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アレキシ・ライホ(元CHILDREN OF BODOM)が死去

2021年最初のエントリーは、いわゆる「新年のご挨拶」的な文章にしようと思っていたんですよ。

新年最初の期待はACCEPTの新譜ですねー、とか、今年は何と言ってもHELLOWEENの新譜が楽しみ過ぎますねーとか。

昨年、コロナ禍で新譜リリースを見送ったアーティストもぼちぼちリリースするんじゃないかとか、ワクチンの普及の進み具合によってはライブも観られるようになるかもしれないし、そうなるといいですねー、とか、前向きな文章で年明け一発目のエントリーを始めたいな、と思っていたんですよ。

ところが、会社からの帰路、電車の中で開いたTwitterのタイムラインを埋めつくしていたのはアレキシ・ライホ(BODOM AFTER MIDNIGHT、元CHILDREN OF BODOM)の訃報でした。

そんなん、このブログで取り上げないわけにいかないやん…。

というわけで、今年最初のエントリーは訃報からのスタートという、不吉と言わざるを得ないものになりました。せめてもの救い(?)はアレキシが亡くなったのは昨年末であり、今年に入ってから亡くなったわけではない、ということでしょうか(何の慰めにもなりませんが)。

このブログが始まってから、ロニー・ジェイムズ・ディオやゲイリー・ムーア、ジョン・ロード、レミー、そして記憶に新しい所ではエディ・ヴァン・ヘイレンと、数多くのレジェンドの訃報が飛び込んできました。

ただ、それらのミュージシャンはいずれも還暦過ぎ、少なくとも老人と呼ばれる歳に達しており、長寿命化した昨今においては短命と言えても、ある程度「仕方ない」と思える年齢ではありました。

それは、それらのレジェンドが私のリアルタイムではなかったからでしょう。そういう意味ではアンドレ・マトス(元ANGRA)の訃報などの方が、リアルタイムの存在だったという意味でも、まだ40代だったという意味でも個人的には衝撃だったというのが事実です。

そういう意味では、アレキシなんて(ほんの少しではありますが)私より年下、まだ41歳ですから、衝撃を受けざるを得ません。

近年ずっと健康問題を抱えていたということで、それはちょっと異常なほどにやせ細った最近のルックスからも窺い知れましたが、とはいえつい先日、CHILDREN OF BODOMの実質解散騒ぎがあり、新たなバンド、BODOM AFTER MIDNIGHTでのライブなども行なったというニュースを目にしていただけに、思わず電車内で(小さい声ではありますが)「マジかよ」と呟いてしまいました。

このブログの母体であるサイト「METALGATE」が誕生したのは、90年代末から00年代初頭にかけての「クサメタル」ムーブメントがひとつの大きな理由になっています。

クラシックなメタルの素晴らしさと、そのクラシックなメタルの魅力を現代的にアップデートして蘇らせた(と、私は捉えていた)新世代クサメタルの素晴らしさを一人でも多くの人に伝えたい、という思いが、このサイトを作らせたのです(なにぶん仕事の傍ら少しずつコツコツ作ったので、公開できた時にはほぼクサメタル・ムーブメントのピークは過ぎていましたが…)。

クサメタルというのは基本的にメロスピとメロデスで成り立っていたわけですが、メロスピ・サイドの顔はSONATA ARCTICA、メロデス・サイドの顔はCHILDREN OF BODOMという、どちらもフィンランドのバンドだったと思っています。

そんなCHILDREN OF BODOMには当然私も強い思い入れがあり、2nd "HATEBREEDER"(1999)、3rd "FOLLOW THE REAPER"(2000)の2作はクサメタル史に燦然と輝く金字塔と信じています。

そして4th "HATE CREW DEATHROLL"(2003)がリリースされた時、クサいメロディが控えめになったそのサウンドは個人的な好みからは少し離れましたが、それでもそのサウンドが発する勢いと説得力は、「今、世界一カッコいい音を出しているバンドはコイツらだな」と確信させるだけのパワーがありました。

彼らのライブ観たさに東京公演では飽き足らず、名古屋まで遠征した挙句、アレキシの負傷によって公演キャンセルを食らった思い出は、今となっては一生語れるネタになりました(語る機会はあまりないですが…)。

当時に比べると、正直近年は関心が薄れていましたが、それはきっと彼(ら)に求めるものがあまりに高すぎたからだろうと思います。

そしてやはり特筆すべきはそのカリスマ性でしょう。

その作曲能力、ギターの腕前、(個人的には言われるほどイケメンとは思っていませんでしたが)華のあるルックスと、天から二物以上のものを与えられた存在でした(歌唱についてはまあ、上手さを求められるようなスタイルではなかったということで…)。

所謂クサメタル系のミュージシャンというのはどちらかというと職人ぽいというか真面目そうというか、あんまり古典的な意味でのロックンローラーなタイプの人が少ないなか、アレキシは数少ない「ロックスター」の雰囲気がある人でした。

