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HMVのメタル担当者のTwitterが(ある意味)すごい

私がやっているTwitterアカウントというのは、基本的にメタルの情報発信をしているアカウントを複数フォローして、自分が気になった、引っ掛かった情報をリツイートする、という運用をしています。

そんな私がリツイートする頻度が高い2大アカウントは、謎のカルチャー情報サイトamassのものと、HMVのメタル担当者のアカウントです。

海外のメタル・ニュースを素早く日本語に訳して紹介してくれるamassが一番役立つ情報源であるとは思うのですが、個人的に最近すごいと思っているのは実はHMVのメタル担当者のアカウントだったりします。

というのも、いわばビジネス用のアカウントであるにもかかわらず、商売っ気よりもメタル愛をはるかに強く感じるからです。

普通、CDショップのSNSアカウントの役目というのは基本的にリリース情報と入荷情報を発信することだと思います。それだけに徹しているかどうかはともかく、ディスクユニオンやタワーレコードのアカウントなどはまずそこを押さえています。

もちろんHMVのアカウントもそれはやっているのですが、まったく網羅的ではなく、むしろ「こんなマニアックなもの紹介していったい何枚売れんの?」というものをプッシュしているのが目立ちます。

今日び、5000枚売れたらかなりのヒットとされるHR/HMの界隈で、マニアックなタイトルの売り上げ枚数なんて確実に3桁だと思います。しかもHMVのチャネルを通して売れる枚数なんて下手したら2桁台前半でしょう。1枚平均2500円で売っているとして、CDショップの取り分が3割くらいとしたら、儲けの金額なんて知れたもの。

それでも手間暇かけてプッシュする。これはもう愛としか言いようがないですね。もちろん全てのアーティストをプッシュしているわけではないので、プッシュされなかったバンドにとっては愛が足りてないのかもしれませんが(笑)。

もし私がこの方の上司だったとしたら、こういう趣味的な仕事の仕方は生産性が低いのでやめろと言うでしょうし、アカウントを見るとかなり早い時間から遅い時間まで働いていらっしゃるようですが、このアカウントに費やしている時間は業務時間とはみなさないので残業時間から引いておくぞ、と器の小さいことを言わざるを得ないと思います。しかし、いちメタル・ファンとしては、各CDショップ横並びで同じような新作リリース情報を発信されるよりも読んでいて面白い。

このカテゴリーにおける実売枚数としてはバカにできないであろう『BURRN!』誌がプッシュしているような嬢メタル・バンドとか、ましてやBABYMETALなんてガン無視ですからね(笑)。それで日本盤もリリースされないようなエクストリーム・メタル・バンドのアルバムや、曲がりなりにも25年くらいメタル・ファンをやっているにもかかわらず名前すら聞いたことがないようなNWOBHMバンドの再発音源の紹介に力を入れるという偏りっぷり。

これとか。


これとか。


しまいには自社のプライスを高いとか言っちゃったり(笑)。



現在HMVを経営する株式会社ローソンエンタテインメントの社長がこのアカウントの運用状況を知ったら、「お前の給料BABYMETALの売上から出とるんやぞ。仕事ナメとんか」(なぜか関西弁)と怒られてしまうのではないか、と心配ですが、そんな社内の重圧(?)に負けず頑張ってほしいです。

そして、このアカウントがほぼ毎日のようにやっている「本日X月Y日はZZ年前に(バンド名)の(アルバム名)がリリースされた日です」みたいなツイートは、そのアルバムを「久しぶりに聴いてみるか」と思わせる、なかなか良い企画だと思います。



こんな小ネタも勉強になります。


紹介したアルバムが果たして実際にHMVで買われるのか、というとやや疑問ですが、自分が若い頃に好きだったアルバムを聴いて再びメタル愛が再燃し、「久しぶりにメタルのCD買うか」という気分になるかもしれませんからね。短期的な成果を狙う販促施策としてはやや迂遠ではありますが、中期的な視座におけるマーケティング施策としては意外と侮れないのではないかと。

