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Metal Female Voices Fest Japan 2019 at 新宿BLAZE 4/21感想

2003年からベルギーで行なわれてきた女性ヴォーカルのメタル・バンドの祭典、Metal Female Voices Festの日本版、Metal Female Voices Fest Japan 2019に行ってきました。

と言っても、私が観たのはVUURとLEAVE'S EYESの2バンドだけなので、フェスを楽しんだとはとても言えず、VUURが前座についたLEAVE'S EYESの来日公演を観た、という感覚です。

ぶっちゃけ私は女性ヴォーカルのメタルのファンというわけではなく、もちろんNIGHTWISHとかWITHIN TEMPTATIONクラスの、もはやメタル・シーンを代表するレベルのバンドを別格とすると、あまり積極的に聴いてはいません。

一応断っておくと、別に女性ヴォーカルのメタルが嫌いなわけではなく、男らしいパワー・メタルの方が好きなので、そちらを優先的に聴いてしまうというだけの話です。

ただ、今や数多く存在する女性メタル・ヴォーカリストの中でも、アネク・ヴァン・ガースバーゲン(VUUR, 元THE GATHERING)という人の歌声は個人的にHR/HMの女性ヴォーカリスト史上最も魅力的だと思っており、その歌声を一度生で聴きたい、という思いだけで足を運んだという感じです。

私が会場である新宿BLAZEに到着したのは、まさにVUURのショウが始まる直前の19:30頃。

元々この日は用事があり、最初から観ることは不可能でした。しかもついつい30周年に寄せてXの"BLUE BLOOD"を聴き、それに関するブログ記事まで書いてしまったので、それを諦めれば、その前のMARY'S BLOODには間に合ったのではないかと思いますが、あのエントリーはあのタイミングで書かずにいられなかったので仕方ありません(?)。

集客に苦労しているという噂は聴いていましたが、オーディエンスは会場キャパの5~6割といったところ。日本ではやっぱり女性ヴォーカルのメタルってイマイチ人気ないですよねえ。NIGHTWISHとかWITHIN TEMPTATIONのようなトップ・バンドでさえ、本場欧州に比べるとだいぶ盛り上がりに欠けますし。

VUUR

それだけに、2016年に結成されたばかりのVUURがどれだけ盛り上がるのか、個人的には心配していました。その音楽も、女性ヴォーカルのメタル以上に日本では(DREAM THEATERを除き)人気のないプログレッシヴ・メタルということで、THE GATHERINGの人気もあまりなかった日本で彼らが受け容れられるのか、正直不安でした。

しかし、ライブが始まってみると、その心配は完全に杞憂でした。オーディエンスは少ないとはいえ、ちょっとビックリするくらい盛り上がっていたのです。

そして、その盛り上がりの理由がアネク・ヴァン・ガースバーゲン、その人であることは明白でした。

とにかく圧倒的な存在感とカリスマ性。バックを固める演奏陣も、皆非常にテクニカルで、ルックスも悪くない(特にベースはカッコよかった)のですが、視線はもうアネクに釘付けでした。

アネクは私より4つくらい年上なので、もう40代半ば、客観的には「オバサン」。実際ちょっと体型は崩れてきていて、二の腕などはパンパンなのですが、そんなルックスの劣化(とはいえ、彼女が若い頃美しかったことを疑う人間はいないだろう、というくらいにはちゃんと美しさの面影がありますが)など気にならないほどに存在自体が輝いている。

とにかく笑顔が素敵なのですが、「この笑顔を守りたい」「この人の笑顔を曇らせてはいけない」「このライブを盛り上げることはもはや我々の義務だ」と、オーディエンスに自然に思わせてしまう何かがあるのです。これをカリスマ性と言わずしてなんと言いましょうか。

プログレッシヴ・メタルなので、リズムは決してノリやすいものではなく、そのメロディもコーラスしやすいキャッチーさとは無縁。しかしそれでもオーディエンスは熱く盛り上がり、アネクが手拍子やフィストバンギングを求めれば皆おざなりではなく全力でその呼びかけに応える。

その盛り上がりを目にしたアネクが見せる笑顔がまた超チャーミングで、ああ、ヨーロッパで歴史上国民に愛された女王様、王女様というのはこういう人だったんだろうな、などと思ってしまいました。さすが90年代、欧州のメタル・ファンの間で「お嫁さんにしたいミュージシャンNo.1」に選ばれたという魅力はハンパではない。

THE GATHERING時代の楽曲や、アルイエン・アンソニー・ルカッセン(AYRION)とのプロジェクト、THE GENTLE STORMの曲も含めて、およそ日本人好みとは言えないものでしたが、そのショウに対する満足度は、わずか7曲しかプレイしなかったとは思えないほどに高いものでした。

どうでもいいですが、「アネク・ヴァン・ガースバーゲン」という名前の響き、メチャクチャカッコよくないですか?




LEAVE'S EYES

VUUR終演後、ドリンクカウンターでチケットとハイネケンに換え、MANOWARの"SIGN OF THE HAMMER"の巨大ワッペンが貼られたGジャンを着ていたオジサマが、外人に「マノウォー、チョーダサイネー(日本語)」とイジられているという心温まる(?)国際交流を横目に眺めつつ、ビールを飲み終えてフロアに戻る。

そしてこのMetal Female Voices Fest Japan 2019のヘッドライナーとして登場したのは、本場のMetal Female Voices Festでも常連的出演者であるLEAVE'S EYES。

LEAVE'S EYESは、アネク・ヴァン・ガースバーゲンのいたTHE GATHERINGと同様90年代中期、女性ヴォーカルを擁するゴシック・メタルの先駆者だったTHEATER OF TRAGEDYのメンバーだったリヴ・クリスティンが、同バンドを解雇されたことを機に、夫だったアレクサンダー・クルル(Vo, Key)が率いるATROCITYのメンバーと始めたバンド。

2016年、リヴ・クリスティンとアレクサンダー・クルルが離婚したことを機にリヴ・クリスティンが脱退、後任にフィンランドのメロディック・メタル・バンド、ANGEL NATIONのメンバーだったエリナ・シーララを迎えている。

個人的にはこの界隈のパイオニアであるアネク・ヴァン・ガースバーゲンとリヴ・クリスティンの揃い踏みを見たかったという思いはあるが、こればかりはままならない。

問題は、私が聴いたことがある彼らのアルバムはリヴ・クリスティン在籍時のものしかない、ということであるが、今日はあくまでアネク様に拝謁するために来たのであって、個人的にはLEAVE'S EYESはオマケ、良かったら儲けもの、くらいの気分で後方から観ることにした。

