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HELLHOUND / THE OATH OF ALLEGIANCE TO THE KINGS OF HEAVY METAL (鋼鉄の軍団)

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ここ2回のエントリーがDOROの"All For Metal"に、DEE SNIDERの "FOR THE LOVE OF METAL"と、"Metal"というワードを使用したタイトルにこだわってきたのは、本作の(というかこのバンドの)レビューのための前フリだったと言っても過言ではないかもしれません(?)。

このHELLHOUNDは、2014年にW:O:A Metal Battle Japan(世界最大級のメタル・フェス、『Wacken Open Air』への出場権を賭けて行なわれるバンド・コンテストの日本地区予選)を勝ち抜いて、『Wacken Open Air』に日本代表として参加した実績のあるバンド。

私はあまり日本のインディー・メタル・シーンに詳しくないのでそのニュースでこのバンドを知りましたが、結成は2002年、2004年にはデビュー・EPをリリースし、2006年にデビュー・アルバム『TOKYO FLYING V MASSACRE (鋼鉄〈メタル〉のいけにえ)』を発表、本作はフル・アルバムとしては4作目になるという結構なベテランだ。

ジャケットのアートワークに描かれているメンバーのファッション、日本のバンドの曲なのになぜか付けられているチープな「邦題」のセンス、そしてメンバーがCROSSFIRE(Vo, G)、LUCIFER'S HERITAGE(G)、BLACKWIND(B)、MOUNTAIN KING(Dr)と、胡散臭い芸名を名乗っていることなど、メタルのB級な部分を濃縮還元して煮詰めたようなバンドである。

ちなみに、Amazonの商品紹介文によると、「CROSSFIREは現MastermindのVoに、LUCIFER'S HERITAGEは現HERITAGEのGに、 BLACKWINDは現AFTERZEROのBに、MOUNTAIN KINGは現AFTERZEROのDsにかなりソックリらしい・・・。」とのこと(笑)。

まあ、内容については下記の曲名リストを見ればもう何も説明いらないんじゃないですかね。
あとはいくつか映像貼り付けておくのでそれ聴いて判断してください。自分はメタル・ヲリアーなのか、そうじゃないのか、ということを。

1. Theme / 鋼鉄軍団のテーマ
2. The Oath Of Allegiance To The Kings Of Heavy Metal / 鋼鉄の忠誠
3. Metal Nation / 鋼鉄の軍団
4. Speed Metal Hell / スピードメタル・ヘル
5. Heavy Metal Magic / ヘビーメタル・マジック
6. Kill With Metal / メタルで殺れ!
7. Earthbangers / アースバンガー
8. Interlude / 哀愁のウォリアー
9. Requiem For Warrior / 戦士のレクイエム
10. Heavy Metal Never Dies / ヘビーメタル・ネバー・ダイズ
11. Sign Of Heavy Metal / サイン・オブ・ヘビーメタル

ちなみに本日吉祥寺クレッシェンドで兀突骨などとカップリングでのライブがあったようですが、このクソ暑い中こんな音楽をライブで聴いたら熱中症どころか焼死あるいは溶解もしくは蒸発してしまうと思ったのでパスしました。ええ、私はメタル・ヲリアーなどではありません…。

えーと、ネタで取り上げたと思われると困るので(いや、メンバーもある意味ネタとしてやっていることは自覚していると思いますが、メタル愛はマジでしょう)一応点数もつけておきますね。Voは好みが分かれそうですが、いたって高品質のピュア・メタル・アルバムです。【85点】

◆本作のリーダー・トラック"Speed Metal Hell"のMV

この16:9が当たり前の時代に敢えて4:3、しかもアナログ・ノイズみたいなエフェクト入りというあたりがこういう音楽が生まれた時代へのトリビュートになっていますね。