惜しむらくは、これだけ熱を入れて運用しているにもかかわらず、競合であるタワーレコードのHR/HMアカウントはおろか、ほぼ東京にしかないディスクユニオンのHR/HMアカウントにさえフォロワー数で後れを取っていること(2018年8月11日現在)。後者なんて最近はビールとかグッズの情報ばかりなのに…(苦笑)。

まあ、このマニアックな運用だとフォロワー数を追求するのは難しいとは思いますが、なかなか面白いアカウントだと思いますので、もしTwitterのアカウントを持っていて、まだフォローしていないという人はフォローしてみてはいかがでしょうか。

ぶっちゃけ私とはメタルに関する趣味のベクトルはかなり違う気がしますが、だからこそ発見があったりします。以下、最近「発見」させてもらったバンドのMVをいくつか貼っておきます。

◆THE CRUEL INTENTIONS

いわゆる北欧スリージー・ロケンロー系だが、なかなかフックがある。ソロをはじめ、ギター・ワークに北欧のDNAが感じられるのがいい。Voの声はアクが強いが、聴いているとクセになる。これは日本盤が出ていいレベル。

◆VODUN

これはメタルというよりヘヴィ・ロックと呼ばれる音かもしれませんが、途中にスラッシュ・メタル的なパートがあったり、意外とメタルの影響は明確に感じる。いずれにせよ、メタルとしてもヘヴィ・ロックとしても圧倒的な個性(女性シンガーの風貌も…)。これはマジで新しくて、インパクトは近年でNo.1。ちなみにアフリカのバンドではなくイギリスのバンドです(笑)。

◆TRAGEDY OF MINE

ドイツのメロディック・デス/メタルコア・バンド。マイナー・レーベルからのデビュー作とは思えないほどにMVのクオリティが高い。サウンドもまだ個性は薄いものの、新人離れした完成度。

こういう趣旨のエントリーなので、いつものようにAmazonへのリンクを貼るのは自粛しておきます(笑)。


しかしどうやってこんなマイナーなバンド発掘しているんでしょうねえ。マジで取り扱うメタル系のCD全部チェックしてるんでしょうか。そんなことしてたら時間がいくらあっても足りないと思いますが…。

なお、私もかつてはゴールドメンバーズカード会員だったのですが、今ではしがないPontaカード保有者です。
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LONG LIVE COZY POWELL -A Tribute To RAINBOW- at 下北沢GARDEN 2018.8.9

仕事帰りにRAINBOWのトリビュート・バンド(プロジェクト)のライブを観てきました。

このライブの開催を知ったのは、Twitterのタイムラインに偶然流れてきた、岡垣正志(Key : TERRA ROSA)氏のツイートによる告知でした。

行ってみようかな、と思ったのは、先日書いたDOLL$ FESTAのライブレポのエントリーを書いている時に偶然見つけた、METALLIC SPINがプレイする「Spotlight Kid」の映像における下山武徳(Vo : SABER TIGER)の歌がなかなかに素晴らしかったことがきっかけです。

そしてここ数日、なぜか脳内ヘビーローテーションがRAINBOWの「All Night Long」で(別に彼らの楽曲の中で特別好きな曲というわけでもないのですが、脳内ヘビーローテーションというのは必ずしも大好きな曲とは限らないのがミステリーです)、なんとなく気分が「RAINBOWモード」になっていました。

とはいえ、昨日今日は関東に台風が来るという話で、さすがに台風の中行くのはちょっと、と思っていましたが、今朝には拍子抜けするほど何事もなく晴れていました。

という、いくつもの偶然と幸運によって足を運んだ下北沢GARDEN。個人的には下北沢ってUK.PROJECTのお膝元だけにパンク系の街というイメージがあって、そんな街でRAINBOWなんていうコテコテのハード・ロックを聴くというのはなんだか妙な感じ。

