STRATOVARIUSの新作「NEMESIS」を聴いて思ったこと

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先行シングル「Unbreakable」を聴いたときから手応えを感じ、期待していたSTRATOVARIUSの新譜、「NEMESIS」が期待通りとても良いです(レビューはこちら)。入手してからこればっかり聴いてます。

昼でも夜でも、明るい気分のときでも、暗い気分のときでも聴きたくなるサウンドです。そういう音楽って、個人的にはありそうでそんなにないですね。

私は元々STRATOVARIUSファンを自認してはいるものの、実際には私より彼らの音楽を強烈に愛して、彼らの音楽ばっかり聴いている人というのはきっといるのだろうと思います。

ただ、それでもこうして日本でレビューサイトとかやってる人間の中ではSTRATOVARIUSに対する偏愛を一番公言している人間なのではないかと自惚れております。

しかし、そんな私でも、STRATOVARIUSがこんなに長続きして、しかもここまで良いバンドになるとは思っていなかった、というのが正直な所です。

結果論から言うと、やっぱり若いメンバーを入れたのが良かったんじゃないですかね。ラウリ・ポラー(B)、マティアス・クピアイネン(G)、ロルフ・ピルヴ(Dr)、皆逸材と呼ぶに足る器で、人口600万人しかいないフィンランドからこれだけ逸材ばかりが発掘される、というのはなかなか凄いことですね。

若いメンバーを入れたことでバンドが良くなった、という点では、先日こちらも充実した作品を発表したHELLOWEENが思い出されますが、HELLOWEENの場合は音楽性自体はほとんど変化していないので、STRATOVARIUSの場合はむしろヴィクター・スモールスキ(G)を迎えて音楽的に高度化したRAGEのケースに近いかもしれません。

ただ、ぶっちゃけた話、本作の優れた出来をもってしても即効性やインパクト、わかりやすさはティモ・トルキが主導権を握っていた時代には及んでいないと思います。

恐らくメタル初心者には「Black Diamond」や「Hunting High And Low」などの方が一発でその魅力が伝わるのではないかと思います。そういう意味でやはりティモ・トルキは偉大でしたし、今後このラインナップの課題はティモ・トルキの残した代表曲以上のキラー・チューンを生み出せるかどうかだと思っています。

とは言え、そのことを差し引いても本作に収められた楽曲群の完成度の高さは充分称賛に値すると思います。このアレンジのきめ細やかさ、気の利き方は、メタルを長く聴いてきた人ほどその魅力が理解できるのではないでしょうか。

特に、最年長メンバーであるイェンス・ヨハンソンのKeyに冒険心が溢れているのがいいですね。これまで同様の硬質なサウンドによるテクニカルなプレイから、トランシーな音色を取り入れたアトモスフェリックなプレイまで、成熟と革新が共存したそのプレイはかつてないほど魅力的。

今でもオールド・ファンの方の中にはイェンス・ヨハンソンのベスト・プレイはSILVER MOUNTAINのファーストにおける演奏で、STRATOVARIUSにおけるプレイは全然本気じゃない、などと言っている人がいるようですが、SILVER MOUNTAINのあれは「若気の至り」のようなものであって、バンドとしてのアンサンブルを考えた上でのベスト・プレイはやっぱりこのSTRATOVARIUSで実現されている、と見るのが自然だと思います。

少なくとも、イングヴェイのバンドにいた頃や、DIOにいた頃の1万倍はイェンスの才能は有効に活用されていると思いますし、だからこそイェンスも様々なトラブルがありつつも、異国人ばかりのバンドであるSTRATOVARIUSにずっと居座っているのでしょう。

そして今回、イェンスは演奏のみならず、書いた曲もとても良いです。イェンス作の「Dragons」は「Unbreakable」と並んで個人的に本作のベスト・チューンですし、日本盤ボーナス・トラックの「Kill It With Fire」は日本盤のブックレットでティモ・コティペルトが語る通り往年のイングヴェイを彷彿とさせるネオ・クラシカル・チューンで、まさに日本のファンが彼らに望む所のものではないでしょうか。

もっとも、イェンスの性格を考えると、彼が心からこういうスタイルの楽曲を愛しているというよりは「その気になれば君たちを楽しませることなど簡単さ」くらいのことを思ってこういう曲を作っていたりするのではないかと思わないでもありませんが(笑)。