◆本作のトレーラー映像


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陰陽座 / 覇道明王

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密教における五大明王の中でも恐らく最も有名であり、仏教における戦闘部門(?)代表というべき存在である不動明王と、儒教の説く「武力による支配」を意味する覇道を掛けたタイトルを冠した14作目のフル・アルバム。

そのタイトルに違わず、本作は彼らのアルバムの中でも1、2を争う攻撃的な作風である。

陰陽座はそのバンド名の通り、「陰」「陽」どちらの要素も備えたバンドであるが、その陰陽のバランスは作品によって微妙に異なり、絶妙に中庸を行くものが多い中、どちらかと言えば「陰」な印象の作品と敢えて言うなら「陽」な印象の作品(もちろん能天気に明るいということではない)、というのが存在する。

前作はヴォーカル・オリエンテッドな作風だったという意味で「陽」な印象の作品だったが、本作はヘヴィさやアグレッシブな面を強調した「陰」サイドの作品と言えるだろう。

再生を開始するなり緊張感を掻き立てる、不穏なピアノの調べで幕を開けるオープニング・ナンバーの「覇王」はこのバンドには珍しい、ややエクストリーム・メタルのエッセンスが強い楽曲で、芸風が確立されているがゆえに印象が似通ってしまいがちな彼らの作品群において本作の個性を強く主張する。

これはこれでカッコいいが、全曲こうもダークでヘヴィだったらどうしよう、と不安になるような彼らの「陽」サイドを愛するようなファンを2曲目の王道HMチューン「破邪の封印」ですぐに安心させるあたり、瞬火はさすがに計算高い。

パワー・メタリックなスピード・チューンは#8「飯綱落とし」くらいだが、それ以外の曲もアップテンポなものが多く、ダーク&ヘヴィでありつつスピード感はアルバム全体を貫いており、勢いよく聴くことができるのはメタル・アルバムとして非常に優秀。

一方でバラードはなく、長尺曲や民謡っぽい泥くさい曲やあからさまにキャッチーな曲もないので(シングル曲の「桜花忍法帖」もアルバム用にヘヴィにリミックスされている)、彼らの魅力を陰陽両面に渡るバラエティ感にあると感じる向きには、やや一面的というか一本調子に響くかもしれない。

しかし、恒例のオマケ的「アンコール・チューン」である「無礼講」まで含めても前10曲、53分程度にまとめたコンパクトな構成が単調さを感じさせることなく一気に聴かせてくれる、という感想を持つリスナーの方が多いに違いない。

ある意味、陰陽座の持つ楽曲パターンの中でもクセが強いものや、ポップで軟弱に響く可能性のある曲を排したことで、現代の一般的なメタル・ファンにとっては最も普遍的な魅力を持つメタル・アルバムと言えるかもしれず、『BURRN!』誌における96点という高評価はそういう点を評価したものではないかと思われる。

私自身はと言うと、本作で一番気に入った曲はサビの歌詞の「腐乱せし尊厳」と「触らす韻文で」の箇所が英語っぽく聞こえる、翳りつつもキャッチーな#6「腐触の王」であるという人間なので、もう少し彼ら独自のアクの強さが出ていてもよかったのに、という気がしているのが正直な所。

とはいえ、本作が極めて優れたメタル・アルバムであることに異論の余地はない。【87点】



UNIVERSE INFINITY / ROCK IS ALIVE

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当時日本盤リリースさえなかったものの、80年代北欧メタルの名盤特集などでは常連的な存在となっているUNIVERSEの再結成アルバム。

なお、「UNIVERSE」というのがあまりにありがちというか、もはやGoogleで検索不能なバンド名だからか、UNIVERSE INFINITYに改名している。

私がUNIVERSEの残した唯一のアルバム”UNIVERSE”(1985)を聴いたのはぶっちゃけYouTubeに上がっていた音源を通じてでしたが、確かにB級ながらマニアの間で名盤として語り継がれるのも納得の魅力があり、なぜこれが当時日本盤リリースされなかったのか理解に苦しみました。もっとアレなアルバムがたくさん日本盤リリースされていたはずなのに。