開演時間になりメンバーが登場、エリナ・シーララの第一印象は「細っ!」でした。超スレンダー系。

しかもなかなかキレイな顔立ちをしていて、正直ルックスだけで言えば、年齢を重ねてちょっと魔女めいてきていた(失礼)リヴ・クリスティンよりも現時点では上。

しかし、無いのだ、華が。アネク・ヴァン・ガースバーゲンと比べると壊滅的に。

いや、あまり人と人を比べるのは良くないが、なにせ直後だけにどうしても比較してしまう。女王と町娘くらいにオーラが違うのだマジで。

心なしかオーディエンスのテンションもVUURの時に比べると低いように見える。

しかし、ヴォーカル・パートの比率でいうと2割程度しか貢献していないアレクサンダー・クルルが、空いている8割の時間を駆使してオーディエンスを煽る煽る、煽りまくる。

人間、楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しくなるのだ、という心理学の話がありますが、半ば無理やりにでも手拍子をし拳を振り上げて盛り上がったフリをしていると、次第になんとなく本当に盛り上がってくるのだから、やはりオーディエンスを煽り、リアクションを促すというのはフロントマンの大切な仕事だ。

セットリストは予想以上に現Voに代わってからリリースされた最新作"SIGN OF THE DRAGONHEAD"からの楽曲が中心で、ぶっちゃけ殆ど知らない曲ばかりだった。

しかし、リヴ・クリスティン在籍時より俄然ゴシック/シンフォニック・メタル色が後退し、元々存在していたフォーク/ヴァイキング・メタル風味が大幅に強化されたそれらの楽曲はなかなかにキャッチーで、思いの外楽しめている。

途中、EVPのスタッフ(バイト?)と思われる日本人が4人ほどヴァイキングの恰好で登場してステージ上を賑やかしてみたり(超弱そうでした/笑)、アレクサンダー・クルルが「俺にとって日本は特別な国なんだ。ガキの頃DEEP PURPLEの"MADE IN JAPAN"に夢中だったからな。そんな国でプレイできて感激だよ」などと熱い長めのMCをしてみたり(ちなみその時ギターの人がちょろっと"Woman From Tokyo"のリフをプレイしてくれた)、ショウを盛り上げようという工夫と努力が感じられたのも好印象。

ひたすら可憐なエリナ・シーララは、ピッタリした黒レザーの衣装含め、勇壮なヴァイキング・メタル調の楽曲にミスマッチな気がしたが、これはもはや「普通の可愛い子がヴァイキング・メタルを歌っている」というギャップに萌えるべきなのだと途中から思い直しました(笑)。

てか、このエリナ、アレクサンダー・クルル(48)の娘くらいの年齢かと思っていたら、調べてみると35歳なんですね。白人女性は30越えると太るか皺が目立つようになるか、いわゆる「劣化」が早いことが多いですが、彼女は若々しい。MCなんかも良い意味でフツーの女の子っぽくて、好感度大でした。

15年以上のキャリア、7枚のアルバムをリリースしたバンドともなると、普通は本編ラストやアンコールには「初期からの代表曲」がプレイされるものだと思いますが、このバンドの場合どちらも最新2作からの楽曲がプレイされ、それがちゃんと「その位置」に相応しい楽曲として響いたあたり「まだまだこれからのバンド」としてのポテンシャルがあることを感じさせられました。新作もチェックしたいと思えましたね。収穫でした。



というわけで2バンドしか観なかったとはいえ、チケット代(当日9,500円)分は充分に楽しめたのですが、この満足度に対してやはり集客は寂しかったと言わざるを得ません。

てか、ヘッドライナーがLEAVE'S EYESでフェスが成立すると思っていたとしたらEVPはちょっと強気過ぎるか、ビジネスセンスが無さすぎます(苦笑)。

NIGHTWISHやWITHIN TEMPTATION、LACUNA COILは無理でも、最低限EPICAとかAMARANTHEとか、日本で単独公演が成立するクラスのバンドは必要だったのではないでしょうか。

この客入りだと、このイベントの「次」があるかどうかは甚だ怪しいですが、とりあえず個人的にはアネク様に拝謁する機会を与えてくれて非常に感謝しています。

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FROZEN CROWN 来日公演 at TSUTAYA O-WEST 2019.4.12 感想

魅惑の女性メンバー2人を擁するイタリアのメロディック・パワー・メタル・バンド、FROZEN CROWNの来日公演を渋谷にあるTSUTAYA O-WESTに観に行ってきました。

今日の仕事のスケジュールなら余裕かと思いきや、やはり色々あって開演時間の19時前ギリギリに到着。

場内のトイレに行って戻ってくるとほどなく照明が落ち、新作収録の神秘的なインスト曲、"The Wolf And The Maiden"が流れ出す。

そしてメンバーが登場すると、それまでほぼ満員状態に見えていた場内だったが、一気に前方に人が詰め、私のいる後方には若干余裕ができる。とはいえこの程度のスペースしか空かないようであれば、ほぼほぼ満員に近い人入りなのではないだろうか。

そしてメンバーが登場して演奏を始めたのは、新作1曲目のイントロ的なインスト曲、"Arctic Gates"。

おいおい、イントロは"The Wolf And The Maiden"だけで充分なんじゃないかい? 個人的にはあまりこういうイントロダクション的な曲をライブの1曲目で本人演奏する意味を感じない。

やっぱり1曲目からヴォーカル入りの曲で一気にボルテージを上げたいが、インスト曲だといかにカッコいい曲でもなんだか「聴く」姿勢になってしまうんですよね。かつてRIOTが"Narita"でショウを始めた時にも同じことを感じましたが…。

そしてせめてそのイントロから勢いよくなだれ込むように歌入りの曲に入ってくれればともかく、続く"Neverending"がプレイされるまでにも妙な間が空いてしまう。アルバムで聴く時の曲間より長いよ!(フェデリコのギターのチューニングが少しおかしかったのを修正していた可能性はあるが)。

しかしまあ、ようやくヴォーカルのジャーダ“ジェイド”エトロが登場し、ザ・メロディック・パワー・メタルな楽曲が始まったことでようやく心のギアが入る。

サウンドは悪くないし、演奏も破綻がない。ドラムはかなりパワフルだ。そしてメンバーが皆グッド・ルッキンかつキャラが立っていて、ステージ自体に華があるのがこの手のメロディック・パワー・メタル・バンドとしては稀有である。