開演時間5分前に到着し、当日券で入場。フロアに入場すると、椅子が並べられていることに戸惑う。

下北沢GARDENはスタンディングで最大500人収容と称するかなり大きめのライブハウス。椅子の数と、立っている人の数を数えてみると、ざっと150人くらいか。メンバーのキャリアを考えるとなかなかに寂しい客入り。下手すると赤字なのでは。

ライブ中のMCでは「動員が少ないから椅子で誤魔化しているなんてセコい話じゃありません。平日で皆さん仕事でお疲れでしょうから椅子をご用意しました」と冗談めかしていましたが、300枚以上チケットが売れていたら、きっと椅子は用意されなかったでしょうね(苦笑)。

開演時刻を10分ほど過ぎたあたりで70年代なBGMが止み、照明が落ちてエルガーの『威風堂々』が流れる。そして映画『オズの魔法使い』の劇中歌として有名な「Over The Rainbow(虹の彼方に)」が流れる中メンバーが登場するのはもはやRAINBOWのステージがどのようなものだったか知る人であればお約束といえる。

とりあえず開演のタイミングでみんな椅子から立ち上がってひと安心(笑)。

ちなみに本日のメンバーは以下の通り。

Vo : 下山武徳(SABER TIGER)
G : 島紀史(CONCERTO MOON)
Key : 岡垣正志(ex.TERRA ROSA, JILL'S PROJECT)
B : 浅野勇人(ex.Fatima Hill, HARD GEAR)
Dr : 工藤義弘(EARTHSHAKER)

ちょっとしたジャパメタ・ドリーム・チームですが、下山&島って、これはDOUBLE DEALERですねこれは。まさか私がDOUBLE DEALERを見ることになるとは(違)。

オープニングは『ON STAGE』アレンジの「Kill The King」。個人的にはスタジオ盤のイントロの方が好きですが、名曲中の名曲なので当然盛り上がる。

2曲目は私のここ数日の脳内ヘビーローテーション(どうでもいい)「All Night Long」。リフは非常に「らしい」一方で、歌メロがとてもポップ&キャッチーで、ライブ向きの曲ではある。

下山が挟んだMCで、本日の趣旨が今年没後20年となるコージー・パウエルのトリビュートであることを知る(遅)。ということはジョー・リン・ターナー時代の曲はやらないのか、とちょっと落胆する、実はジョー時代の曲に好きなものが多い私。

実際、本日プレイした「Mistreated」や「Catch The Rainbow」みたいな曲は、多分リッチー・ブラックモアにとっては「演っていて楽しい曲」だったのだと思いますし、こういう曲を楽しめる人が「ロックをわかってる」ということになるのだと思いますが、その2曲をやるなら「Eyes Of The World」と「Lost In Hollywood」をやってほしかったというのが私の本音。

下山武徳のヴォーカルは、DOUBLE DEALERのアルバムを聴いて感じていたほどに暑苦しくはないというかパワフルではないと思ってしまいましたが、日本人でこれ以上の歌唱を望むのはなかなか難しいというのもまた事実でしょう。

そして尻上がりに調子を上げていったのは、本日このライブの前に2時間通しのリハーサルをして、そこでもちゃんとシャウトしていたという事実をMCで聞くと、ある意味驚異的でした(本人もライブが終わり際に一番調子が出る、と言っていました)。

「Gate Of Babylon」をライブで聴けたのはなかなかの感動。"JILL"岡垣氏のキーボード・サウンドがオリジナルにそっくりなのがまたポイント高い。オルガンの上にシンセを乗せたセッティングも個人的にはレトロ目新しい。どうでもいいですが、GALNERYUSのYUUKI氏といい、様式系キーボーディストの間ではああいう髪型が流行っているのでしょうか?