ライナーノーツによると、ギターのミカエル・クリングは若い頃ジョン・ノーラムとカヴァー・バンドをやっていた、もう一人のギターのペル・ニルソンは昔ジョーイ・テンペストのバンド仲間だった、キーボードのフレドリク・クリストレムが以前在籍していたバンドの前任キーボーディストはミック・ミカエリだった、とのことで、完全に「EUROPEのニアミス・バンド」であるようだ(苦笑)。

UNIVERSEはアルバム1枚でレコード契約を失い、1988年にひっそりと解散、メンバーはみな音楽業界から身を引いていた。

しかし、メンバー各人の交友は途絶えることなく、2002年に一堂に会した際、セカンド・アルバム用に書いていたマテリアルもあるし、再結成しよう、という話が持ち上がったそうだ。

そして実際にリリースが実現したのは今年、2018年。

まあ、堅気の仕事をして家庭も持っている大人が5人いたら、なかなか都合も合わず、いつの間にか10年以上の時が流れてしまった、というのは、学生さんには理解できないと思いますが、自分が40歳になった今となってはわからなくはありません。

“UNIVERSE”で歌っていたシェレ・ヴァレンは解散前に脱退しており、その後任として加入し、解散までヴォーカルを務めていたヤンネ・オーストレムはミュージカルの世界で成功していたため今回の再結成には不参加。替わって本作で歌っているのは元HOUSE OF SHAKIRA、というのが北欧メタル・マニアには通りがいいであろうアンドレアス・エクルンドである。

とまあ、くだくだとライナーノーツみたいなこと書きましたが、もう1曲目「Start Give All Your Love」のKeyによるイントロが流れた瞬間に思わず「これぞ北欧…」と呟きましたね。

聴き進むと、メロディアス・ハード色の強い曲から、ヘヴィ・メタリックな曲、まんまDEEP PURPLE、みたいな70年代色の強い曲まで様々なタイプの楽曲が収められており、それが「バラエティ豊か」というよりはやや散漫な印象を与えてしまうのは、プロフェッショナルなプロデューサーの下での制作経験がないためだろう。

とはいえ、個々の楽曲にはちゃんとフックがあって、メンバーの確かな音楽的センスを感じさせる。そして何より随所で聴かれる、我々日本のメタル・ファンが「北欧的」と感じる哀愁のメロディ、そして適度にマイルドな歌声がこれまた何とも北欧的で、私の感性のツボを絶妙に刺激してくる。

これらの曲は基本的に80年代に書かれていたものらしいが、質・量ともにこれだけの楽曲がストックされていたのだとしたら30年越しで再結成を諦められないのも無理はない。

これ、93年~98年くらいにゼロ・コーポレーションから出てたら、今回売れた枚数の10倍くらいは売れたんじゃないかなあ。本作が実際何枚売れてるのか知りませんが。【85点】


冒頭ドラマパートで動画サムネイルの女性が聴いているのは"UNIVERSE"収録の「Stories From The Old Days」で、オールド・ファンへのサービス的な演出でしょう。オリジナル・メンバーたちの風貌は完全に「ただのオッサン」ですが(苦笑)。Voの人はさすがにミュージシャンやってただけあって、多少「らしい」雰囲気がありますね。


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DEICIDE / THE STENCH OF REDEMPTION (2006)

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ラルフ・サントーラ追悼エントリーその3。この週末はラルフ・サントーラ関連作漬けでした。
いや、陰陽座の新譜も聴いてましたが。

ラルフ・サントーラのデス・メタル本格デビュー作ですね。93年の時点でDEATHのツアー・メンバーなどもやっていましたが、デス・メタル・バンドの正式メンバーとしてアルバム制作に携わったのは多分本作が初だと思います。