まあ、うだうだ書きましたがとにかく本作の出来はブリリアントなので、メロディアスなメタルが好きな人はぜひ買って聴いてみてください、ということに尽きますね。

アルバムの出来が良かっただけに、来日公演も楽しみですね。そろそろLOUD PARKに出てみるのもいいんじゃないでしょうか。このブログでも何度かレポしていますが、彼らのライヴはなかなかレベルが高いので、きっとファン層を拡大できるのではないかと思います(とはいえ曲数が少ないのはイヤなので、単独公演もやってほしいのですが)。

◆本作の先行シングル「Unbreakble」[YouTube]

私の世代だとロバート・マイルズの「Children」を思い出す、切ないピアノのフレーズがたまらない…。


LORDの新作「DIGITAL LIES」がちょっと楽しみ

当サイトが(つまり私個人が)前身バンドであるDUNGEON時代から地味に応援しているオーストラリアのメロディック・メタル・バンド、LORDの新作「DIGITAL LIES」が本国オーストラリアでは2月22日に、そしてニュージーランドと日本でもその後リリースになるそうです。

日本でのリリース元は最近何気にツボを押さえた作品のリリースが増えてきているRUBICON MUSICから。

ルビコンは流通が弱いからディスクユニオンみたいな専門店かAmazonみたいなネットショップじゃないと入手しづらいのが難ですが…。

YouTubeで新作のサンプルが公開されています。

◆LORD "DIGITAL LIES"のサンプル音源 [YouTUbe]


このサンプルを聴く限り、なかなかにイイ感じ。メロディック・メタル・ファンのツボをくすぐるメロディが随所に登場し、期待が高まります。

てか、このクラスのバンドまでクオリティの高いアルバムを出してくるとしたら、今年はマジでメロディック・メタル・ファンにとっての「当たり年」になるかも。

あと、このニュー・アルバムに収録されているインスト曲「Because We Can」のPV(?)がなかなか面白かったので貼っておきます。

◆LORD「Because We Can」のPV [YouTube]


冒頭の英語の掛け合いがわからなくても、内容はしばらく観てればなんとなく理解できると思います(笑)。
チープな映像ですが、バカバカしくて笑えます。そして登場する女性が何気に美人さん。

いずれにせよ、この人たちがバンドで食えているとは思えないだけに、金にならなくてもこうやってずっと活動を続けているようなメタル愛に溢れたバンドは応援していきたいな、と思います。

◆ニュースソース
http://www.blabbermouth.net/news.aspx?mode=Article&newsitemID=185230

「QUEENの'Bohemian Rhapsody'を一人でやってみた」動画

QUEENというと、デビュー当時から日本では人気のあるバンドとして有名でしたし、2004年に平均視聴率25%超の大ヒット・ドラマ『プライド』に「I Was Born To Love You」が主題歌として使用されたことがきっかけで比較的若い世代にも高い認知を得ており、こと日本に関してはTHE BEATLESに次ぐ人気を誇る洋楽ロック・バンドと言っても過言ではないでしょう。

そんな超メジャー・バンドであるからして、あえてこのサイトやブログでQUEENに対する思い入れみたいなものは語ったことはないのですが、私も当然のように好きです。

ただ、彼らの音楽にはHR/HM的なエッセンスもあるとはいえ、彼らの音楽の魅力の本質がそこだけにあったとも思わないので、そういう意味でもこのサイト/ブログで語るべきアーティストではないかなと。

しかし、Yahoo!トピックスやGIGAZINEなどでも取り上げられて話題になっていたこの動画にはちょっとした感銘を受け、取り上げてみたいと思いました。

数あるQUEENの名曲の中でも、名曲中の名曲として名高い「Bohemian Rhapsody」の全パートを一人でプレイし、多重録音している動画です。

◆話題の動画 [YouTube]


これをプレイしているRichie Castellanoという人物は、自分たちの音楽を「ヘヴィ・メタル」と形容した初めてのバンド(とはいえそのニュアンスは我々がイメージするものとは異なるのですが)として知られるBLUE OYSTER CULTのキーボードを担当しているメンバーで、ソロ活動も行なっているミュージシャンだそうです。