続いて前作デビュー・アルバムからの"To Infinity"がプレイされた後、ヴォーカルのジェイドが軽く挨拶程度のMCを入れ、その後は前作と新作の曲を織り交ぜてプレイしていく。

気になるのは、曲と曲の間に常に妙な間があり、その間オーディエンスが静かになって、シーンとした妙な空気が生まれてしまうこと。これはある意味自業自得ながら、バンドを不安にさせてしまうのではないかと心配になってしまった。

たぶんジェイドはMCを聞く限りあまり英語が得意ではないと思われ、初めての日本でのライブということで緊張していることもあって、うまく喋れなかった部分もあるのだろう。

であれば、もっと次々とスムーズに楽曲を繰り出してくれればよかったのだが、たぶんそういう阿吽の呼吸でプレイできるほどにライブの経験を積んでいないのだろうということは明らかだった。

とはいえ、個々の楽曲は破綻なくプレイできており、パフォーマンスもちゃんと動きがあって、楽曲単位の練習、リハーサルはちゃんとやってきたんだろうな、という印象で、アルバムで感じた楽曲の魅力はちゃんと伝わってきた。

彼らの楽曲で一番YouTubeの再生数が多い人気曲"Kings"をプレイする前には「みんな一緒に歌ってね。"Over And Over Again"」というサビにフレーズを歌った後、急にオーディエンスにアカペラでの歌唱演習を求めたのは「え?今歌うの?」と思ったし、それ以外にもアンコール前の本編ラスト曲(?)がドラム・ソロというのもかなり謎な構成だったりと、ステージ進行についてはだいぶ違和感があったのも事実だが…。

そしてそのドラムソロから、インタールード的に"The King's Rest"が流れた後、バンドの音楽的中心人物であり、BE THE WOLFのリーダーでもあるフェデリコ・モンデッリ(G, Vo)が1人で登場し、アコースティック・ギターの伴奏でX JAPANの"Tears"を(なかなか達者な日本語で)歌ってみせる。

かつて『BURRN!』誌のコラムでX JAPANへの愛を熱く語っていたフェデリコなので、十数年前にSONATA ARCTICAが日本のレコード会社の担当者にそそのかされて"Silent Jealousy"を(ちょこっと)プレイしたのとは違ってガチな歌い込みである。

フェデリコは「FROZEN CROWNの音楽とX JAPANの音楽には共通点がある」というようなことを言っていたので、恐らく本日のオーディエンスは皆X JAPANのことをよく知っていて、きっと好きだろうと思ってこの楽曲をプレイしたに違いないが、場内の反応はやや微妙。

日本のメタル・ファンにとってX JAPANというバンドは賛否両論な存在であるということまでイタリア人であるフェデリコが知らなかったとしても、それは責められないことだろう。単純に"Tears"という選曲が微妙だったという説もあるが。

さらにフェデリコは「BE THE WOLFで6月に来るよ!」と自身のもうひとつのバンドの宣伝をした後、ジェイドが「ヘヴィ・メタルに戻るわよ」と呼びかけて、デビュー作からのMV曲のひとつ"I Am The Tyrant"をプレイ。

この日のステージはよくあるバンドロゴや新作アートワークのバックドロップすらない非常に簡素なものだったが、この曲ではMVに登場する「FC」と書いてある赤い旗をジェイドが持って現れ、数少ない「ステージ演出」となった。今後IRON MAIDENのライブにおける"The Trooper"のイギリス国旗のような存在になるのかもしれない。

この頃にはメンバーも、日本人は静かになるからといって楽しんでいないわけではない、自分たちはちゃんと歓迎されている、ということが理解できたのか、かなりリラックスしてステージを楽しんでいる様子で、ラスト2曲"Netherstorm"から"Shieldmaiden"というスピード・チューンの畳み掛けは素晴らしかった。

終わってみると、リリースした2枚のアルバムのほぼ全曲をプレイする約2時間のショウで、選曲やボリュームについては文句なし。彼らがこれまでに行なってきた8回のライブではいずれも10曲程度しかプレイしていなかったようなので、この公演が特別なものであったことは間違いない。

終演後にも「Frozen Crownコール」が起きるなど、オーディエンスの反応も良好で、非常にいい雰囲気のライブでした。

ここに記した通り、ショウ運びについてはかなりアマチュア臭く、改善の余地は大いにあったものの、それでもショウ全体に対する印象は決してネガティブなものではなく、楽曲の良さとメンバーのキャラクターによって「また次も観たい」と思わせる魅力があり、オーディエンスに「このバンドの成長を見守りたい」と思わせるものがあったと思います。

フェデリコいわくイタリアのメタル・ファンというのは、日本のメタル・ファンと同様、自国のバンドに冷たいそうですが、それなら我々日本のファンが暖かく応援してあげましょう。いいじゃないBIG IN JAPANでも。

どうでもいいですが、ライブの途中に起きるメンバーへの呼びかけコールの大半が2000年生まれ、ピチピチ18歳の女性サウスポーギタリストのタリアへのものばかり(まだ若くてシャイなのか反応薄でしたが/笑)で、Voのジェイドが嫉妬しなかったかどうかが気がかりです(笑)。





やっぱりイタリア語だといっぱい喋るんですね、ジェイドさん…。


Download Festival Japan 2019 at 幕張メッセ 3/21 感想

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2003年にイギリスで始まり、今や世界有数の大型ロック・フェスティバルとしてフランス、スペイン、オーストラリアなどでも行なわれているDownload Festivalの、日本初開催となるDownload Festival Japan 2019に行ってきました。

正直、行くかどうかは結構迷いました。1日開催で2ステージ10バンドという規模のショボさもさることながら、初来日となるLIKE A STORM以外はいずれも観たことがあるバンドばかりで、新しい発見が期待できなかったためです。

そんな微妙なモチベーションが祟って、禁断の二度寝から目が覚めたら既に午後。

あえて観たいバンドを挙げるなら、観たことのないLIKE A STORMと、ニルス・モーリン(DYNAZTY)が加入して以降は観たことがないAMARANTHEかな…と思っていたのですが、既に終わっていました(苦笑)。

あ~、やってしまった。もう行くのやめようかな…と自暴自棄な気分になりましたが、冷静に考えると今回のチケット代はJUDAS PRIESTとSLAYERの単独公演の金額を足したより安いと思われ、まあこの2バンド観るだけでも損しないか、と思い直す。

さて何を着ていくかとTシャツを収納しているケースを開け、本日と同じくJUDAS PRIESTとSLAYERのロゴが入った10年前のLOUDPARK09のTシャツをチョイス。しかしANTHRAXとARCH ENEMYのロゴも入ってるし、10年前と被りすぎ。