ただ、下山武徳本人もMCで言っていた通り、RAINBOWの曲は間奏が長く、ライブハウスなのでステージも狭いだけに動くこともままならず、ヴォーカリストはかなり手持ち無沙汰感がある。しかしそれでも変に挙動不審な動きをせず、客の煽りも適度な感じで、なかなかいいフロントマンぶり。

MCをどちらかというと笑いを取る方向に持っていくのは好き嫌いあるかもしれませんが、オーディエンスの年齢層の高さや、恐らく熱心な「顔見知り」のようなファンが多いであろう環境を考えるとそれもやむなしか(人数こそ少ないものの、盛り上がり自体はなかなかのものでした)。

というか、本日の主役というか、このプロジェクトの発起人であるEARTHSHAKERの工藤義弘が喋る喋る。そして関西人ならでは漫才的なセンスで下山武徳と掛け合い、MCタイムは始終客席から笑いが起きていました。フル活用していた「ON/OFFできるマイク」は名古屋や大阪でも登場するのでしょうか(あの場にいた人しかわかりませんね/苦笑)。

その工藤義弘のドラムは、コージー・パウエルのトリビュートといいながら別にセットなど真似ているわけではなく、プレイも時折コージー・パウエルっぽさを垣間見せるものの、(彼のプレイは初見なので確信はありませんが)自身のスタイルで叩いているようでした。

正直EARTHSHAKERのアルバムを聴いて「ドラムが凄い!」と思ったことはなかったのですが、パワーといいシンバルワークといいグルーヴといい、相当に非凡なものがあり、自らをコージー・パウエルになぞらえるというハードルの高い企画をやろうとするのは伊達じゃないなと思いました。

ライブ本編ラストの「Still I'm Sad」の途中に挿入された、チャイコフスキーの「序曲1812年」に合わせた有名なドラム・ソロもなかなか見応え・聴き応えがありました(ちなみにアンコールは「Long Live Rock 'n' Roll」 )。

ただ、工藤義弘発案の企画とはいえ、ステージ上の音楽をリードしていたのはやはりギタリストである島紀史(CONCERTO MOON)でした。

彼を見るのは、かつてCONCERT MOONがSTRATOVARIUSの来日公演で前座をやった時以来なので、ほぼ20年ぶり。しかしその外見的な印象は当時とほとんど変わっていない。未だに若々しいと言うべきか、昔から割と老けてたと見るかは意見の分かれるところでしょう(笑)。演奏中の“顔芸”も当時のままでした(笑)。

CONCERTO MOONで観た時は、バンドの音楽がそうであるがゆえにイングヴェイ・マルムスティーン的な速弾きの印象が鮮烈でしたが(正直、ティモ・トルキを圧倒していました。ティモ・トルキには「凄く上手いけど、あまりにもイングヴェイ的で個性がない」とディスられていましたが)、本日は見事にリッチー・ブラックモアになりきっていました。

きっとマニアに言わせれば「トーンが…」とか「タメが…」とか色々あるのかもしれませんが、個人的には納得のプレイですね。間奏が長い曲では「ギター・ソロ、ここまで」的なジェスチャーを他のメンバーに出しているように見えました。

ベースの人はキャリア的も一番地味で、RAINBOWというバンド自体ベースが目立つバンドではなかっただけにステージ上でも地味でしたが、プレイは確かで、ルックスも渋カッコよかったです。この人も下山武徳同様札幌拠点の人で、札幌では有名な塗装屋さんだとか(笑)。

そんな高いミュージシャンシップに支えられたRAINBOWの演奏はなかなかにテンションの高いもので、現在再結成しているRAINBOW本家のライブよりも(YouTubeに上がっているものをいくつか観たくらいですが)良いのではないかと感じます。

そういう意味で、もはや観ることができない「三頭政治」時代のRAINBOWのライブを現代に疑似体験する、という意味では(現在の)本家を凌駕し、世界的に見ても屈指のレベルにあるものを観られたのではないかと思っています(とはいえ、映像作品などで観るオリジナルのオーラのようなものとは次元が違うというのもまた事実ですが)。

楽しめたことは間違いないとして、あえて不満を挙げるなら、神曲「Stargazer」の後に「A Light In The Black」を続けてくれなかったことかなー。個人的にはあの2曲は組曲のようなものなので、セットで聴きたかったというのが本音。

明日10日(金)は名古屋、明後日11日(土)は大阪でライブがあるようなので、私のようにRAINBOWのライブを疑似体験してみたいという方は足を運んでみてはいかがでしょうか。