(ちなみにBLUE OYSTER CULTのメンバーになったのは2004年からなので、2001年の「CURSE OF HIDDEN MIRROR」以降新作をリリースしていないBLUE OYSTER CULTでのレコーディング参加作品はない)

オリジナルのPVではトップライトが当たる所を、懐中電灯で顔を下から照らすオープニングはちょっと不気味ですが(笑)、歌唱・演奏はご覧の通り、動画投稿サイトにありがちな素人のお座敷芸の類とは別次元にある見事なもの。

ある意味、ニコ動とかでよくある「歌ってみた」とか「弾いてみた」の究極型みたいな動画と言えるのではないでしょうか。
特に多彩な表現力を求められる歌がちゃんとしているのが凄いですね。

まあ、世の中は広いので、そのうち「一人DREAM THEATER」みたいなウルトラCをこなしてしまうようなさらに凄い人なんかも出てくるのかもしれませんが(笑)。


ちなみに、ことこの曲に関して言えば、たぶんこれに近いことが出来る人を我々日本のHR/HMファンは知っています(20代以下の方は知らないかもしれませんが…)。

かつて「ネザーランドの貴公子」と呼ばれた「ロビー様」ことロビー・ヴァレンタインですね。

◆ロビー様が「Bohemian Rhapsody」をプレイしているライヴ動画 [YouTube]


この人もキーボード、ギター、ベース、ドラムス、全ての楽器をプレイすることができるマルチ・プレイヤーです。
ちょっと難があるとしたら、歌唱の表現力の幅はあまり広くないので、中間部のシアトリカルなパートをどこまで一人で再現できるかどうか、ですが。

実際、彼はライヴでこの曲をプレイしていますし、現在QUEENのトリビュート・アルバムを制作しているという話もあります(BURRN!最新号の編集後記で、藤木氏がその音源と思しき楽曲を「今月聴きまくる10曲」に数曲選んでいる)。

ただ、彼が同じことをやるとRichie Castellano氏の動画のような「愛すべき動画」にならないような気がするのは、やっぱり顔というか、キャラの問題ですかねえ…。

ちなみに私はロビー・ヴァレンタインの音楽は言われているほど「まんまQUEEN」だとは思ってません。

◆オリジナルの「Bohemian Rhapsody」PV [YouTube]

年間ベスト選出の葛藤

2011年の年間ベストをようやく本サイトに掲載しました。

他のレビューサイトさんが年明け早々に公開されていたことを考えると、今更感は否めません。

別に個人サイトだし、いつアップしようが俺の勝手だし、という思いもありつつ、これだけ毎日見に来て下さる方がいるということは、自惚れたことを考えると中には楽しみにしてくれていた方もいるのかな、などと思い、そういう方にはお待たせしてすみませんでした、と謝っておきたいと思います。

言い訳をすると、今年は12月にリリースが多くて、それらを聴き込み、評価するのに時間がかかってしまったんですね。年末年始は何かと忙しいので。

さらにぶっちゃけると、私自身他のサイト/ブログさんの年間ベストは結構楽しみにしていて、毎年そこで「昨年聴き逃した良作」を見つけていたりするのです。そしてそれが自分の年間ベスト作成にあたって影響することもある、と。

まあ、後出しジャンケンみたいな話でカッコ悪いのですが、私は多分こういうサイトをやっている人間にしてはあまり新作をたくさん聴いている方ではないので(というかむしろできるだけ購入する新譜は厳選して絞っていきたいと思っていたり)。

ちなみに今回の「昨年聴き逃していた良作」はSHYのアルバムでした。中心メンバーの遺作であるという感情補正を抜きにしても素晴らしいメロディアス・ハードの傑作ですね。

そしてもうひとつぶっちゃけると、近年は昔ほど「ランク付け」に情熱を持てなくなっているんですよね、正直。

もちろんこれは良かった、という印象は明確にあって、昨年良かったアルバム・楽曲を思い浮かべようとすると、候補となる作品はある程度絞り込まれて浮かんできます。

ただ、それを順位付けするのはかなり難しいというか…「どれも良かった」でいいじゃん、という気分になり、良かった作品の中で「どちらがより良かったか」ということを厳密に考えることが不毛に思えてしまうんですよね。