OZZY OSBOURNEがキャンセルになっていなければOZZFESTのTシャツを着ていくという手もありました。MAN WITH A MISSIONのロゴも入ってるし。とはいえ、違うプロモーターのフェスTシャツを着ていくというのも失礼な話ですし、ラウパのものでよかったのではないかと思います。

HALESTORMのステージにはLOVEBITESのAsami(Vo)がゲスト参加した、などという情報をTwitterでキャッチしながら海浜幕張に向かい会場に到着すると、ちょうどARCH ENEMYが終わったタイミング。

予想と違ってかなり人出は多く、普通に前進できるのはせいぜいPAブースあたりまで。それ以上前に行きたければ荷物はクロークに預けて、それなりの覚悟を持って突入する必要がありそう。

というか、ちょっと人が多くてどのように柵でステージが区切られているのかよくわからないため、どこから前に行けるのかもわからない。こりゃ様子見だな、とBLOOD STAGE後方でとりあえず待機。

ANTHRAX

PANTERAの"Cowboys From Hell"のイントロ・リフがプレイされ、「え、いきなりカヴァー?」と思いきや、それが"Caught In A Mosh"につながってショウがスタート。

私は彼らの音楽に対してそれほど熱心ではないが、ライブはかなり良い。「スラッシュ四天王」などと呼ばれたバンドの中では断トツでステージングに貫録がないのだが、それは逆に言えば一番若々しいパフォーマンスをしているということで、メタルにおいてそれは重要なファクターである。

ウェットな感覚を排した大音量のザクザクしたギター・サウンドに身を浸していると、ああ、やっぱりメタル・フェスはいいな、という気分になってくる。

続く"Got The Time"、そしてライブ映えMAXな"Madhouse"を観たところで空腹に耐えかね離脱。キッチンカーの並ぶフードコーナーへ。

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LOUD PARKと総数では変わらないのかもしれないが、今回は一か所にまとめられているので、いつもより出店数が多いような気がする。とりあえず既視感のある屋台が少ないのが個人的には新鮮でいい。

お腹が空いていたので肉汁ソーセージタコスとマヨ玉焼きそばの二品を購入、オフィシャルバーでドリンクチケットをビールに換え、サクッと食事。

てか、肉汁ソーセージの店、まだ15時過ぎだというのに既にビール売り切れって、ちょっと来客数読み間違った?

ステージに戻ると、ラストの"Indians"を演奏中。エンディングはまたPANTERAの"Cowboys From Hell"の最後のパートが演奏されて終了。さながら"Cowboys From Hell"1曲を演奏したかのようなステージでした。これはどんな意味があるのでしょう?


GHOST

最新作"PREQUELLE"は全米チャートで3位と、欧米では既に人気バンドとしての地位を確立したGHOST。来日は2014年のSUMMER SONIC以来5年ぶり。ちょっと日本とそれ以外のエリアの人気の温度差がありすぎて、もはや単独で呼ぶことは難しくなってしまったバンドだけにこの機会は貴重だ。

中世の教会のようなステージ・セットに、顔のわからない衣装を着たバック・バンドというのは前回観た時と変わらないが、ヴォーカルが「パパ・エメリトゥス」というこれまた表情のわからないローマ法王風の衣装に身を包んだ衣装のキャラクターから、「コピア枢機卿」というちゃんと表情のわかるパンダメイクのキャラクターにチェンジしている(中の人は変わらない)のが、前回からの最大の違い。

その違いはちゃんとステージングに生きていて、動きが少なくて一方通行に感じた前回のステージに対し、オーディエンスに対してちゃんとコミュニケーションをとる双方向なスタイルに変わったことで、盛り上がりが生まれるようになっている。

世界観重視の人にとってそれがいいことなのかどうかはわかりませんが、とりあえずロック・コンサートとしてのエンターテインメント性は高まったのではないかと思います。

前回は(私も含め)オーディエンスに「様子見」感が漂っていましたが、今回はかなりオーディエンスに熱量があり、バンドの知名度や人気が上がっていることが肌で感じられました。

特に「一番ヘヴィな曲だ」と紹介された"Mummy Dust"から、打って変わってポップなダンス・ナンバー"Dance Macabre"という、楽曲のキャラ立ちが明快なクライマックスの流れで一気にオーディエンスが引き込まれていったと思います。

最後に投げキッス(!)の雨を降らせてステージから去っていったコピア枢機卿、次作もこのキャラでいくようですが、これだけオーディエンスと戯れられるのであれば、パパ・エメリトゥスに戻る理由はないでしょうね。


SUM41

2000年代前半から中盤にかけて大人気だったパンク・バンド。MAN WITH A MISSION同様、本日このラインナップの中に投入されたのはお気の毒様、という感じではあり、実際ANTHRAXの時より人は少ない気がするものの、必要にして十分なオーディエンスは集まっている。

1曲目、大ヒット・アルバム"DOES THIS LOOK INFECTIED?"からの"The Hell Song"でショウが始まると、オーディエンスは一気に沸き、前の方へ詰めかける人たちも多い。

フェスに来る中核的な世代にとっては「青春のバンド」だったりする気もするので、今現在メタルを中心に聴いている人の中にも「実は好き」な人は多いんじゃないでしょうか。

このバンドの音楽はパンク系のバンドの中ではメタル含有が高い方だし、マイナー調でアップテンポな曲は私も結構好きだったりするのですが、一度SUMMERSONICでライブを観た時には正直イマイチで、あまり期待はしていませんでした。

ただ、結論から言うと本日のパフォーマンスはその時よりも良かった。バンド自体のコンディションが良かったのか、サマソニのマリンステージが広すぎただけで、これくらいのステージの広さの方がこのバンドに合っているのかは判断つかないものの、メタル・バンドとは毛色の違うカジュアルなエナジーが感じられました。

私が好きな曲は"No Reason"と"Still Waiting"くらいしかプレイしませんでしたが、途中にBLACK SABBATHの"Paranoid"をちょろっとプレイしてみたり、最近ホットなQUEENの"We Will Rock You"をカバーしてみたりと、幅広いオーディエンスへのアピールを狙っているように映ったあたりはフェス向けのバンドだな、と思いました。

北米で行なわれた直前の公演ではIRON MAIDENの"The Trooper"なんかも(多分ちょこっと)プレイしていたようなので、今回の客層を踏まえてその辺も期待していたのですけどね。あるいは"The Bitter End"みたいなメタリックなレア曲をプレイするとか。



