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MOON REVERIE “MOON REVERIE” アルバム・レビュー

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ウリ・ジョン・ロート、キー・マルセロ(元EUROPE)、ヴィニー・ムーア(UFO)、T.M.スティーヴンス、グラハム・オリヴァー(元SAXON)らのサポート・ギタリストを務めてきたことでマニアには知られるイタリア人ギタリスト、ルカ・ポマ率いるバンドのデビュー・アルバム。

いや~、これは清々しいまでにイングヴェイですね(笑)。このバンドの音を聴くと、我が国が誇るイングヴェイ・フォロワーである(イヤミではなく、彼らは間違いなく世界トップクラスのイングヴェイ・フォロワーだと思います)島紀史(CONCERTO MOON)、ケリー・サイモン(BLIND FAITH)、太田カツ(ARK STORM)などは個性が強い方だな、などと思えてしまうほど(笑)。

ディスクユニオンの宣伝文句だと「『TRILOGY』期のイングヴェイを思わせる」と表現されているが、より正確に言えば『TRILOGY』から『ECLIPSE』までの3作をミックスした感じだろうか。

Keyの使い方がイェンス・ヨハンソン的というよりはマッツ・オラウソン的であるのと、Voの線が細めなため、個人的な印象としてはヨラン・エドマン在籍時のサウンドに近い(アルバムのラストを組曲形式のインスト曲で締める辺りは”TRILOGY”的ですが)。

アレンジや歌メロ運びで「おや、この曲はモロにアレでは…?」などと思わせてしまうあたりは、近年めっきり名前を聞かなくなってしまったリチャード・アンダーソンが一時期乱発していた作品群を思わせるが、あくまでギター・オリエンテッドであるという点でこちらの方が「80年代のイングヴェイ度」は高い。

こう書くと「また無個性なフォロワーが出てきたか」くらいにあしらわれてしまいそうだが、何しろ近年の御大があのザマだけに、こういうピュアなネオ・クラシカル・サウンドに飢えている人にとっては久々の大当たりなのではないか。

もしイングヴェイ自身が本作の楽曲をクリエイトしたのだとしたら、多くのファンが「ついに目を覚ましてくれたか!」と感涙にむせぶに違いない(笑)。

#5”Eyes”みたいなキャッチーな曲はイングヴェイはもう一生やらないんでしょうねえ…。

オリジナリティの欠如に目くじらを立てず、「俺は80年代のイングヴェイみたいな音が聴きたいんだよ!」という人には間違いなくお勧めできる、ネオクラ様式美におけるなかなかの逸品です。【85点】


このMVを観ると、ヴォーカリストは堂々としていないとカッコ悪い、ということがよくわかりますね(苦笑)。



SERENITY “THE LAST KNIGHT” アルバム・レビュー

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中欧オーストリアのシンフォニック・パワー・メタル・バンド、SERENITYの通算7作目となるフル・アルバム。

2011年の3rd、”DEATH & LEGACY”から、(主に欧州の)歴史をテーマにした歌詞がメインになり、前々作である5th “CODEX ATLANTICUS”(2016)、前作”LIONHEART”(2017)はそれぞれレオナルド・ダ・ヴィンチ、リチャード獅子心王をモチーフにしたコンセプト・アルバムに仕上がっていた。

本作もその流れを受け、欧州随一の名家と呼ばれるハプスブルク家隆盛の礎を築き、中世最後の騎士と称えられる神聖ローマ帝国皇帝マクシミリアンI世の生涯を描くコンセプト・アルバムとなっている。

元々KAMELOTとRHAPSODY OF FIREの中道を行くようなシンフォニック・パワー・メタル・サウンドが特徴のバンドで、本作も基本線は変わっていない。

ゲオルグ・ノイハウザー(Vo)のマイルドな歌声もあってKAMELOTやRHAPSODY OF FIREに比べると重厚になりすぎない音像はもはやこのバンドならではの個性で、このバンドならではの優美と勇壮のバランスが一番好みだ、という人もきっといるに違いない。

強いて言うなら、前作までに比べるとややシンフォニックな装飾がやや控えめになり、骨太なエッジが強調されている観があり、所属する『Napalm Records』企画の漢メタル(死語?)プロジェクトWARKINGSにゲオルグが参加した影響だろうか、などと思ったり。

ただ、私の場合どちらかというと彼らの欧州風味満載なシンフォ・アレンジに悶絶(死語?)してきたタイプなので、それが控えめな本作については「やや薄味」な印象を抱いてしまったというのが正直な感想。

特にアルバムのエンディングがややあっさりしている(あくまで彼らにしては、だが)のが、コンセプト・アルバムとしてはクライマックスの盛り上げ不足という感じでやや物足りない。

とはいえ過去作と比較しなければ充分にクオリティの高いシンフォニック・パワー・メタル・アルバムであることは間違いなく、この手の音楽の主要なマーケットであるドイツで前々作99位、前作29位、そして本作は25位と、着実に支持を高めているのは、その質を証明していると言っても過言ではないだろう。【82点】







ALLEN / OLZON “WORLDS APART” アルバム・レビュー

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SYMPHONY XやADRENALINE MOBの活動で知られるラッセル・アレンと、元NIGHTWISHで、最近ではヤニ・リマタイネン(G : 元SONATA ARCTICA)とのTHE DARK ELEMENTでも歌声を聴かせてくれたアネット・オルゾンによる『Frontiers Music』お得意のコラボレーション・プロジェクトのデビュー作。

デビュー作とはいえ、本作のソングライティングとプロデュース、そしてギター、ベース、キーボードの演奏は全てマグナス・カールソン(元LAST TRIBE, 現PRIMAL FEAR)によるもので、そう聞くと察しのいい人はこれがラッセル・アレンとヨルン・ランデによるALLEN / LANDEの続編であることに気づくかもしれない。

実際『Frontiers Music』からのステートメントによると、ALLEN / LANDEがマグナス・カールソンからティモ・トルキのプロデュースにスイッチして途絶えた後、マグナスが復帰するにあたって、(ヨルン・ランデに代わって)アネット・オルゾンを加えるというエキサイティングな新しいひねりを加えた、とあり、これがALLEN / LANDEと同じフォーマットで制作されていることが肯定されていた。

実際、音楽の方向性はまさしくALLEN / LANDEそのもので、欧州的な叙情性豊かなメロディと、程よいドラマティックさを備えたメロディアス・ハード(というには結構メタリックだったりするのだが)で、私のような欧州メロディック・メタルのファンであれば非常に心地よく聴くことができる。

ラッセル・アレンとアネット・オルゾンのマッチングも良く、(特にメロウな歌い方をした際に)似通ってしまいがちだったヨルン・ランデよりも「共演する意味」が見えやすい、メリハリの効いたコラボレーションになっている。

かつて、『Frontiers Music』オリジナル企画の半分以上を作曲していたのではないか、というマグナス・カールソンだったが、今はアレッサンドロ・デル・ヴェッキオ(EDGE OF FOREVER)やシモーネ・ムラローニ(DGM)といった新たなエースが育ったことで負担が減ったのが功を奏しているのか、一時期のマンネリを脱して作曲にフレッシュさが回復しているのも嬉しいポイント。

ALLEN / LANDEやKISKE / SOMERVILLEといった『Fronters Music』の企画プロジェクトのファンは勿論、広くメロディックなHR/HMが好きな人にお薦めできるクオリティのアルバム。【85点】