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METALITE "BIOCMECHANICALS" アルバム・レビュー

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2015年にエドウィン・プレムベリ(G)を中心にスウェーデンの首都ストックホルムで結成されたMETALITEのセカンド・アルバム。

前作"HEROS IN TIME"(2017)からのMV "Afterlife"はYouTubeの再生回数が200万回を突破するなど欧州のメタル・ファンの間では話題になり、ルビコン・ミュージックから日本盤もリリースされた。

しかし、2018年にヴォーカルのエマ・ベンシングが脱退、後任にエリカ・オールソンを迎えて制作されたのが本作。

前作同様、AMARANTHEにインスピレーションを得たと思われる、EDM的なKeyアレンジをまとったモダンなメロディック・メタルで、初期AMARANTHEから男性Voを抜いた感じ、というのが一番わかりやすい表現か。

ただ、メタルコア的な要素が強かったAMRANTHEよりもメロディック・パワー・メタルのニュアンスが強い(本作収録の#4 "Warrior"なんてかなりモロだ)こともあって、個人的には結構ツボな音。

新Voのエリカは、前任のエマ同様あまりエモーショナルな歌い手ではないが、恐らくそれはEDM的なサウンドに合わせた歌唱スタイルなのだろうし、とりあえず前任者よりも歌声のパワーやフロントマンとしての華は一回り上。

楽曲のクオリティも、前述の"Afterlife"がやや突出していた観のある前作よりも全体的にクオリティアップしており、EDM的なアレンジが嫌いでなければ欧州系メロディック・メタルのファンがアルバム通して楽しめる作品に仕上がっている。

どうでもいいですが、このジャケットについてエリカさんはどう思っているんでしょうか。似ていないわけではないですが、僕が彼女であれば暴れます。【85点】





「もしも"Enter Sandman"が"...AND JUSTICE FOR ALL"用に書かれた曲だったら」

最近は「ユーチューバー」という職業(?)もだいぶ市民権を確立し、いろいろ細かい専門性を持つユーチューバーが登場しているわけですが、海外ではぼちぼち「メタル系ユーチューバー」というものが存在しています(日本にもいるんですかね?)。

単にコピー曲として「演奏してみた」、というのはもう掃いて捨てるほどいるわけですが、世の中には器用な人がいるもので、ある曲を他のバンド風に…と抽象的に書くとわかりにくいですが、例えば「DRAGONFORCEのスタイルでテイラー・スウィフトの曲をプレイする」みたいなことをそれらしくやってのけるユーチューバーなどもいて、それはそれで楽しめたりします。

しかし人間はそういう刺激的な趣向にもすぐに慣れるもので、そういう企画芸にもさほど目新しさを感じなくなった最近、ちょっと笑ってしまったのがこの動画。

"What If Enter Sandman was on ...And Justice For All"、つまり、「もしも"Enter Sandman"が"...AND JUSTICE FOR ALL"用に書かれた曲だったら"」というタイトルですが、まあ、METALLICAをある程度ちゃんと聴いたことがある人なら「あ、やっぱり」というサウンドが飛び出してきます。



リードギターのメロディなんかもジャスティスな感じで、よくできてるなーと。

この動画をアップしているStateOfMercuryというアカウントでは他にも「もしも"Battery"が"BLACK ALBUM"用に書かれた曲だったら」とか、METALLICAのアルバムごとのサウンド・スタイルの振れ幅の大きさを利用した動画がアップされていて、ただならぬMETALLICA愛を感じます。

と、その動画を観ていたら関連動画に「"One"をもしジェイソン・ニューステッドがミックスしたら」なんて動画が上がってきて、もうひと笑いできました。



"...AND JUSTICE FOR ALL"というアルバムはたぶんメタル史上で最もサウンド・プロダクションについて物議を醸したアルバムで、Ultimate Guitarの読者が選ぶ「再録音した方がいいアルバム TOP20」でも堂々の1位に輝いていますが、もはやこれはこれでネタというか味というか「独特な個性を持ったサウンド」として愛でるべきプロダクションのような気がしています。

WORK OF ART “EXHIBITS” アルバム・レビュー

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個人的に現在世界最高のAOR/メロハー・バンドだと思っているスウェーデンの3人組の、前作”FRAMEWORK”(2014)以来約5年ぶりの4thアルバム。

前作発表時に「デビュー作からの3部作が完結」というようなことを言っており、商業的に成功している雰囲気もなかったので、このまま活動停止してしまうのではないかと危惧していたが、まずはこうしてカムバックしてくれたのはまずそれだけでありがたい。

ラーズ・サフスンドの艶も張りもある爽やかな歌声と、瑞々しいKeyアレンジに彩られた麗しきAORサウンドは健在で、これまでの彼らの作品を気に入っていた人であれば#1 “Misguided Love”のイントロで軽くガッツポーズ、MVが先行公開されていた#2 “Be The Believer”で本作も傑作であることを確信することだろう。

ただ、本作は過去作に比べると楽曲がバラエティに富んでいるというか、彼らのイメージであるクリーンで洗練されたAOR/産業ロック・サウンドの文脈を逸脱するような楽曲も収録されている。

“Rising Force”みたいなイントロで始まる#6 “Come Home”なんかは彼らの楽曲の中ではかなりヘヴィだし、#9 “Scars To Prove It”みたいな「黒っぽい」曲も珍しい(こういう黒人的な曲を歌うとラーズ・サフスンドの歌声はヨラン・エドマンっぽく響く)。

そしてラーズ・サフスンドの歌声もこれまでよりややラフに歌っている観があり、サウンド・プロダクションもやや生々しくアナログ的に録られている気がするので、これまでほど「カッチリした」音楽を志向せず、語弊を恐れずに言えば「ロックっぽい」アルバムを狙ったのではないかと思われる。

なお、本作には映画『ロッキー4』のサウンド・トラックを手掛けたことで知られるヴィンス・ディコーラ(Key)が#4 “This Isn’t Love”にゲスト参加しており、その『ロッキー4』のテーマ曲だった”Burning Heart”を手掛けたSURVIVORのジム・ピートリック(G)が一部ソングライティングに絡んでいる。2曲目のMVに選ばれた#3 “Another Night”がどことなく”Burning Heart”風なのは、きっと偶然ではなくオマージュだろう。

いずれにせよ豊穣なメロディに満ちた極上に心地よいサウンドであることは間違いなく、それだけにこれほどのバンドが公式サイトも存在せず(Facebookのページはある)、Wikipediaに彼らについて記述するページもないという状況は、この手のサウンドが世界的に廃れていることを感じさせられる悲しい事実である。【85点】