SLAYER

今回のツアーがラストということで、このライブを観るために来た、という人も多いことでしょう。実際、SUM41も意外と盛り上がってるなー、と思いましたが、SLAYERのステージに切り替わったときに轟き渡った歓声と「SLAYER」コールはその比ではなく、明らかに今日一のものでした。

逆さ十字や五芒星などの照明演出から始まったライブは、これで引退するバンドのものとは思えない、「これまで通り」なもの。

特にセットリストが前回LOUD PARK 17で観た時と6割以上被っていることもあり("Repentless"で始まり、3曲目に"Diciple"そして5曲目"Hate World Wide"から"War Emsamble"という流れはほぼデジャヴのようでした(苦笑)。

しかし小手先のセットリスト変更などを「帝王」に求める者はいないだろう。ヘヴィでソリッドなサウンドが隙間のない不思議なグルーヴ感と共に金属的に迫ってくる音の壁に、もはや黙って身を委ね、アタマを振るしかない。

毎度SLAYERのライブというのは、フェス終盤であるために疲労から眠くなってしまいがちなのですが、今回遅刻してまだ4バンド目であること、そしてSUM 41の途中でちょっと抜けて、モンスターエナジーのブースで無料配布されているモンスターエナジー(飲んだことない味だったけど、コーラっぽかったからモンスターキューバーリブレかな?)でチャージしたことが効いてか、眠くはない。

ただ、熱心ならぬファンの悲しさで"War Emsamble"以降、速い曲が少なく、新しめの曲が多いショウの中盤はちょっと退屈。しかしそんな不信心者に喝を入れるのは、いつだって「あのイントロ」だ。

そう、"Raining Blood"である。曲名通り、真っ赤な照明に満たされた会場に響くあの不穏極まりないイントロ・リフ。思い起こせば同じ幕張メッセで行なわれたLOUD PARK 06で初めてメタル・フェスというものを体験し、ペース配分も知らないまま疲労困憊で迎えた2日目の夜、「もう限界だ…」と立ったまま寝そうになっていた私を覚醒させたのもこのイントロだった。

その後、LOUD PARKのトリを何度もSLAYERが務めてこの体験をリマインドさせられたことで、もはや私にとって"Raining Blood"はフェスにおいてラストスパートをかける合図の曲となっている。

しかしもう、この感覚を味わうことはない。そう思うと、自分の中で「ひとつの時代」が終わったような気がして、何とも言えない喪失感が胸に満ち、自然と涙が浮かんできました。

後はもう、"Raining Blood"から"Chemical Warfare"、そして最後にステージのバックドロップが(ファンであればご存知の)ハイネケンのロゴを模した「Hanneman」ロゴになって演奏されたラストの"Angel Of Death"まで、ひたすら泣きながらヘドバンです。

熱心なファンからは程遠い私がこれなのですから、前方にいる方々は皆号泣だったのではないでしょうか。フロアはきっとサークル・ピットを走り回っている人たちの汗と涙でビショビショだったことでしょう。なるほど、だからこのステージはTEARS STAGEと名付けられたのか。

終演後、トム・アラヤ(Vo, B)が一人ステージに残り、オーディエンスを穏やかな、しかし少し寂しげな表情で見渡す。

いいんだぜトム。いつも通り「アリガトウ、オヤスミナサイ」で締めくくって、しれっと再来年あたりまた来ても、と思ったのも束の間、トムは手にした原稿を静かに日本語で読み上げた。

「コレガ ワタシタチノ サイゴノ ショウ。トテモ カナシイ。サヨナラ。イツカ マタネ」

あらかじめ予想していた、覚悟していた言葉だったとはいえ、やはり実際にその言葉を耳にするとたまらなく悲しい。その「いつか」はきっと来ないだろう。最後の別れとはだいたい「いつかまた」とか、「また今度」なのだ。

私にSLAYERの音楽を評価することはとてもできないが(なのでレビューもしていない)、ひとつだけ証言しよう。SLAYERは最後までSLAYERだったし、帝王だったと。


JUDAS PRIEST

SLAYERを失った悲しみから余韻に浸る間もなく場内に流れるBLACK SABBATHの"War Pigs"、それは鋼鉄神JUDAS PRIEST降臨の前触れである。

前回、昨年の11月の来日ツアーから半年もせずに戻ってくるとは意外で、実際にOZZY OSBOURNEがキャンセルにならなければ観られなかったのかどうかはちょっぴり怪しいと思っていますが、最新作"FIREPOWER"は昨年のメタル・シーンを代表する名盤と評価されており、ツアーもなかなか好評だったのでこうして観られるのはありがたい。

ライブはその最新作のタイトル・トラックである"Firepower"でスタート。

その後"Delivering the Goods"、"Sinner"、"The Ripper"と、初期の曲が立て続く。早くもサングラスを外してスクリームするロブ・ハルフォードは絶好調で、復帰後に何度か見た彼らのライブの中でも最高レベルに声が出ている。

そのヴォーカル含め、バンドの演奏は至って良好だが、問題は私の前に3人の背の高い男性が壁を作るかのように立ちはだかっていて、視界が至って良好ではないこと(苦笑)。ぶっちゃけリッチー・フォークナー(G)しか見えないので、不本意ながらステージ両サイドのモニターをガン見ですよね。

最新作からの楽曲を都度挟みつつ、70年代~80年代のクラシック・ソングをプレイするというのが基本的な構成になっており、ステージ後ろのスクリーンに、その楽曲が収録されているアルバムのジャケットが映し出されるという演出になっている。

"Bloodstone"が聴けたのはラッキーだったし、個人的には好きな"Turbo Lover"もライブで聴くのは初めてなので(昨年の来日公演でもプレイしたようですが)楽しめたのですが、"Devil's Child"とか"Killing Machine"って、相当地味じゃないすかね? "DEFENDER S OF THE FAITH"のアルバム・ジャケットが映し出されて"Some Heads Are Gonna Roll"がプレイされた時には心の中でズッコケましたよ、私は。他に名曲がいくつもあるだろ他に。

そんなこんなでお約束のハーレーにまたがっての"Hell Bent For Leather"から、スコット・トラヴィス(Dr)のMCに導かれての(本当は曲名をコールしてほしかったのだと思いますが、「外人が何か喋ったらとりあえず“イエー!”と言っておけ」という日本人の悪い癖が出てしまっていました)"Painkiller"。

ここまでかなり好調を維持してきたロブ・ハルフォードでしたが、さすがにこの曲はちょっと苦しそう。あの発声練習みたいなオーディエンスとのコール&レスポンスは余計だったんじゃないですかね?(苦笑)