そのフィーリングは音にも表れており、北欧のバンドが陥りがちな「小ぎれいにまとまった音」にならず、荒々しいエッジとダイナミックさがあったことが、CHILDREN OF BODOMを他のメロディック・デス・メタル・バンドから際立たせていたと思っています。

そういう意味では、この短命ぶりも「ロックっぽい」のかもしれません。

ロックらしくなくてもいいから長生きしてほしかったというのが本音ではありますが、ご冥福をお祈りいたします。

チルドレン・オブ・ボドムのアレキシ・ライホが死去(amass)※外部サイト





2019年のライブ・パフォーマンス


2020年 印象に残った10枚

2020年といえば、とにかくコロナ禍。メタル界隈に限っていうと、とにかく「ライブが行なえなくなった」ということに尽きるわけですが、アルバムを発表してもツアーができない、ということでリリースを見送ったアーティストも多かったのではないでしょうか。

とはいえ、私が好む音楽というのはあまり大々的なツアーを行なうようなアーティストによるものではなかったせいか、意外と私好みのアルバムというのはそれなりにリリースされました。

世の中的にはというか、メタル・ジャーナリズム界隈では、大御所だとAC/DCにOZZY OSBOURNE、旬なアーティストとしてはBRING ME THE HORIZONやCODE ORANGE、ORANSSI PAZUZUあたりが評判になっていた感じがしますが、私個人にとっては「チェックはしたし悪くはないけど、個人的な年間ベストには一切無関係」という感じで、それはもうこのサイト/ブログが始まって以来ずっとそんな感じです(苦笑)。

今回も掲載順は、厳密に順位というつもりではないですが、思いついた順なので実質的には本日の気分における順位のようなものかもしれません。アートワーク画像はAmazonへのリンクになっています。


H.E.A.T "H.E.A.T II"
HR/HMがメジャーだった時代のダイナミックな空気を2020年に再現することに成功した奇跡のような1枚。
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Unlucky Morpheus “UNFINISHED”
才能の塊、という印象ですね。エクストリーム・メタル色の強化も気にならないメロディの強さ。年間ベスト・チューンは本作に収録されたアンドレ・マトスへのトリビュート・ソング、"Carry On Singing To The Sky"です。
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MAGNUS KARLSSON’S FREEFALL "WE ARE THE NIGHT"
良質な楽曲、良質な演奏、そして素晴らしいシンガーたち。メロディック・メタル愛好家必聴の一枚。
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TEARS OF TRAGEDY "TRINITY"
日本人にしか創り得ない、日本人の琴線を刺激するメロディック・パワー・メタル。
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DGM "TRAGIC SEPARATION"
全く隙の無い、超高品質なプログ/パワー・メタル・アルバム。
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SKELETOON "NEMESIS"
今年のメロスピ1等賞。HELLOWEEN、GAMMA RAYでメタルにハマった人間には堪えられないアルバム。
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MOON REVERIE “MOON REVERIE”
今年のネオクラ1等賞。ヨラン・エドマン在籍時のイングヴェイのサウンドに近い、というのがツボ。
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TEMPERANCE "VIRIDIAN"
ソングライティングの妙が光る、好メロディック・メタル作品。今年のダークホースでした。
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VICTORIUS “SPACE NINJAS FROM HELL”
「地獄からの宇宙忍者」。このタイトルだけでもう勝利でしょ。
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DARK TRANQUILLITY "MOMENT"
ジワジワきてる。これはメランコリック・メタルの傑作なのではないでしょうか。
→レビューしてません


上記10選のうち、4作がイタリアのバンドと、今年はイタリアの当たり年でしたね。DGMを除くと比較的若いバンドばかりで、その点も含めてイタリアの未来は心強いですね。

上記以外にも、熱い系メロハーのARCTIC RAIN、北欧メロハー度No.1のONE DESIRE、心地よさは随一のLIONVILLEなどのメロハー系にも秀作が多かったし、ヴァイキング系のENSIFERUMなどもこの10選に入れてもいいインパクトがありました。過去作との比較論がなければPRIMAL FEARが入ってもおかしくなかったですね。

あと、番外編としてはリモート制作されたと思われる、SOILWORKのビョーン "スピード" ストリッドらによるプロジェクト、AT THE MOVIESのアルバムなんかは、このコロナ禍だからこそ生まれたという意味で、象徴的な作品だったと思っています。

コロナ禍とは関係ないところでも、エディ・ヴァン・ヘイレン(VAN HALEN)やニール・パート(RUSH)のような大物ミュージシャンが亡くなるなど、明るい年ではありませんでしたが、それでもこれだけ優れた作品が生まれたということは間違いなく「希望」だと思っています。

それでは皆さん、良い年をお迎えください。

Damian Hamada's Creatures "旧約魔界聖書 第1章&第2章"アルバム・レビュー

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聖飢魔Ⅱの創始者として知られるダミアン浜田陛下によるプロジェクトのデビュー作。