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PRIMAL FEAR "APOCALYPSE"の国内盤が8月8日発売

ドイツの正統派ヘヴィ・メタル・バンド、PRIMAL FEARの、スタジオ・アルバムとしては通算12作目となる "APOCALYPSE"の日本盤が8月8日(水)にキングレコードからリリースされます。

『BURRN!』誌のレビューの書き出しは「通算9作目」という簡潔なものでしたが、どうカウントしても12作目ですね。どのバンドと勘違いしたのでしょう。

先行で公開されているMVの曲は、彼らとしては「普通」な感じですが、彼らの場合、私のツボに来る曲をMVにしない傾向があるので、きっと今回も高品質なメタル・アルバムを聴かせてくれることでしょう。



POWERWOLF / THE SACRAMENT OF SIN

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ドイツの大人気パワー・メタル・バンド、POWERWOLFの、ライブ作品『THE METAL MASS LIVE』(2016)を挟んでリリースされた、スタジオ・アルバムとしては前作『BLESSED & POSSESED』(2015)以来、約3年ぶりとなるフル・アルバム。

彼らのこれまでの作品は全てフレドリック・ノルドストロームがプロデュースしてきていたが、本作では当代随一の売れっ子と言っても過言ではないだろうイェンス・ボグレンをプロデュースに迎えて制作されている。

とはいえ、これまでの音楽性に大きな変化はなく、言われてみれば心持ちサウンドがファットかつパワフルになったかな…? くらいの印象はあるものの、基本的には既に確立されたPOWERWOLFの世界が展開されている。

荘厳にして勇壮、それでいてキャッチーなパワー・メタル・サウンドのクオリティは盤石の安定感で、色物風のイメージとは裏腹に、彼らのソングライティング能力の高さは間違いなくEDGUY以来の才能と言えるだろう。

前作『BLESSED & POSSESED』のオマケとして(というには充実し過ぎた内容だったが)カヴァー・アルバム『METALLUM NOSTURM』を制作したことが、本作におけるソングライティングのバラエティにつながったそうで、極めて明確な「バンドの世界」を持ち、楽曲の長さも3~4分台とコンパクトに統一されているにもかかわらず、バンド初のバラードを収録しているという事実に端的に表れている通り、アルバムの起伏やメリハリは過去最高。

ジャケットのアートワークを見た時点で「これは傑作だろうな」と予感していたが、その予感を裏切らない、非の打ち所がないメロディック・パワー・メタルの秀作であり、本国ドイツでは再びナショナル・チャートのNo.1に輝いたというのも納得である。

ただ、ここまで絶賛しておいてナンですが、このバンドが日本でどこまで人気が出るかというと、個人的にはやや疑問がありまして。

まず、このバンドの魅力の大きなパートを占めている(はずの)「世界観」が、非キリスト教文化圏の人間には今一つピンと来ないこと。これはゴシック・メタル系のバンドが日本で人気が出ないのに通じる話ですね。欧米では大人気のGHOSTが日本ではサッパリ、なのもこの辺の事情でしょう。

あと、日本人って重厚で濃厚なものより、あっさりしてスッキリしたものの方が好きという人の方が多いと思うんですよ。音楽に限らず食べ物の好みとか色使いのセンス、極論すればどんなルックスの異性に魅力を感じるかという話にも通じるものがあると思うんですが、BLIND GUARDIANやRHAPSODY OF FIREあたりが欧州における評価ほどに日本で人気が出ないのは、要は「濃すぎる」のではないかという仮説ですが、このバンドにもその傾向があるのではないかと。

そして、これは私の勝手な印象ですが、日本の正統派/メロディック・メタルのファンというのは、なんだかんだ言って「ロック・スターっぽいヴォーカルと、ギター・ヒーローっぽいギタリストがいるバンド」が好きなんだと思うんですよね。