この曲は本当にメタルというジャンルを代表する化け物みたいな名曲だと思いますが、これを還暦を超えた人間に歌わせるというのは一種の老人虐待でしょう。歌い切った後のロブはこのまま天に召されてしまうのではないかという表情だったので、そろそろセットリストから外した方がいいのではないでしょうか。

とはいえ、私のように何度か観ているならいざ知らず、初見の人はやはりこの曲を聴きたいのでしょうし、その思いに応えるあたりが彼らのメタル・ゴッドたる所以でもあるという気はしますが。

アンコール、というほどのインターバルもなく(時間が押していたのでしょう)、"The Hellion"のあの荘厳なギター・サウンドが流れ、"Electric Eye"に。

やはりロブはもう限界なのか、サビはオーディエンスに丸投げ。これはもうしょうがないと受け止めるしかないですね。

お次にプレイされたのは"Breaking The Law"だが、いつもの「Braaking The What?」「Law!」という掛け合いが省略されていたのは時間の都合だったのか、それともロブの喉が限界だったのか。

ラストは定番の"Living After Midnight"で明るく締め。終演後に流れたQUEENの"We Are The Champions"も、フェスの締めくくりに相応しい。

SLAYERがあまりにも感傷的だったので、正直JUDAS PRIESTのライブがちょっと蛇足にさえ感じてしまいましたが、これでSLAYERで終わっていたら帰りの京葉線が(みんな黒服だけに)お通夜になってしまいそうだったので、やはり今夜はJUDAS PRIESTで終わることができてよかったのだと思います。


一方向からしか入れない上に、入る人と出る人がぶつかり合う会場動線はもう少しどうにかならなかったのかという気がしますが、とりあえず観たライブはどれも良かったし、お客さんも入っている感じで、LOUD PARKの平均値よりも盛り上がっていた気がするのはオールスタンディングだったからでしょうか。

終了後ほどなく、公式Twitterに「SEE YOU NEXT YEAR!」という、来年の開催を約束するような画像が上がっており、本日の客入りを見ても、来年も続けられそう、という感じはしました。

後期のLOUD PARKに比べて若い人、特に若い女性が多く見かけられた(と言っても1割もいないわけですが)のがMAN WITH A MISSION、SUM 41効果なのだとしたら、やはり異ジャンルのアーティストを呼ぶことは集客的にプラスであるという証明になったのではないでしょうか。

とはいえ、私がマンウィズのメンバーだったら、「俺らの出る時間帯、どう考えても昼飯時じゃねーか」と気を悪くしたと思いますし、SUM 41のメンバーだったら「俺らの出る時間帯、どう考えてもSLAYER、JUDAS PRIESTの前の腹ごしらえに使われるやん」と思ったはずですので、ここまでメタラー偏重にするのもさすがに失礼なんじゃないかという気もしますが…。

まあ、いずれにせよ、欧米のアーティストはアジアとオセアニアの地域を一緒にツアーするスケジュールを組みがちなので、10月にやるよりはオーストラリアのDownload Festivalに合わせてこの時期にやる方がアーティストを揃えやすい、というのは事実なのだろうと思います。

てか、それならせめてオーストラリアと同規模でやってほしいですけどね(苦笑)。やはりフェスの醍醐味は観るアーティストを悩む楽しみがある複数ステージ、そしてできれば複数日での開催だと思うので。

とはいえ、そうやって規模を拡大してしまうとチケット代が上がって、コスト感覚にうるさい若者には敬遠されてしまうんですかねえ。

オーストラリアなんて日本の1/4くらいの人口しかいないのに、シドニーとメルボルンの2都市でやっているわけで、どうせやるなら日本も東京と大阪でやるくらいの気概を見せてもらいたいと期待しています。

…てなことを、帰りの電車のピークタイムを外すために入った海浜幕張駅近くのラーメン屋で考えました(笑)。


Downlord Festival Japan公式サイト

URIAH HEEP 来日公演 at Billboard Live TOKYO 2019.3.20 2nd SHOW

1969年結成という、LED ZEPPELINやDEEP PURPLE、BLACK SABBATHといったHR/HMのオリジネイターとされるレジェンドたちと「同期組」であるブリティッシュ・ハード・ロック・バンド、URIAH HEEPの来日公演がビルボードライブ東京で行なわれると聞いて、最初は何故にこの場所で? と思ってしまったのが正直な所です。

昨年、元KISSのギタリストであるエース・フレーリーの来日公演がここで行なわれていましたが、HR/HM系のライブがこの会場(というか正確にはレストランですが)で行なわれるのは極めて稀。

それこそアメリカのビルボード・チャートでは全盛期でさえTOP40がやっとだったURIAH HEEPが出演するというのは、いささか場違い感が否めませんでした。

ただ、個人的にはだからこそ興味を持ったというのが正直な所。アメリカよりもドイツや北欧で人気が高かったというのも頷ける彼らの音楽性は私好みであるものの、なにぶん世代ではないので、この来日公演が普通にクラブチッタとかクアトロでやっていたら、恐らく私は行かなかったことでしょう。

しかしレストランで、飲食しながら観るHR/HMのライブとはいかなるものかを体験してみるレアな機会と考えるなら乙なもの。

ぶっちゃけスタンディングのライブは年々しんどくなっているし、どうせ飲み食いするなら安くてそこそこの店より高くても美味い店がいい、というタイプでもあるので、そういう意味では悪い話ではない。平日であれば1日2回公演で、遅い回は21:30からというのも仕事終わりに行きやすいし、そもそも東京ミッドタウンであれば渋谷や川崎より会社からも近い。

というわけで仕事終わりにタクシーで駆け付ける。基本的に1人で来ることが想定されていない場所なので(苦笑)、見知らぬ人が座っているテーブルの空いている場所に着席。フィッシュ・アンド・チップスと隅田川ゴールデンエールを注文し、飲みながら開演を待つ。

そして定刻になると、私が下りてきたのと同じ階段からメンバーが登場、歓声と拍手の中ステージに立つ。もちろんレストランだけに席から立ち上がる人はいない(おそらく立ったらウエイターに他の客の邪魔になるので座れと言われることでしょう)。

オープニングは最新アルバム"LIVING IN A DREAM"のオープニング曲でもあった"Gazed By Heaven"。現代に通じる魅力を持つ力強いハード・ロック・ナンバーだ。