とはいえ、他人様の作ったものを「なんとなく」で順位付けするのも憚られるというか…そのアルバムを「1番!」と思っている人もいるはずなのに、それを4位とか8位にするには、それより上に位置づけられているものと比べて自分の中で何が不満だったか、という明確な理由がなくては失礼、というような思いもあったりして。

…いや、そんな理由は見つからないことの方が多くて、結果的には「なんとなく」で選んでいるんですけどね(苦笑)。

じゃあまた何でそんな大変な思いをして年間ベストなんか選ぶのか。嫌々選ぶくらいなら止めちまえばいいじゃねえか、という声もあると思いますし、私もこれまで何度もそう考えました。

そこで自分が単なる他のサイトの読者だった頃に立ち返ると、やっぱり結構楽しみだったんですよね、年間ベスト。
自分と趣味が似ているサイトであれば、そこに載っているアルバムには外れが少なくて、購入ガイドとして参考になりますし。

そういう意味では、一種の読者サービス的な気持ちで作るべきコンテンツと捉えていますね。

さらに、サイトの作り手になった今になるとわかるのが、個々のレビューより、年間ベストの選出の方がより主観というか、個人的な嗜好が強く出やすくて興味深いというか。

レビューだと、演奏が上手くてサウンドプロダクションが良くて楽曲の平均点が高いアルバム(ある程度キャリアのあるバンドはだいたいそうですね)って、どうしても貶しにくいんですよ。

ただ、そういうアルバムが個人的にツボるかどうかは別の話で。

逆もまた真なりで、演奏荒くて音質もチープだから減点法的に点数は低くなっちゃうけど、俺これ好きだなあ、ってアルバムも中にはあるわけです。年間ベストを考える際には、優等生的なアルバムよりむしろそういうアルバムの方が真っ先に浮かんできます。

年間ベストが必ずしもレビューの点数順にならないのはそういうわけですね。たぶん、他のサイトやブログの管理人さんも、それを意識しているかどうかはともかく、そういう風に選出していると思います。

そのサイトの立ち位置というか、管理人の嗜好が手っ取り早くわかり、そのサイトに書いてあることが信頼に値するかどうかの判断基準を与えるのが年間ベストというコンテンツであり、そういう意味でも、これを作ることは読者にとってメリットがあると考えています。

そしてさらに年間ベストの選出がある程度長期間に渡ってくると、シーンの移り変わりだったり、管理人のマイブームの変化だったりが見えてきたりして、その辺も面白い。

ついでにもうひとつ、年間ベストを手間暇かけて作成する理由としては、単純に個人的な楽しみというのも大きいです。

自分で後で見返した際、「ああ、この年はこういうアルバム聴いてたな」と思い出し、それらの音楽にまつわる風景や記憶などが蘇ってきてノスタルジーに浸れるというか。

あんまり前向きな話ではありませんが、人間そういう時間もあっていいと思うんですよね。
過去を振り返ることで、今という時間の意味や大切さを感じたり、明日を前向きに生きようという気持ちになったりすることもあるんじゃないでしょうか。

以上、なんだかとりとめもない話になってしまいましたが、このサイトを運営するようになってから、年間ベストというものを作るに当たって私が考えていることについて書いてみました。

BLACK TIDEの新作「POST MORTEM」を聴いて思うこと

3年前、BLACK TIDEのデビュー・アルバムが発表されたとき、私はこのバンドにものすごく可能性を感じました。

楽曲そのものの完成度については詰めの甘さが残るとはいえ、クラシックなHR/HMを、モダンな感性で鳴らすという難事をあっさりと具現化してみせたこのバンドこそ、次世代のHR/HMを担っていく存在かもしれないとさえ思いました。

そして今後アメリカからこういうHR/HMの遺伝子をダイレクトに受け継いだバンドが次々とデビューしてくれるのではないかと期待したのです。

ファースト・アルバムのレビューや、それに付随して書いたこのブログの記事にも、そういう私の期待感が反映されていると思います。

LOUD PARK 08についても一番期待していたのは彼らでしたし、09年に行なわれたTRIVIUMの来日公演を観に行ったのも、サポート・アクトである彼らが目当てだったと言っても過言ではありません。

そのライヴについては、正直未熟さが目につきましたが、まあそれは若さゆえやむをえないことかと思っていました。

ただ、声変わりによってすっかり声質の変わってしまったガブリエルのVoと、「最近はSAOSINのようなモダンなバンドにハマっている」という海外インタビューでの発言などによって、「ん~、これはもうダメかもしれん…」と思いつつありました。