それは必ずしもヴォーカルとギターがイケメンである、ということではなく、バンドにおける存在感というかキャラ立ちの意味で、なかなか万人に理解してもらうことは難しい感覚なのですが、日本で売れたメロディック・パワー・メタル・バンドの例でいうと、HELLOWEENのマイケル・キスクとカイ・ハンセン、ANGRAのアンドレ・マトスとキコ・ルーレイロ、SONATA ARCHTICAのトニー・カッコとヤニ・リマタイネン、みたいな組み合わせは「わかりやすかった」のだと思います。

日本ではIN FLAMESよりARCH ENEMYの方が人気が高いというのも、そういう「メンバーのキャラ」の問題が結構大きいのではないかと思ってます。

そういう意味でいうと、POWERWOLFのメンバーの出で立ちというかキャラクターは、日本のメロディック・パワー・メタル・ファンの憧れを刺激しない、平たく言えばカッコいいと思われないのではないかと。

そして、その問題はPOWERWOLFと同じく欧州で大人気のSABATONにも共有されるものだと思います。いや、問題といってもバンド側の問題ではなく、日本のファンの嗜好の問題なのですが。

とはいえ、国民性の違いで受け入れられない商品というのは別に音楽に限らずあらゆるカテゴリーで存在するので、別におかしな話ではなく、「欧米で評価されているものなんだから日本人も評価すべき」という言説の方がむしろ不自然かつ不健全です。

欧米で売れているものが売れない日本はグローバル化してない後進国だ、みたいな意見は、日本人の独自性、日本の文化環境、そういう嗜好を育んできた歴史や風土を否定するファシスト的な、最もグローバル感覚から遠いものでしょう。

話がものすごく逸れたので強引に本筋に戻すと、POWERWOLFの音楽というのは必ずしも日本人好みというわけではないかもしれませんが、メロディック・パワー・メタルとしての完成度は非常に高いので、その手の音楽が好きだという自覚がある人はぜひ一度トライしていただきたいな、ということです。

なお、本作の限定盤にはボーナス・ディスクとして、EPICAやHEAVEN SHALL BURN、AMARANTHEやELUVEITIEといったバンドがPOWERWOLFの過去の名曲をカヴァーした音源が10曲収められた「逆カヴァー・アルバム」、『COMMUNIO LUPORUM』が付属しています。

こうして他バンドがカヴァーした音源を聴くと、その世界観ゆえに特別なものに響く彼らの楽曲が、普遍的なメロディック・メタルとして完成度が高いものであることがよく理解できるという意味で良い企画といえるでしょう。オマケとしては今回も非常に豪華なので、皆さん通常版ではなく限定盤を買いましょう(ワードレコーズの回し者ではありません)。【88点】





ついでにボーナス・ディスク収録のEPICAによる「Sacred & Wild」のカヴァーのリリック・ビデオもご紹介。


ECLIPSE "Killing Me (Sellout Version)" のMV

4月に来日公演を行なったECLIPSEが、その来日時に撮影したと思われる映像を使った「Killing Me」のMVを公開しました。

「Sellout Version」という表記がされ、最新アルバム"MONUMENTUM"に収録されていたオリジナルバージョンよりもアコースティックなアレンジになっています。ソフトになったことをして「裏切り(Sellout)」と称しているのでしょうか。

ECLIPSEの曲はメロディが豊かなので、アコースティックになっても何の違和感もなく、「いい歌だな」と思えます。

そして映し出される日本の街並み(渋谷や新宿の、見覚えがある景色がいっぱい。大阪の風景もあるんですかね?)が、また何とも言えない味わいがありますね。

来日アーティストの映像にありがちな「日本楽しいぜウェーイ」という感じではなく、天気が良くなかったせいなのかちょっとエモい空気感が漂っていて、何だか少し孤独感というか寂寥を感じるあたり、何となくソフィア・コッポラの日本を舞台にした映画、『ロスト・イン・トランスレーション』を思い出しました。

いずれにせよ、この映像、10年後、20年後に観たらまた結構グッとくるような気がします。東京近郊にお住まいでない人にとってはどうかわかりませんが…。