実は会場が会場だけに、ハード・ロックな曲はプレイせずにアコースティックなアレンジにしたり、メロウな楽曲中心になったりするのではないか…と予想というか危惧していたが、全然そんなことはない。演奏もステージングも、恐らくクラブチッタでやっていたとしても今観ているものと同じだっただろうと思う(笑)。

2曲目は彼らにとって80年代最大のヒット作である(と言っても全英34位、全米56位)14thアルバム"ABOMINOG"からの"Too Scared To Run"。日本のファンにとってなじみ深い曲とは言い難いように思うが、これまたハード・ロックな曲で、今夜彼らがこの会場をロックする気でいることが伝わってくる。

その後"Living In A Dream"に"Knocking At My Door"と、最新アルバムからの曲が続き、この公演がビルボード・ライブ向けの「懐メログレイテスト・ヒッツ・ショウ」などではなく、あくまで最新アルバムに伴うツアーの一環としてのライブであることが示される。

とはいえ、その後は70年代前半の全盛期からの楽曲ばかりだったのですが(笑)。

私の前方の席に座っていた外人さんが、新しい曲がプレイされるたびに曲名を手帳にメモしていて、こういう人がsetlist.fmに投稿してくれているのかな、などと思ったり(笑)。

唯一のオリジナル・メンバーであるミック・ボックス(G)は、71歳の立派な「お爺ちゃん」だけあって、髪の毛などは真っ白で年齢を感じさせないと言ったら嘘になりますが、老け込んだ感じはなく、未だに「現役のロック・ギタリスト」感は充分。

ヴォーカルのバーニー・ショウも、デヴィッド・バイロンやジョン・ロートンといった過去の名シンガーほどに評価されている感じはないものの、その安定感のある歌唱とステージングは、さすがこのバンドにおける歴代最長のフロントマンらしい存在感に溢れていて、この人がいたからこのバンドは続けられたんだろうな、という気がしました。

リズム隊がヴォーカルおよびメロディ楽器(ギター&キーボード)より若い(と言ってもドラムのラッセル・ギルブロックは54歳らしいので、決して凄く若い、というわけではないですが/苦笑)だけあって、結成50年という年月を感じさせないパワフルさがパフォーマンスから漲っていました。これで本日2回目のステージですからね。

日本でもヒットしたサード・アルバム"LOOK AT YOURSELF(邦題:『対自核』)"からの"Look At Yourself"と"July Morning"がやはり一番受けていた感じで、私の近くで熱心に声援を送っていた女性は"Look At Yourself"の時に「座ってなんかいられない!」と言わんばかりに一番後ろの壁の、他の人に邪魔にならない場所に移動して立って声援を送っていました。

個人的にも最初に聴いた彼らの曲は、GAMMA RAYがカヴァーしていた"Look At Yourself"だったので、この曲がハイライトだったと言えるでしょう。

アンコールとして演奏されたのは"Sunrise"と、彼ら最大のヒット曲(全米39位)である"Easy Livin'"だったのですが、後者の際には「我らの友人で、JUDAS PRIESTのメンバーだ」と紹介されたリッチー・フォークナー(G)が登場、ゲストとして演奏に参加していました。

翌日行なわれるDownload Festival Japan 2019のために来日していることは承知していたものの、まさかここでJUDAS PRIESTのメンバーが現れるとは。宿泊は幕張のホテルじゃないんですかね?

リッチーがURIAH HEEPのファンだったのか、今後5月から6月にかけて行われるJUDAS PRIESTの北米ツアーのサポートがURIAH HEEPなので、「ご挨拶」感覚なのかは不明ですが、彼が参加したのはこの回だけだったようなので、どうやら私は「当たり」を引いたようです(笑)。

ただ、きっとプレイするだろうと思っていた"Lady In Black"をプレイしなかったのは意外だったし、個人的には"Rainbow Demon"をやるくらいなら、BLIND GUARDIANがカヴァーしていたので親しみがある"The Wizard"をプレイしてほしかったというのが正直な所。

とはいえ、1日2回公演のためか、1ステージ1時間強のコンパクトなセットリストだったので、「あれもやってほしい、これもやってほしい」という要望に応えるのは難しいのでしょう。

体験してみての結論から言うと、個人的にはやはりHR/HMというのは「食事のBGM」には適さないように思うし(消化不良を起こしそう/笑)、やる側のみならず、聴く側も頭を振ったり拳を突き上げたりと、アクティブに動きたくなる音楽なので、こういう会場は不向きだなあ、と思ったのが正直な所です。

NIGHT RANGERとかFIREHOUSEあたりがアコースティック・セットで出演します、とかであればハマりそうな気がしますが、そういう「企画公演」でないとちょっと無理があるかなと。

とはいえ、ちゃんとお客さんは入っていたし、こういう形でHR/HMを楽しみたい、という人が一定数いるのであれば、これはこれでHR/HMにおける新たなビジネスの在り方になり得ると思うので、今後どんどんマネタイズが難しくなる音楽ビジネスにおける新しい方法論の示唆があるのかもしれません。

HR/HMのライブとして物足りない部分はあったものの、なかなか珍しい体験ができたという意味では、チケット代(と、飲食代)に対して元は充分取れたかな、と思っています。



1973年の武道館公演の映像という凄い代物がアップされていました。


Nozomu Wakai’s DESTINIA METAL SOULS Live in Japan at TSUTAYA O-EAST 2019.1.21

コンポーザー、デザイナーとしても活躍するマルチタレントなギタリスト、若井望のソロ・プロジェクトDESTINIAのライブを観てきました。

最新作『METAL SOULS』は若井氏の他、RAINBOWのヴォーカルに抜擢されて一躍注目を集め、様々なプロジェクトで精力的に活躍するロニー・ロメロ(Vo)、BLUE MURDERやSYKES、再結成THIN LIZZYやWHITESNAKEなど、なんとなくジョン・サイクス周りのプロジェクトで活動してきた印象のあるマルコ・メンドーサ(B)、OZZY OSBOURNEやWHITESNAKEなどでの活躍で知られるトミー・アルドリッジ(Dr)と豪華なメンバーで制作されていましたが、本公演はそのメンバーをそのままキャスティングしていることが目玉。

バラバラに活動しているこれらのメンバーのスケジュールを合わせ、都内のそれなりの会場が空いているタイミングというのはそうそうないのだろうと思われるので、月曜日という(主にサラリーマンにとって)あまり気乗りしない日程になってしまったことはやむをえないのでしょうが、案の定仕事が片付かず15分ほど遅刻して当日券で入場。

場内に入ると、後ろの方まで人は入っておりガラガラではないものの、密度はそこまで高くなく、その気になれば前半ブロックに突入できそうな雰囲気。とはいえ荷物を持ったままだったので無理なく進める位置まで前進して鑑賞。

