する耽美的な歌詞世界も独特で、一歩間違うとMALICE MIZERやVERSAILLESのようなV系宝塚世界寸前ながら、こういう欧州ロマン的な世界観を愛する人も結構多いのではないでしょうか。

クラシカルかつキャッチーなメロディの充実に対し、惜しむらくはプロダクションの貧弱さで、音質の悪さが世界観の完成度を損ない、艶のある情感豊かなせっかくのヴォーカルをちょっと浮き上がらせてしまっている。

次作ではより良い制作環境を獲得し、より完成度の高いロマネスク・メタル・ワールドを表現してくれることを期待したい所です。

◆シェーンベルクのMySpace
http://www.myspace.com/schonbergband


イランのプログレッシヴ・ロック・ギタリスト、“サリム”

先週は週に4回徹夜、土曜日も打ち合わせで仕事、と入社以来最も過酷かもしれない日々を過ごし、その激務は今週も続く勢いですが、そんな中、サイトのメールフォームに一通のメールが来ていました。

メールの送り主はイラン在住のSalim Ghazi Saeediというミュージシャンで、彼の最新アルバムである「Iconophobic(アイコノフォビック)」という作品をレビューしてほしい、というものでした。

これまでにも国内外のミュージシャン、もしくはマネジメント/プロモーターから作品をレビューしてほしい、という打診を受けたことは何度かありましたが、その多くは一方的なプレスリリースの送りつけに近いものでした。

今回の件もそういう「プレスリリースの送りつけ」に近いものではありましたが、イランという恐らくロックを演奏するどころか、聴くことに対してさえ理解があるとは思えない国の方から、「日本語で」依頼のメールをいただいたことには心を動かさずにいられませんでした。

正直、KING CRIMSONというかロバート・フリップのソロ・プロジェクトなどに通じる彼の音楽は私にとってはあまりにもプログレッシヴで、歌なしのインストものということもあって、このサイトでレビューするにはあまりにも違和感があり、また、私自身にこの音楽をレビューする力量はないと感じています。

ただ、このサイト/ブログは私よりも音楽的キャパシティの広い方もご覧になっているようですので、この場を借りて紹介だけでもさせていただこうと思い、このエントリーを書いてみました。

◆比較的HR/HM色の強いと思われる楽曲のPV


・公式サイト: http://www.salimworld.com
・日本語ウェブサイト: http://www.salimworld.com/inter/ja/
・Facebook: http://www.facebook.com/Salim.Ghazi.Saeedi
・Twitter: http://twitter.com/salimgs
・MySpace: http://www.myspace.com/salimghazisaeedi
・新作「Iconophobic」試聴サイト: http://salimghazisaeedi.bandcamp.com/album/iconophobic
・購入リンク: http://cdbaby.com/cd/SalimGhaziSaeedi


HUMMINGBIRD / HUMMINGBIRD

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日本のメロディック・パワー・メタル・バンドのファースト・アルバム。

バンドといっても、実質的にはVo&Gで、全曲の作詞作曲を手掛ける山崎泰央のソロ・プロジェクトである。

山崎氏は日本を代表するプログレッシヴ・メタル・バンド、VIGILANTEのギタリストである大本浩史のレッスン生で、その縁から本作のプロデュースはその大本が担当し、リズム隊はVIGILANTEのメンバーである海野真(B)と藤野隼司(Dr)が務めている。

プロフィールによると、山崎氏がギターに目覚めたきっかけは16歳のときに聴いたVAN HALENの「Eruption」だったという古式ゆかしいものだが(と言ってもリアルタイムの話ではなく、「BEST OF Volume1」で聴いたということだから1996年以降の話だろう)、本作で聴ける音楽性は冒頭に記した通りいわゆるメロディック・パワー・メタルにカテゴライズされるものである。

とはいえ、Keyがキラキラしてたりシンフォニックだったりというモダンなタイプではなく、割とオーソドックスなギター・リフを中心にした正統派寄りというか、ひと昔前の「ジャーマン・メタル」を思わせるサウンドだ。

全曲日本語詞であることもあって、いわゆる「ジャパメタ」の雰囲気も漂っている…のは日本人なのだからある意味当然か。

勢いのあるパワー・メタル・チューンを中心に、ヴァイオリンを取り入れた8分に及ぶ大作や、スラッシーなヘヴィ・リフに一部デス声を取り入れた楽曲(これはあまり様になっているとは言いがたいが…)まで、意欲的な楽曲にもトライしている。