DEICIDEは言わずと知れた(?)、デス・メタル第一世代とでもいうべきフロリダの古参。最もアンチ・キリスト色を強く打ち出し、命を狙われることもしばしばだったという危険極まりないバンドである。

ラルフ・サントーラ自身は敬虔なカトリックの家庭に育ったようだが、その辺はビジネスとしての「大人の割り切り」だったのか、EYEWITNESSやMILLENIUMが成功せず、世界を呪いたい気分になって自暴自棄になっていたのかは定かではありません(笑)。

音楽的にはデビュー時から大きく変わらぬピュアなデス・メタル・サウンドが展開されているわけですが、やはりラルフ・サントーラ加入効果はてきめんで、ギター・ソロについては私のようなメロディアスなHR/HMを好む人間が聴いても楽しめる構築美に溢れたスリリングなギター・ソロが楽しめる。

楽曲自体はコンパクトにまとまっており、全9曲と収録曲が少ないこともあって、私のような「メロデス以外のデス・メタルはちょっと…」という軟弱なリスナーでも耐えられる、というか結構楽しめる。その辺は素人にはあまり区別がつかないこの手のジャンルにおけるベテラン・トップ・アーティストならではの力量が出ているということなのだろう。

ラルフ・サントーラの加入によるメロディックなギター・ソロの導入がこの手の本格(?)デス・メタルを愛する人にとってどう受け止められたのかは知る由もありませんが、本作は海外のレビューでも評価が高く、商業的にも割と成功したようなので、ラルフ・サントーラの貢献は真性(?)デス・メタラーにも評価されたものと思われます。

しかし、MILLENIUMみたいなある意味誰でも聴ける音楽よりも、こういう音楽の方がビジネスとしては儲かるなんて、凄い時代になったものですね…。



MONARCH / MONARCH (1997)

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ラルフ・サントーラ追悼エントリーその2。

MILLENIUMの"HOURGLASS"を取り上げた際にいただいたコメントの2/3で触れられていたので結構知名度あるんだな、と驚きました。

このMONARCHの唯一のアルバムは、ジム・ドリアンというニューヨーク出身のシンガーのプロジェクトとして制作されている。

とは言っても本作のソングライティングは主にラルフ・サントーラ(G)とトッド・プラント(Vo)というEYEWITNESSおよびMILLENIUMのメンバーによって担われており、演奏面でもEYEWITNESSおよびMILLENIUMに参加している人間が固めているので、「ヴォーカル違いのEYEWITNESS/MILLENIUMと言っても過言ではない。

ただし、音楽的にも完全にEYEWITNESS/MILLENIUMと同じかと言うとそうでもなく、本作で展開されている音楽はEYEWITNESS/MILLENIUMよりも80年代アメリカンなキャッチーさを押し出したものになっている。

個人的にはこのMONARCH(君主)というバンド名、そしてこのアートワークから勝手にヨーロピアンな様式美サウンドを想像しており、そういう意味では本作を最初に聴いた時にはちょっと肩透かしをくらった気分だった。

ついでに言うなら、ジム・ドリアンというシンガーについても実は事前に知っており、彼が以前参加していたTIDAL FORCEというバンドの「Station To Station」という曲における溌溂とした歌唱が素晴らしかったので期待していたのだが、本作における歌唱はいたって普通でその点も肩透かし。

冷静に聴けばラルフ・サントーラのギター・ワークは流石だし、タイトルからしていかにものインスト、#6「Pagannini」からソリッドなハード・ロック・チューン#7「Scorpio」の流れなどは「期待していたもの」に近かったりもするのだが、やはり全体的に哀愁不足かな。

グランジ/オルタナティブに蹂躙されつくした1997年にアメリカからこういう音楽が出てきたというだけでも貴重なサウンドだったことは間違いないんですけどね。

いずれにせよ、本作もまたラルフ・サントーラという人が「デス・メタルの人」ではなかったことを示す証拠のひとつと言えるでしょう。【82点】