こう書くと、事情を知らない人には「ふーん。聖飢魔Ⅱの元メンバーの新プロジェクトね」くらいに受け流されてしまうかもしれないが、ダミアン浜田という人(悪魔)は、聖飢魔Ⅱのメジャー・デビューにあたって故郷の山口県に帰って教職に就くことを選び脱退しているので、(主に初期の)楽曲の制作には関わっているが、アルバムに彼の演奏は収められていないという意味で、「メジャーデビュー」はしたことがない人物(悪魔)である。

そんなダミアン浜田陛下であるが、35年務めた教職を早期退職したことをきっかけに楽曲制作を始め、発表の場について聖飢魔Ⅱの関係で知己であったソニー・ミュージックの人間に相談したところ、人間としての年齢にして59歳にしてメジャーデビューが決まったというのだから、人生(悪魔生?)いつ何が起きるかわからない。

メジャーデビューしていないといえ、聖飢魔Ⅱの代表曲である「蝋人形の館」を始め、初期の名曲の作者としてファン(信者)の間では有名な存在であり、半ば伝説化していたので、その彼がデビューするとなれば少なくとも昨今の音楽ビジネスの規模においては充分に商売になる、と担当者は判断したのだろう。

ダミアン浜田陛下は初期聖飢魔Ⅱにおいてはギタリストだったが、元々デビューではなく教職に進むことを選んだ一因としてギターの腕前がプロのレベルではなかったからという話があり、かつ長年普通に高校教師をやっていて演奏から離れていたこともあって、本作では演奏には関わらず、作詞作曲プロデュースといった、本来であれば音楽ビジネスにおいて「裏方仕事」とされることしかしていない。

それにもかかわらず「ダミアン浜田陛下のメジャーデビュー」とされ、アルバムジャケットもダミアン浜田陛下がフィーチュアされる形で発売されるというのは、これまた59歳のデビューという事実と並んで特異な事例と言えるだろう。

しかし、メイクなどの効果もあるだろうとはいえ、59歳でこのルックス、若い頃は女子生徒にさぞやモテたでしょうね(笑)。

本作でダミアン浜田がクリエイトした楽曲を実演するのは、彼が選んだ「改臟人間」という設定(とか言ったら怒られますかね)で、14歳の時にオーディション番組『X FACTOR OKINAWA JAPAN』に出演したり、日本テレビ「歌唱王」(GALNERYUSの"Destiny"を歌っており、その時のことはこのブログでも少し取り上げていました)のファイナリストになった経験のある、伊舎堂さくらがヴォーカル、バックの演奏はプログレッシヴ・ロック・バンド、金属恵比寿のメンバーたちである。

そして本作で展開されているのは初期聖飢魔Ⅱの楽曲に通底するフィーリングを持った様式系のヘヴィ・メタルで、そういう意味では期待通りの作品に仕上がっている。

ただ、今回、自分で演奏しないのをいいことに好き勝手に作曲・アレンジしたということで、演奏するのがプログレ畑のバンドということもあり、聖飢魔Ⅱ時代の曲よりはだいぶ複雑というか高度化された楽曲になっており、個人的に期待していたようなメタルとしてのわかりやすいキャッチーさはやや控えめ。

さくら“シエル”伊舎堂のヴォーカルも、ちょっとこの世界観に対してピュア過ぎる印象があり、このダミアン節とでもいうべき荘厳でドラマティックな楽曲を歌う上ではもっと適材がいたのではないかという気がしてしまった(もちろん歌自体は上手だし、こういうストレートな歌声だからこそ本作に聴きやすさが生まれている、という意見もあると思います)。

何より釈然としないのは、どう考えてもアルバム1枚分のマテリアルなのに、カラオケバージョンで水増ししてわざわざ2枚に分けて販売していること。

まあ、この売り方をダミアン浜田陛下自身が望んだとは思えないので、そこは特例的なデビューをさせるにあたっての条件とか、大人の事情的な話なのでしょう。

とはいえ聴き手としてはこの濃密な世界観にドップリ浸りたいという思いもあり、普通のフル・アルバム(教典)としてリリースしてほしかったというのが正直な所。

なのでささやかな抵抗(?)として、こうして2枚を1作扱いでレビューするという挙に出てみました(笑)。

いずれにせよ個人的にこういうクラシカルなエッセンスを感じる様式美系のHR/HMというのは好物なので、今後も継続的に作品をリリースしてほしいと思います。

そしてついでに、こういう「自分で演奏はできないけど、良い楽曲は作れる」という人が「アーティスト」としてデビューできるというのは、良い音楽が世に送り出される可能性が上がるという意味でいい話だと思うので、今後もこういうアーティストのあり方というのはもっと広がっていいんじゃないか、などと思ったりしました。【84点】※点数は2枚の平均点だとお考え下さい。