全体的に楽曲がやや未整理で冗長な印象があり、アルバムを通して聴くとややダレるが、バンド名を冠した#2を筆頭に個々の楽曲はそれなりによくできているし、耳に残るメロディも多い。

日本のメタルにおいてネックとなりがちなヴォーカルに関してはやはり微妙だが、「副業」だと考えればかなり健闘しており、これくらい歌えれば下手な専任Voを迎えるより自分で歌いたくなるのも無理はないかな、という感じ。

HURRY SCUARYの南安秀を思わせる声質自体は、個人的には好きな部類です。

ただ、一語一語を丁寧に歌い過ぎて「ロックらしさ」を損なっている観があるので、次作ではもっとリラックスして歌ってもいいのではないかという気もしました。

サウンド・プロダクションは奥行きに欠けるものの、自主制作であることを考えれば悪くない方で、この辺は低予算でのレコーディング経験豊かな(?)VIGILANTEのメンバーをプロデュースに迎えた効果といえるかも。

ただ、実は一番VIGILANTE人脈効果を感じたのはリズム隊で、強力なリズム・セクションがサウンドを引き締め、アルバムの完成度を1ランク上げていると思います。
やっぱり普段プログレをやってる人にとってはこういうストレートなメタルはお茶の子さいさい、って感じなんでしょうかね。

良くも悪しくも「イマっぽい」音ではないが、リリースの形態も今時珍しい典型的な「自主制作」の形をとっており、ヴィジュアル系のブレイク以降一般的になった「インディーズ」とも毛色が違い、最近メタル・ファンにも知られるようになってきた「同人音楽」とも無縁という、良く言えば地に足のついた、悪く言えば不器用な売り方をしている(情況・資質的にそうせざるを得なかった、ということだと思いますが)。

そういった売り方から、歌詞、そしてもちろん音楽まで、この人は本当にピュアなHR/HMが好きで、自分の好きな音楽に真面目に取り組んでいるんだな、という印象を受ける、好感度の高い作品。

◆HUMMINGBIRDのMySpace
http://www.myspace.com/hummingbirdmetal

◆HUMMINGBIRD公式サイト
http://www.hummingbirdmetal.com/Top.html


OBITUARY / DARKEST DAY

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LOUD PARK 08でも充実したパフォーマンスを披露していたアメリカの重鎮デス・メタル・バンド、OBITUARYの再結成後3作目、通算では8作目となるスタジオ・アルバム。

前作「XECUTIONER'S RETURN」が、彼らにしては珍しくアップテンポな楽曲を中心としたアルバムだったのに対し、本作は、ある意味(全盛期のイメージに近い、という意味)彼ららしい、ミディアム・テンポの楽曲を中心としたへヴィな感触の作品である。

やたらとブルータルだったりテクニカルだったりメロディアスだったりする昨今のデス・メタルに慣れた最近の若者が、この聴きようによってはシンプルなサウンドを聴いてどう感じるかは不明だが、彼らならではの不穏なムードは確実に息づいており、彼らのファンであれば納得のいくアルバムなのではないか。

シンプルなリフ・ワークとある意味対照をなす、名手ラルフ・サントーラによるテクニカルなギター・ソロが、前作に引き続きいかにも「後から被せました」という感アリアリなのも聴きどころ(?)。

まあ、場をわきまえてか「泣き」は控えめなので、その辺は個人的にちょっと残念ですが。

ちなみに、「竜殺し」をモチーフにしたこのイカすアートワークはBLIND GUARDIANやSTRATOVARIUS、HAMMERFALLなど、多くのメロディック・パワー・メタルの名作ジャケットを手掛けたアンドレアス・マーシャルの手によるもの。

日本盤ボーナスとして収録されている#14「Dragon Killer」はこのアートワークをイメージした楽曲なのでしょうか。
それにしてはなんか随分と中途半端なインストですが。

余談かもしれませんが、本作のサンプルを提供してくれた日本盤リリース元にはもはやBURRN!の一番安い広告枠を買う体力もないようで、これほどのバンドの作品がマトモにレビューもされないのが惜しまれる所です(広告を出さないレーベルのアルバムはレビューしない、というのが同誌のスタンスのようです)。

かろうじて最新号の「今月のおすすめ」で小澤明久さんが本作を取り上げており、実質それがレビューとなっているので、気になる方は9月号の109ページをご覧あれ。


◆OBITUARYのMySpace
http://www.myspace.com/obituary