私が入場して始まった曲が終わると若井望氏がMCで滔々と自身がデザインしたマーチャンダイジングの紹介を始める。

アイテム数も多く、割と饒舌なタイプなので話が長い(苦笑)。ロニー・ロメロがオーディエンスに「彼は何を喋ってるんだ?」と問いかけ、若井氏の傍に寄って腕時計を指差してみせたのは、半分冗談ながら半分本気だったのではないでしょうか。

長いセールストーク明けにプレイされたデビュー・アルバムからの"Still Burning"からシームレスにトミー・アルドリッジのドラムソロ。まあ「いつもの」ドラムソロなのですが御年68にもなってあの素手でドラムをひっぱたくワイルドなドラミングを継続できるのはお見事としか言いようがありません。昔から見た目は老けていたのでルックスも変わりませんし(笑)。

ただ、そのトミー・アルドリッジ翁、やはり1回限りのショウということでのリハーサル不足か、ちょっとミスが目立ったのも事実。この夜、楽曲の入りを間違ったのは1度や2度ではなく、その都度若井氏の表情が曇ったのを私は見逃しませんでした。

極めつけは"Metamorphosis"でロニー・ロメロが歌詞を忘れたのか曲の構成を忘れたのか不明ですが、楽曲の大半のパートで歌無し状態になってしまうという、文化祭の学生バンドなどではともかくプロのバンドではまず観ることのない大失態が発生。

とはいえ以前LOUD PARKで観た時より髪が伸びてミュージシャンっぽくなったロニー・ロメロの声はよく出ていたし、歴戦のメンバーと並んで存在感負けしない若井氏のパフォーマンスも文句なく素晴らしかったのですが。

素晴らしかったと言えば本日一番(?)素晴らしかったのはPAで、とてもクリアでバランスのいい音響が実現していました。

これだけミスが目立つとステージの雰囲気が悪くなりそうなものですが、マルコ・メンドーサのラテン系らしい陽気で人懐こいキャラクターが場内の空気を温かく和やかなものにしていたと思います。

J-POP(というかアニソン?)にアレンジできそうなキャッチーな歌メロが印象的な"The End Of Love" で本編を終え、衣装を変えてのアンコールへ。

アンコール・パートのメインは、公演前から匂わされていたHR/HMクラシックのカヴァーで、まずはTHIN LIZZYの大ヒット曲"The Boys Are Back In Town"。

DESTINIAの音楽とはやや距離のある選曲で、個人的にはTHIN LIZZYをやるなら『THUNDER AND LIGHTNING』アルバムの楽曲をやってほしかった。

続くはJOHN SYKESの"Please Don't Leave Me"。これまた名曲ながらちょっと意外な選曲。

私はPRETTY MAIDSのカヴァーでこの楽曲を知った世代なので、オリジナルのフィル・ライノットのヴォーカル・ラインを踏襲するロニー・ロメロの歌にちょっと違和感。ロニーも自分のキーよりだいぶ低いだけに歌いにくそうで、むしろPRETTY MAIDSバージョンでプレイした方が聴く側である私はもちろん、歌う側であるロニーにも良かったのではないかという気がしました。

「オジー・オズボーン・ソングを聴きたいか?」というロニー・ロメロのMCに導かれて始まったのは"Over The Mountain"。

トミー・アルドリッジのキャリアに敬意を表して、ということなのでしょうが、、この曲、スタジオ音源でプレイしているのは、先日余命短いことが宣告され、オジー・オズボーンがプラチナ・ディスクを贈ったことがニュースになっていたリー・カースレイクですよね…。

この曲自体は私も好きなのですが、ライブで聴くと意外に盛り上がりに欠ける曲で、"Bark At The Moon"の方が良かったのではないかなあと思ってしまいました。

ラストはWHITESNAKEの"Fool For Your Loving"。ドラムがトミー・アルドリッジなので当然(?)、『SLIP OF THE TONGUE』収録バージョンだ。

実際の所、若井氏のギター・プレイはテクニカルではあるもののエモーショナルとは言い難く、そういう意味でもオリジナル・バージョンよりも『SLIP OF THE TONGUE』バージョンの方が適性があったということだろう。

ずっとステージの端っこでひっそりとプレイしていた、若井氏のお弟子さん、あるいは舎弟のような(笑)、おとなしい感じのサポート・ギタリストがここではソロの前半を弾き、遠慮がちにスポットライトを浴びる。

マルコ・メンドーサに「ノブ・ゴンザレス」と紹介されていた(ゴンザレスは多分冗談でしょう)彼、本当にシャイな感じで、最後のカーテンコールに参加することさえ躊躇いがちな感じでしたが、どうしてこんな奥ゆかしい人がHR/HMギターを弾いているのでしょう。HR/HMギターなんて「歌えないけどステージで目立ちたい」人が志すものなのに…(?)。

あるいは若井氏から「ステージで目立ったらクビだ」とイングヴェイ的な脅しを受けていたのでしょうか(笑)。

全体的には高品質なメロディック・メタルが、キャリア豊かなミュージシャンのパフォーマンスによって楽しめる貴重なライブだったと言えるはずなのですが、リハ不足による結構大きな粗が目立ってしまったために、手放しで「良いライブだった!」と絶賛しかねるのが正直な所でした。

この日のライブは撮影されていましたが、もしDVDなどでリリースされる場合、いくつかの楽曲はカットせざるを得ないのではないかという気がします。

なお、ロニー・ロメロについて若井氏は「次のアルバムもコイツと作る予定です」とMCで話していました。

実力的には申し分ないので、次作もきっと高品質なメロディック・メタル作品になることが期待できますが、それだとなんだか、飛躍する気がしないんですよね…。

若井氏は苗字とパッと見ほどには若くないので、DESTINIAのサウンドはデビュー・アルバムの時点でほぼ完成されていましたが、非の打ち所がない完成度の楽曲を作っている一方で、このバンドだからこそ、という特別な何かがない優等生的な印象があるのが正直な所。

ロニー・ロメロの歌はそういう優等生的で予定調和な印象をむしろ助長することになるような気がします。

充分上手いし、たぶん若井氏と同世代で性格も良さそうだし、RAINBOWのおかげで欧米での知名度もそこそこあって、とはいえ大御所というほどでもないだけにきっとギャラもそこそこなんだと思うので(笑)、今後欧米を中心に活動していくことを目指すのであればロニー以上の選択肢というのはそうそう見つからないというのもわかるのですが。







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