そして届けられた3年ぶりの新作、「POST MORTEM」。
正直タイトルにもジャケットのアートワークにもピンと来るものがなく、特に期待することもなく惰性で購入しました。

まず言っておくと、アルバムの仕上がりそのものは悪くないです。楽曲の質自体はかなり高い水準に達しており、楽しめる人は充分楽しめるだろうと思います。

ただ、そのサウンドは80年代HR/HMの影響をダイレクトに感じさせた前作とは打って変わって、モロにBULLET FOR MY VALENTINE(以下BFMV)からの影響を感じさせるイマドキのエモがかったメタル・サウンド。

前作発表後、BFMVの欧州ツアーにも帯同していましたし、LOUD PARK 08でも同じ日に出演するなど彼らとの縁が深かったゆえに影響を受けたということなのでしょうか。

なお、本作にはBFMVのマット・タック(Vo, G)が#1「Ashes」にゲスト参加しており、このアルバムがBFMVのファンを意識していることを感じさせます。

実際、本作の音はBFMVの最新作を気に入ったようなファンにとってアピールするサウンドだと思います。GLAMOUR OF THE KILLのような同じBFMVフォロワーに比べればエモ度が低く、メタル度が高いあたりも含めて。

声変わりしてしまったガブリエルの歌声も、このサウンドにマッチしているのは事実です。

しかしここまであからさまな「フォロワーの音」に甘んじてしまってイイの? というのがファースト・アルバムで彼らに惚れ込んだ者としての本音。

まあ、たしかにこういう音の方が「売りやすい」というのはわかりますよ。
ある意味彼らの年齢相応の「イマドキ」なサウンドですしね。

このサウンドの変化がそういう「売りやすさ」を意識したレコード会社なりマネージメントなりの「オトナの判断」によるものなのか、彼ら自身がBFMVのツアーに帯同するなどして感化された影響かどうかはわかりませんが…。

前作が出たときにもちょっと危惧していたのですが、やはりあまり若くして世に出てしまうと、ちょっと人生が歪められてしまうと思うんですよね。

宇多田ヒカルなんかは親も有名人だったおかげで多少はうまくやっていたように見えましたが、それでもやっぱり私生活の部分では歪みを自覚せざるを得ず、ああいう休業の仕方をしているんでしょうし。

スポーツ選手とか、クラシックの演奏家とか、そういう「とにかく上手くなること」が全ての世界であれば若くしてプロのフィールドに飛び込むことがプラスに働くことが多いと思います(そのかわり実際に才能がなければ容赦なく潰されますが)。

しかし、こういうロックのアーティストっていうのはいかに「自分の世界」を作り上げるかの方が「上手くなること」より重要だと思うので、若いうちはもっと日の当らない所で地道に自分の世界を形成していくほうがいいような気がするんですよね。

ティーンの多感な時期に、いきなりビッグなプロ(BFMV)に触れてしまうと、そりゃ影響されてしまいますよ。
実績のあるプロデューサーに「こうした方が売れる。我々に任せておけ」と言われりゃ、よほど天の邪鬼な性格じゃない限り「そうなのかな」と思ってしまいますよ。

まあ、実際に彼らが地元でコツコツと下積みをした所で「独自のサウンド」を確立したかどうかはわかりませんし、彼らがいきなりメジャー・レーベルからデビューできた理由の一つは「若さ」そのものにあるので、彼らのデビューがもっと遅かったら、という「If」にあまり意味はないかもしれません。

あるいはひょっとするとこの「方向転換」はBFMVを聴いているような若いメタル・ファンを取り込むための戦略的なもので、次作以降「彼ら独自の音」が次第に浮き彫りになってくる、という中長期的な展望に基づく意図的な作風なのかもしれませんが。

まだまだ若い彼らゆえ、可能性は未だ大きく広がっていると思いますし、こういうサウンドこそが今や「メタルへの入り口」として機能するのではないかという期待もあるのですが、こういうバンドをどこまでフォローするかでこのサイト/ブログの立ち位置が変わってくるような気がしますね。

◆「That Fire」のPV [YouTube]

ライヴで盛り上がりそう。悪くはないのだ。むしろ良いのだ。だけど…。